7 黒の都
何だこの結晶は?
血管の石灰化?
いや、石灰という感じではないな。
「魔石か。この程度のデザートバードには珍しいな」
「珍しいものなんですか?」
「ああ、ある程度の強さを持つ生物の体内に発生する魔力結晶だ」
「魔石があれば武器の強化なんかもできるんですよ。でも、俺たちのランク帯では魔石も売らないと生活できないので、使えるとしたらCランク以上だと思いますよ」
「この程度の黄色魔石なら5000ドーラくらいにはなるはずだぜ」
すごいものなんだなと考えながら、魔石を換金用の方に仕分けする。
その2日後、レモートに到着し、ミトンさんはラメート商会のメリンナと話をするため部屋に入った。
外には俺、デグンくん、「緑光の集い」のみなさん、そしてメリンナさんの護衛が待たされていた。
護衛の名はシェラルスというらしい。
元Bランク探検家で、今はメリンナさんの直属の護衛をやっているそうだ。
シェラルスの話によると、ラメート商会はこの大陸で一番大きな商会なのだそうだ。
「ユウセイだったか?俺たちは、ここでは部外者だ。商人同士の話し合いに俺ら野蛮人が入るものじゃないさ」
(こ………でも…が読め…)
最初にミトンさんたちに会ったときに聞こえたノイズ音が頭に響く。
でも、あの時よりも若干はっきりと聞こえるような気がする。
「そうですね。俺たちが口を出すと厄介なことになるだけですからね」
「ここで会談が終わるまで待っているのが良いでしょうね」
「そうだな」
「お前らについて教えてくれよ」
そう聞かれ、会談が終わるまでシェラルスにいろんな話をした。
それから30分ほど経過して、ミトンさんたちが出てきた。
「こちらとしても有意義な会談だったよ、ミトン」
「こちらこそだ、メリンナ」
そして別れて街を出ると、ラティカさんが呟いた。
「あいつ、化け物ね」
「え?」
と素っ頓狂な声を上げる。
「あいつ、私たちなんて簡単に倒せる力を持っている。あれがBランクの世界よ」
「私たちも頑張らないと」
「ラティカ、そうだね。僕たちは弱い。でも、僕たちのランク帯が多いのも事実だ」
「とりあえず、目標はCランクに上がることだな」
「そうね」
「頑張りましょう」
2人の声が重なった。
この人たちは良いパーティーだ。
将来成長するのではないかと思う。
「すいません、私たちだけで話してしまって」
「構わん。探検家というのはそういうものだ。仲間と協力して世界を探検する。それが本来の意義だ。今じゃ金稼ぎの職の一つとして扱われて、探検家の初心を持っているやつなんてほとんどいないからな」
「俺らの時代は世界を解き明かしたい連中がそこらにいてな。それは賑やかだったもんだ」
そう、ミトンさんが哀愁を漂わせるような声で言った。
「まあ、次の目的地は黒の都ノワールだ。集積都市として発展しているからな。そこで色々な資材を買い込むぞ!」
「「はい」」
「私たちは善の都まで護衛させていただきます」
「頼むぞ!」
黒の都の次は善の都に行くようだ。
そこまでは「緑光の集い」に護衛をしてもらえるというわけだ。
数日、砂漠を抜けるとサバンナが広がっていた。
「ミトンさん、これって」
「ああ、これでカルモンド大砂漠踏破だ。乱砂が来る前に砂漠を踏破できて良かったな」
「そうですね。乱砂の中を外へ出るのは自殺行為と同じですから」
ゴラートさんが真剣な顔つきでそう言う。
ゴディアさんは「そうだな」と肯定の意を示し、ラティカさんはうんうんと首を縦に振っている。
死の都から黒の都への道中は大きな事件は起こらず、たまに生き物に襲われるが、それだけだった。
ほとんどは平和に移動が済み、若草も生え始めてきた頃、黒の都ノワールが見えてきた。
上空には獅子鷹、翔馬鷹、天翔馬などが空を舞うように飛んでいた。
馬車のようなものを引いていて、荷物の運搬をしているようだ。
「あれは空車っていうんだ」
ミトンさんが俺の疑問を察したのか、グリフォンやヒッポグリフが引いている馬車のようなものの説明をしてくれた。
何やら、この黒の都は召喚術を独占し、本来凶暴で強いグリフォンやペガサスなどを使役して空車を引かせ、荷物の運搬をしているらしい。
空車は風を操作して落ちないように作られているとか。
黒の都に入ると、ごつごつとした人形が並んでいた。
いわゆるゴーレムだ。
人より力があるから、空車が入れない場所まで荷物を運ぶ役割があったり、单純作業をゴーレムが行うらしい。
この都の中心街路には300体のゴーレムが配置されている。
仕事ができると一人でに歩き出して仕事をするらしい。
その道を歩き、宿を取った。
俺とデグンくんはまた宿でお留守番だった。
この世界に来て一番ファンタジーを感じているかもしれない。
デグンくんに聞いたところ、この都の料理はすごく美味しいらしい。
いろんな地域からいろんな物資や食品が運び込まれてくるらしい。
そんな話を聞きながら、宿の窓から外を眺めていると、濃紺の髪の男が頭をポリポリかいていたが、ふとこちらに振り返り、目が合った。
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