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転生した俺は、”私”へもう一度生まれ変わる。為すべき事を為すが為に。――異世界転生したら、世界の敵になりました。  作者: 篠原 凛翔
【第1部】夜明前

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【1-7-6】

「……移植、とは?」

「? 言葉通りだが? 貴方の心臓、眼球、骨、筋肉、感覚器、神経全てを高位のものへ切り替える」


『まあまずは心臓からか? 生命力を高めないことには何も始まらん』なんて言っているがそんな簡単な話ではないだろう。慌てて質問を続ける。


「いやいやいや、それだと私の身体はどうなるんです?」

「安心しろ。見た目は変わらないようにする。ただ切って貼ってでは、美しくないからな」


 いやそんな事を気にしているわけではないのだが……。


「いやほら、拒否反応とか……」

「問題ない。貴様はシェイプシフターという種族だろうが。つまり他の種族の肉体への親和性が高いはず。それに貴様は何故か分からないが、やたらと頑丈だ」


『身に覚えがあるだろう?』と言われる。確かに私は過去から何故か怪我も少ないし、負ったとしてもすぐに回復していた。普通なら死んでしまうような怪我でも、何故か私は生き続けていた。


「正直貴様にはかなりの期待をしている。……楽には死なさんぞ?」


 いやいやいや死なさんぞって死んじゃう前提じゃん……。しかし移植とは予想外だ。確かに今の私の身体ではどうしようもないが、多少なりとも抵抗があることは否めなかった。


「ちなみに生き残れる可能性は数パーセントにも満たないだろうな」

「……殆ど死ぬと?」

「ああ。そうだな」


 淡白に答えるリムさんへ私は責めるように視線を向ける。『ククッ。それでも他のヤツとは比較にならないくらい高い数値だぞ?』などと笑いながら言っている辺り、やっぱり悪魔のようだと再認識する。


「――それともやめるか?」


 試すような表情をして私を見つめてくる。ただ、今の話を聞こうが聞かまいが、答えは初めから決まっていた。


「やりますよ。――それで強くなれるのなら、何でもやる」


 考えるまでもない。私は躊躇なく答える。


「素晴らしいぞ。それでこそ私も協力しがいがあるというものだ」


 ただ一つ疑問があった。


「あの、これって、リムさんの身体を培養でもして移植するのが一番早いのでは……?」

「あぁ、それか」


 リムさんはつまらなそうにフンと鼻を鳴らした。


「私の身体を移植したケースは勿論ある。ただ全てが数分も持たずに死滅した。だからひとまず貴様にはそれはやめておこうと思ってな」


『ゆくゆくはやってみたいのだがな』なんて物騒な事を言っている。ただ私も、まずは生存可能性の高いものでお願いするとしよう……。


「分かりました。でもそんな都合よく素材なんてあるんですか?」


 まあリムさんならどんな種族のものでも持っていて不思議ではないけれども。


「いや今手元にはない。だが安心しろ。その手の情報は私には腐るほど入ってくる」


 今すぐに手術というわけにはいかないものの、神々の一柱であるだけあって情報には聡いようだ。やはり世界中にレナードのような諜報員でも忍ばせているのだろうか?


「私はこれでもギルドのグランドマスターでもある。つまり世界の面倒事は全て私の管轄というわけだ」


 ……想像とはまったく反した答えが返ってきた。ギルドというのは、人々や村々での困りごとを処理する元締めのようなものだったはずだ。大なり小なりの手に負えない事柄があればギルドに依頼し、ギルドは冒険者へ仕事を斡旋する。

 

 ギルドの中には多数の冒険者が登録されていて、上位になると、国が直々に指名し依頼する例もあると聞いた。初めて知った時には、この世界にもあるのかなんて感慨に耽るだけで自分には関係ない事だと思っていたのだけれども。


 しかし、リムさんがギルドマスターで、ミームがラフェシアの王って、神々も未だ表舞台に大きく影響してるのではないだろうか。


「ひとまず貴様はもう冒険者として登録は済んでいる。最低のFランクだが文句はなかろう?」

「いやもうなんでもいいですが……」


 驚きすぎてもう言葉もない。もう受け入れるがままだ。


「それで、Fランクの私は何を狩りにいけばいいんですか?」


 待っていたとばかりに目を煌めかせる。嬉々とした様子からは嫌な予感しか感じないが、果たして何が目標だろう。


「喜べ。S級クエストだ。――不死鳥を狩りに行くぞ」


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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