6 緑光の集い
「自己紹介するぞ」
ミトンさんがそんなことを口にする。
「俺は商隊のリーダーミトン。こいつらは俺の甥のデグンと小間使いのユウセイだ」
「私たちはCランク探検家「緑光の集い」です」
「このパーティーのリーダーをさせていただいていますゴラートと申します」
金の髪を半ばで分け、後ろにくくっている。剣はレイピアを使っているようだ。
腰には細く意匠の凝った細剣が刺してある。
「緑光の集い」は3人パーティで、パーティーリーダーの剣士ゴラートさん、もう1人の戦士ゴディアさん、魔法使いのラティカさんの三人パーティでCランクらしい。
「旅の願い」のみんながDランクだったことを考えるとかなりの戦力アップだ。
ゴラートさんとゴディアさんは双子で東から来たらしい。
「私はゴディアといいます」金の長髪に鉛色のビキニアーマーが映えており、腰に刺した剣も重厚で業物って感じがする。
ゴラートさんとゴディアさんの武器は対照的だ。
速さと手数を重んじる騎士の剣レイピア。重さと威力を追求した戦士の剣バスターソード。
それぞれに味がある。
「兄共々よろしくお願いします」
そう深々とゴディアさんは頭を下げてきた。
探検家には少ないタイプの人種だ。
冒険家は総じてプライドが高い。すぐに頭を下げるようじゃなめられて仕事が回ってこなくなる。それで仕事が来るってことは彼らがよほど優秀なのだということが分かる。
「私は魔法使いラティカ」赤いローブに黒の三角帽。
腰には魔導書をかけ、紫の髪をくるくると回していて、余裕を感じる。
あと、人をよく見ているという感じがする。
俯瞰していると言うか。
司令塔は彼女なんじゃないかと思う。
後方で彼女が指令を出しつつ魔法で牽制して2人がトドメを刺すみたいな戦法を使うのかも。
「さて、それじゃ自己紹介も済んたことだしさっさと出発するぞ」
次の目的地は死の都レモート。
貧富の差が大きく、良くも悪くも実力主義。
弱いものは奪われ、強いものは奪う。
それを繰り返して成長している都で、住民のほとんどは大地の民が住んでいて、少人数の他の民族も住んでいる混合都市だとか。
都市の中でも商業が発展し、締め付けも強いためスラムに入んなきゃ襲われることはほとんどないと聞いた。
ここでは大商人のラメート商会の副会長メリンナという人と面会するらしい。
レモートに行くにつれ、砂漠が薄くなってくる。
聞いた話レモートは大砂漠の端の方で大きなオアシスもある地域にあるらしい。
商人はそこを基本的な拠点にすることが多いんだそう。
ミトンさんは彼らとは違い、都で物を買い込んで、それを近くの集落まで運んでそこで売りさばく商人の中でも商会などの後ろ盾を持たない移動商や露天商と呼ばれる形態だと聞いた。
「俺は元冒険者だからな。どこに集落があるかもあらかた覚えてる。そこに必要なものを届けて暮らしを落にさせてやる。それが俺の仕事だ」
と言っていた。
ゴラートさんもうんうんと頷いていた。
みんな平民出身なのだろうか?
「皆さんってどう生まれ育ったんですか?差し支えなければ教えてくれませんか?」
「俺とゴディアは兄妹でな。レモートのスラム上がりなんだ。スラムから出て荷物運びから動物の世話まで何でもやった。それが今ではDランクだよ」
「私は没落した商家の出身。昔から魔法書は家にあった。私は魔法が得意」
ラティカさんは口数が少ないタイプのようだ。
だが、少しづつでも喋ってくれた。
「それで魔法使いになったんですね」
「そう」
「ラティカ。もう少し頑張ってしゃべる努力をしたらどうだ?」
「これが私。仕方ない」
「全く。すいませんユウセイ殿」
「次は俺だな。俺は善の都の貧困層生まれでな。母親が12でおっちんじまった。そこで冒険者になり、C級まで行ったが引退して今は耄碌した爺さんだな」
「はい、僕は善の都の普通の家に生まれました。叔父さんは冒険者をしていて、数年後叔父さんが冒険者をやめて商人になってから叔父さんのお手伝いをしています」
最後は俺の番だけど。
「こいつは砂漠で倒れていて記憶喪失なんだ」
そうミトンさんが言葉を紡ぐ。
「そうだったのか」や「なにかあったら頼って」などの声が寄せられた。
心配されると素直に嬉しい。
ラティカさん以外はみんな市井出身のようだ。
ラティカさんの魔法の原点は実家にあるようだ。
そんな話をしつつ、東へとどんどん進んでいく。
その間、砂漠鳥がでてきた。
デザートバードはその強靭な翼で砂を巻き上げて撹乱しながら奇襲攻撃を行ってくるらしい。
今回はデザートバードの砂嵐に片利共生を得たサンドウルフ6体もいるらしい。
ゴラートさんたちの連携は見事だった。
ゴラートさんとゴディアさんでサンドウルフを前に進ませないようにしつつ、デザートバードをラティカさんの魔法で牽制しながら倒してサンドウルフもすぐ倒れた。
その後、俺、ミトンさんデグンくんでデザートバードとサンドウルフの解体を行う。
金になる牙や嘴、毛皮などを剥いでいく。
解体をしていると心臓の横に石があった。取り出してみると黄色にキラキラと輝いていた。
俺はミトンさんに知識を仰いだのだった。
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