【4-10-3】
私達はゆっくりと歩きながらに隠れ家へと向かう。途中チラチラとモノやジーが私の顔を見てきたが、何も言う事はなかった。
こうしているとあの時のようだ。初めてリムさんと会って、身体の動かない私はモノにおぶられて同じ道を進んだ。
「まるで初めて会った時のようか?」
リムさんも同じ事を考えていたようだ。
「……ええ。そう思っていました」
「クク。随分と状況は違うがな」
確かにあの頃から私の世界は何もかもが変わってしまった。
「貴様も今となっては世界で一番の有名人か。偉くなったものだな?」
リムさんがクックと笑う。まったく意地悪なことだ。
「……けして褒められた意味じゃないですけどね。それにちょっとは気にしてるんですよ?」
「自分から言ったことだろうに何を今更。ああそれに、あの似顔絵は改めて傑作だったな」
ニヤニヤとした笑みはより深さを帯びていた。彼女が言ってる似顔絵というのは、私を模した手配書の絵のことだ。この世界には写真技術は存在しない。かわりに私の似顔絵が手配書として張り出されていた。
ただ、その絵がなんともこう、絶妙に私に似ていなくて……。いや分かってる。レオがきっと気を回してくれたんだろう。
それにしてもその子供の落書きのような、あんまりな似顔絵は……。リムさん達には大いに受けていたけれども。
「本当に、レオには感謝しっぱなしですよーまったく……」
ぷいと顔を背ける私を見てもリムさんは笑いを止める事はなかった。まったく。あの似顔絵なら私がスーニャだとバレる事はないだろうが、何とも複雑な気分だ。
「ハッハ。皆の優しさに痛み入るな?」
「ええ。本当に……」
人族、亜族の一部は私の事も知っている。ただあの似顔絵がそれでも通ったと言う事は、誰しもあえて指摘しなかったのだろう。
……まーもーちょっとくらい見目麗しく書いてくれてもよかったんだけどもー? ぶつぶつと呟きながらに歩き続ける。そうしていたら再度リムさんに声を掛けられた。
「――スーニャ」
その声は先ほどとは違う真剣な声。私はその場に立ち止まりリムさんを見る。
「――貴様はこれから何をする? 今度は何を為す?」
それは前にも聞かれた問い。まだ自分のなかでも明確な答えは出ていない。ただリムさんの様子から、本気で聞いているのだとは分かった。
「……どうしましょうね? 折角世界で一番の悪人になったんですから。もっともっと悪名を轟かせてやりましょうかね?」
冗談を飛ばすとリムさんも愉快そうに話に乗ってきた。
「はははっ。それはいい。太古の神々の一柱を殺したのでは足りないか。なら他はどうだ? まだ私を含めて幾らかいるわけだからな」
「いやいやいや。それは勘弁ですよ……。もう本気で懲り懲りなんで……」
というか自分の姉妹達じゃないか。それなのに、自分から争う事を勧めないで欲しいんだけれども……。
「ククッ。それは残念だな。しかし、まあ何をしようが構わんさ。貴様の思うがままに為せばいい。今までも、そしてこれからも。私は貴様の全てを祝福してやる」
その言葉を最後にリムさんは歩みを戻す。私もまた遅ればせながらにそれについていく。
言われるまでもない。私は自分の行いを、意思を曲げる事はない。これまでも、そしてこれからもそう生きると誓ったのだから。
――たとえ、その果てに「世界の敵」と呼ばれようとも。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
本話でこの作品は一旦の区切りとなります。
皆様の応援の下、何とかここまで書き進める事が出来ました。本当にありがとうございます!
そして早速で恐縮なのですが、
1月22日(木) より続編の投稿を開始しています!
作品名:異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】
Nコード:N2008LO
引き続きお付き合い頂けたら幸いです。
どうぞ宜しくお願いします!




