第7話 私の幸せってなに?
どれくらいの涙を流したのだろう。もう自分でもわからない。休んでいてもあの日のことが夢に出てきて目が覚めてしまう。眠っていながらも泣いていたのかな。頬に跡が残っている。
あれから半年以上経ってしまった。その間私は何ができたのかな。光也の手を握り、声をかけ、涙する。こればかりやっていたと思うけど、よく覚えていない。私と光也の時間は12月23日で止まったままになってしまった。
「さおりさん、ちょっといい?話があるんだけど」
真美さんが話しかけてきた。
「はい、いいですよ。なんでしょう?」
あらたまって真美さんが話そうとしているのは楽観できるものではなさそうだ。
「さおりさん、光也がこんなことになってほんとにごめんなさい。あれから半年過ぎたけど・・・」
今まで真美さんの涙はほとんど見たことなかったけど、ハンカチで拭う姿に私も泣きそうになる。
「はい、私なら大丈夫です。なんでも言ってください」
ある種の覚悟のような感情も湧いてくる。
「さっき先生の話を聞きに行ってきたんだけど、光也の意識が戻る可能性はほとんどないみたいなの。」
心臓がズシッと重いものを感じた。息が苦しくなる。
「でも、それでも私は待ちます。もし、このままだったとしても待ち続けます」
「ありがとう、さおりさん。その言葉は本当にありがたいわ。でもね、さおりさん。あなたはまだ若いし、あなたはあなたの人生を送ってください。あなたはこれまでよくやってくれたと思うの。光也のために」
真美さんの一言一言が頭の中を巡っている。聞きたくなかったけど、いつかはこういう話が出てくるのではないかとも思っていた。
「わ、私・・・」
次の言葉が出てこない。
「今すぐじゃなくていいのよ。ゆっくりあなたの中で答えを見つけてちょうだい。光也もあなたの幸せを願っているはずよ」
私の幸せってなんだろ。光也と一緒にいること?それとも・・・。
ねぇ、光也。
私はどうしたらいいの?
ねぇ、光也。教えてよ・・・。




