Exit2:誰もいない校舎…
篠崎と柿田は、依然として姿を見せない越谷を捜していた。ようやく越谷を見つけた2人は背筋が凍りついた…
取りあえず、俺と柿田は越谷捜しへ階段を使って2階に上がった。
外は暗闇に包まれていて、廊下には灯りが一つも無い。
「まぁ、廃校だしな。灯りがねぇのが普通だ。」
と、柿田が呑気に言っているので俺は彼を置いていき、奥の教室から入った。
どうやらここは音楽室だったらしく、埃が被ったピアノが残っていた。すると、後から入ってきた柿田が、
「俺に弾かせてみろ。」
と、言ってピアノの前に立ち、弾き始めた。スッゴい有名な曲だったので、聴いた途端解った。が、しかし驚い事に柿田のピアノの腕前が凄いレベルだった事だ。
「すっげぇな。お前、ピアノやってたのか?」
と、俺が聴くと柿田は頭を描きながら、
「いや、俺ん家がピアノ教室だから。」
と、言った。
俺が上手さに拍手したその時だった…
(ガタン)
と、大きな音が隣の教室から聴こえてきたので、何だろうと思い俺と柿田は音楽室を跡にして隣の教室に入った。すると、俺達は一瞬で背筋が凍りつく場面を見てしまった…。
ギシギシと音を立て、ブラブラと揺れている縄に吊されていた物体は紛れもなく、先に校舎の中へ入っていった越谷の首吊り姿だった…
俺と柿田は恐ろしくなり教室を出て、1階にいた相川に今見た事を話した。
相川は驚きを隠せず、直ぐ様2階のその教室へ上がって行った。俺と柿田は相川を追い掛けた。
2階のその部屋の前で、相川は不思議そうな顔をして立っていた。
「ど、どうした?」
俺が尋ねてみると、相川はドアの方を指差した。
「開いてねぇじゃん。てか、この教室を何回見回しても、越谷の首吊り死体なんて見当たらねぇぞ。」
と、言った。
教室は間違っていない。しかし、さっきあったはずの越谷の首吊り死体が無くなっていたのだ。俺と柿田は首を傾げた。
「オメェら、本当は俺を脅かそうと、首吊り姿があったって嘘ついたな?」
と、相川は言ったが俺らは首を横に振って、
「いや、本当にあったんだ!越谷の首吊り姿が!」
しかし、信じない相川。
「ぜってぇ嘘だろ!…うわっ!何だ?!」
相川の目に何かがくっついたようだ。暗くて何かは見えなかったが月光でそれがようやく真紅の血だと解った時は既に遅かった。
俺の横にいた柿田は、いつの間にか突き当たりの壁に寄りかかっていて、身体全体を鋭利な刃物で斬り刻まれて、首が胴体から切り取られていた。彼の遺された身体からは真紅の血が溢れて床に流れ出ていたのだ…。