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1 天文サークル

俺は霜月悠星しもつきゆうせい

田舎の中堅大学に通っている。

社会科学系の政治経済学部を専攻しながら、天文サークルにも所属している。

このサークルはそれほど大きくないけど、4年生1人、3年生3人、2年生6人、1年生2人の計12人で活動している。

サークル長の上林うえばやし先輩、副長の田宮たみや先輩、橋本はしもと先輩、花咲はなさき先輩、同級生のたちばな波多はた冴島さえじま桐谷きりたに蒼井あおい、後輩の満園みちぞの田辺たなべと、まあ名前なんてどうでもいいか。

上林先輩は最近まで就職活動が忙しかったみたいでサークルに顔を出さなくなっていたんだけど、今回天文サークルで計画したハレー彗星合宿には来てくれるらしい。

約76年に一度現れるハレー彗星を観測するために、学校所有の合宿場に来て準備をしていた。

俺の他に同じ学年の蒼井東華あおいとうかもいた。

「霜月ー。そっちの寝袋、全員分あるか確認しといて」

「おう。わかった」

沈黙が流れる。

別に気まずい沈黙じゃない。

俺と蒼井はそういう関係だ。バカ話もするし、男友達みたいな感覚の女子だ。

本人にそんなこと言ったら多分「おいおい、誰が胸まで男の女だって?ぶち殺すぞこの野郎」までがお決まりなんだろうな。

そういう軽口を叩き合える仲だ。

「蒼井」

「んー?どうした」

「田宮先輩からリーン来た」

「なんだって?」

「山間線がシカの侵入とシカを轢いちまったみたいで、止まってるらしい」

「まじかよ。ここの合宿場来るための唯一の公共交通機関だろ?」

「そうだな。ここ田舎すぎるもんな」

「それな。だから虫多すぎだろ」

「暑いし、水浴びしたいな」

「近くに小川あるらしいし浴びてくれば?」

「覗くなよ?」

「覗けるようなもの持ってから言えや」

「はー?!ちょっと温厚な東華ちゃんも怒ったわ」

「霜月あんた、女心を理解する心をあんたのお母さんのお腹の中に置いてきたんじゃないの?」

「はぁ?」

「もういい!」

「水浴びしてくる!覗くなよ変態!!」

プンスカプンスカ言いながらズカズカと足音を立てて歩いていった。

いや、今のは俺が悪かった。

さすがに言っていいことと悪いことの区別はつけるべきだったと思う。

蒼井が戻ってきたら謝らないとな。

その間に残っている作業をやらなきゃ。

俺も後で水浴びしに行こうかな。関東や都会では猛暑日とされるような日だ。

田舎の森の中は青々とした草木の香りがする。

マイナスイオンというんだろうか。

不思議と涼しい気がする。

そんなこんなあって、蒼井が戻ってきた。

彼女は俺を睨んでいる。

本当に不機嫌そうな顔だ。

「なぁ、蒼井」

「何?」

「あの、」

「だから、何?」

「すまん、さっきは」

「ふーん」

「言っていいことと悪いこともあるって後から思った。本当にすまなかった」

「ん、別にいいよもう」

心からの謝罪に、蒼井の表情が和らいだ。

「そこまで謝ってくれるとは思ってなかった」 

そんな話をしていると後ろから肩をチョンチョンとつつかれ、右肩から話し声が聞こえた。

「あらあら、仲直りしちゃった?私のドラマが見れると思ったのに〜」

この高い声は副長の田宮先輩だ。

この人は、顔はいいが頭の中がピンク色なのだ。

恋愛9割、勉強5分、天文5分。

彼女の内面を知っている人たちの間では、特に天文サークル内では「花園の女帝」など裏で呼ばれている。

ちなみに名付け親は上林先輩らしい。

「で、なんで痴話喧嘩してたの?」

「「痴話喧嘩なんかしてない!」」

「おお!仲良しさんだ。付き合っちゃえばー?」

蒼井がさっきの話をすると、田宮先輩から背中をぶっ叩かれる。

「おお!霜月後輩!それは減点だぞー」

「何の減点なんですか」

「え?単位?」

「それ本当なら大変ですって」

「それもそうだな!」

「というか、事故で電車止まったんじゃ?」

「あぁ、事故が起きたのがこの駅から徒歩15分程のところでな。そこから歩いてきたんだ!」

「それ1時間くらいかかりますよね?」

「リーン来たの20分前くらいなんですけど」

「うん。20分前に連絡した」

「この人…」

「まぁ、まぁ、悠星も落ち着け」

この中で数少ない良心、上林先輩。

素晴らしいです。

「ま、着いたんだからいいじゃない」

「合宿場は、っと」

「あらかたの掃除とかは終えたので」

「すまんな」

「まさか俺と蒼井以外全員電車に一本乗り遅れるなんて」

「すまん」やら「まじでごめん」とか「今度なんか奢るわ」など声が聞こえてきた。

「まぁ、仕方ないですからね」

「よっし、合宿楽しむぞー!」

田宮先輩、あんたが言うことじゃない。

強いて言えば上林先輩か時間通りに来た俺らが言うことだ。

そんな言葉を飲み込んだ。

俺は失敗を二度もしない男だ。

暗くなるまでトランプなどで遊んで時間をつぶした。

そして、満を持して天文サークルの備品である望遠鏡を使う。

度を合わせて、ハレー彗星が来るのを待つ。

そして、空に現れた。

神秘的な青白い炎を纏ったハレー彗星。

宇宙の彼方から76年の時を経て、再び地球に姿を見せる天体ショー。

 

「すごい...」誰かが呟いた。

 

他の人にも見せようと交代しようとした瞬間の出来事だった。

備品の天体望遠鏡の「ボーちゃん2号」(田宮先輩命名)が発光しだした。

真っ白な光が天体望遠鏡から発している。

周りからは「なにこれ?!」やら「なんかの演出?!」、「ボーちゃん死んじゃ嫌!理事長から次はないって言われてるの!」、「天体望遠鏡から遠くに移動しよう!!」などの声が飛び交っていた。

その瞬間、視界が光に包まれた。

「星間神話録〜十二星間物語〜」を観てくださりありがとうございます!

この話の続きが読みたい、面白かったりしたら評価ポイントやブックマークなどしてくれたら嬉しいです!

これからもよろしくお願いします。

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