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ふたりの約束  作者: くわとろプロジェクト
14/20

第14話 突然の告白

 「やれやれ、やっと終わりか・・・。なんか僕のキャパを超えてる仕事量ですよ、これ」

昼間から今日締め切りの作業に追われた。夜遅くまでの仕事にイライラも通り越してしまった。僕の教育係の春花さんとそのままチームを組んで仕事をしている。入社して4ヶ月くらいか。

「お疲れ様です。私の作業も終わりましたよ。まだ慣れていない八神さんにまで負担かけちゃってごめんなさい」

春花さんがコーヒーを持ってきてくれた。

「ありがとうございます。まぁ仕事だし、負担なんて思ってないですよ。僕の力が足りないだけでしょうけど。飲んだら片付けしましょうか。早く帰りたいな」

椅子の背もたれに寄りかかりながらふぅ〜っと息を吐く。

「そうですね、私も帰りたいです」

お互いに微笑む。

「あの、春花さん、今度の日曜日って時間ありますか?って言っても、夕方4時くらいからなんですけど」

デスクを整理しながら話しかける。

「え?日曜日ですか?まぁ、特に予定はありませんけど。どうかしたんですか?」

「いや、友達が僕の再就職祝いをやってくれることになったんですよ。ボウリング大会と食事会なんですけど、ボウリングには男女ペア参加が割引条件らしくて誰か連れてこいって言われてるんです。だから就職先の先輩でもある春花さんにどうかなって思って。いや、行きにくいって思いますから無理しないでくださいね」

 先日、隆二から連絡が入って就職祝いをしてくれるそうだ。しかし、またどえらい参加条件を突きつけられたものだ。時々隆二は強引なところがある。それでみんなが付いて行きやすいってこともあるんだが。

「はい、いいですよ、せっかくだし。私も八神さんのお友達と一緒にお祝いしちゃいます」

ピースサインを僕に見せる春花さん。なんか年下の女性のノリみたいだ。


「こちら、僕の先輩で、お世話になってる堀田春花さんです」

全員が集合したところで春花さんを紹介した。

「こんにちわ、今日はお邪魔します」

軽くみんなを紹介してそれぞれペアに分かれる。隆二はもちろんさおりとだ。

「ボウリングなんてホント久しぶり。頑張りますよ、私」

春花さん、はしゃいでるな、と思った。僕の友人たちともすんなり話もできているようだ。僕も最近までどこかモヤモヤしたところもあり、自分でも驚くくらいはしゃいでしまった。


「ちょっと、トイレ行ってきますね。ついでにジュース買ってきます。春花さん何がいいですか?」

「あ、ありがとうございます。じゃあコーラで」

「了解です」とピースサインを送る。

トイレの入口手前で、偶然さおりと出くわした。ドキッとする。顔に出てるかもしれないな。

「今日はありがとな。隆二には言ったけど、さおりに言ってなかったね」

壁に背中をつけて横に並んだ。

「うん、再就職おめでとう。頑張ってるのね。よかった、ほんとに」

「ありがとう。うん、大変だけど、今の僕にはこれくらいがちょうどいいかもね。長いブランクもあるし」

冗談っぽく笑い合う。

「そうだね。でも、やるじゃない。あんな綺麗な春花さん連れてきちゃってさ」

さおりのヒジテツが僕の横っ腹に炸裂する。

「おちょくるなよ、春花さんは仕事上の付き合いだけで・・・」

さおりが僕の話を遮る。

「はいはい、わかりました。そういうことにしておきます」

悪戯っぽく舌を出す。

「さおりこそ、隆二とうまくいってるんだろ?」

「うん。いろいろ気遣ってくれてる」

そうか。そうだろうな。

 ふと前を見ると春花さんが立っている。

「トイレに行ったっきり遅いから見に来ましたよ」

気づかないうちにさおりと話し込んでいたようだ。

「すみません、すぐに戻ります」

「じゃ」と軽く手をさおりに振り再度レーンに戻る。


 その後の食事会もかなり盛り上がった。みんなとの時間はいつもながら心から楽しめる。僕はとても幸せなんだろな。みんなと解散したあと、春花さんを途中まで送って行くことにした。

「今日はすみません、参加してもらっちゃって」

「いえ、私もこんなに楽しんだのは久しぶりだったのでよかったです。こちらこそありがとうございました」

しばらく他愛のない話をした。そこで春花さんが立ち止まった。

「あれ?どうかしたんですか?」

振り向いて春花さんの表情をうかがう。

「あ、あの一つ気になったことを聞いていいですか?」

「なんでしょう?」

なんだろ?あらたまって。

「あの、さおりさんって人って、八神さんとはどんな・・・」

「いや、昔からの友達ですよ」

なんでそんなことを聞くんだろ?

「そうなんですか。でも、八神さん、さおりさんを見るときにすごく優しい目をしてました。それがとても気になりました」

「え?そうかなぁ。普通ですよ。どうしてですか?」

そんな目してたかなぁ?自分ではわからない。

「私、八神さんを見てたから。八神さん、いつもどことなく寂しい目をしてるし」

「僕が寂しい目を?してませんよ、そんな」

「私、八神さん、光也さんが好きです。初めて会ったときに、私」

「ええ?」

「ふたりの約束」を読んでいただきありがとうございます。今回は文字数で一番多くなってしまいました。でも、さおりの登場は少しだけ。さおりのファンの方がいらっしゃったら怒られそうです(笑)

これからも「ふたりの約束」を宜しくお願いします。

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