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異世界で作ろう!夢の快適空間in亜空間ワールド  作者: 風と空


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深空のダンジョン攻略編 閑話 おもてなし回

 夜島のリュシオル一族は、長を含め総勢153人?で亜空間ワールド入りをしたわけで、その世話を僕一人が担える訳もなく……

 

 「え?みんな協力してくれるの?」


 「当然です、マスター。浮島の街では受け入れ人数が10名、天然温泉郷では50名。残りは迎賓館にて宿泊し、街の案内は住民達が総出で出迎えるそうですよ」


 「あー、それでこんなに賑やかなんだね……」


 あの後、浮島街から既に地上の迎賓館へ移動していた僕ら。今いるのは、迎賓館大広間の悠蘭(ゆうらん)の間。


 悠蘭の間は、煌びやかな金箔やレリーフが壁一面を彩り、格調高い暖炉や天井からのシャンデリアが自慢の一室。


 そこにまずはリュシオル達全員引き連れて、誰がどこで世話を受けるかを相談中なんだけど。


 「浮島街は、私、元セイクリッドジェリーマーメイドの補佐一也と妻の二葉と、現在勉強中の元ホーリーハルピュイア15名が歓迎致します。街はいつも晴天、花が今でも咲き誇る天空の街。顔馴染みがいらっしゃる方は是非こちらへお越し下さい」


 いつの間にかジュドが作成していた浮島の映像を、スクリーンに投影しながらリュシオル達に説明する補佐さん。


 そう、実はリュシオル達に行きたい場所を選んで貰っている最中なんだ。亜空間ワールドは、個人の意思を尊重するからね。


 で、浮島以外にも当然他の場所の紹介もあるわけで……


 「こちらは亜空間火山の麓にある、新しく新設された温泉が自慢の温泉の街。温泉とは、地中から湧き出る温水で、様々な効能を楽しむ場所です。美肌や体力回復、癒しの効果もある泉質から、亜空間ワールド厳選仕様の魔力回復の温泉もございます。


 飲んでよし、浸かってよし、心を癒してよしの各種温泉を含め、私、元セイクリッドジェリーマーメイドの湯本(ゆもと) 湯治(とうじ)と妻の泉(いずみ)、看板娘の湧(わく)が、湯本旅館にてお世話致します。ゆっくり過ごしたい方は是非おいで下さい」


 亜空間天然温泉郷からは、湯本ご家族が来てくれたんだ。湯本旅館は、他にも女中さんや番頭さんもいる天然温泉郷名物の大きな旅館。


 勿論、湯本さんが説明している間も、スクリーンにジュド作成の温泉郷の映像が流れていたよ。


 湯気が広がる中、チラチラと降る雪が温泉に溶けて、これまたいい雰囲気で僕としては嬉しい限り。


 僕とジュドは、魔力回復温泉に長を連れて行くから、此処に合流予定なんだ。


 湯本一家の温泉郷紹介が終わると、次に前に出てきたのは、迎賓館で務める総合支配人の総括(そうかつ) 一(はじめ)さんと、明治大通り街から住民代表の代表(だいひょう) 源(げん)さんの二人。


 「明治温泉街から明治大通り街へと改名した我が街こそ、皆さんが生活する場となります。どんな場所でどのように生きていけるのか、街の住民達である元セイクリッドジェリーマーメイド達が体現しております。


 リュシオルの皆さんが想像しやすいように、街をあげて歓迎祭を行う予定です。期間中は、誰に話しかけても何処に入っても構いません。この機会にどなたでもお越し下さい」


 まずは代表さんが話している時も、明治時代にランクアップした街並みや商店街、住民街の様子がスクリーンに映し出されていたんだよ。


 けど、他と違って印象的だったのは、街の住民の生活の様子が多く映っていた事。


 ……ここ最近、街のみんなの様子を詳しく見てなかった僕。映像の中の住民達の楽し気な様子に、実はホッとしていたんだ。


 やっぱり亜空間ワールドの住民のみんなには、笑っていて欲しいからね。


 そんなことを思っている僕を横目に、話し終わった代表さんの後にスッと立ち上がったのは、僕が住む本館と迎賓館を束ねる執事服姿が似合う総括さん。


 「街を存分に楽しんだ後は、我が迎賓館にて皆様を歓待させて頂きます。亜空間ワールド随一であり、亜空間ワールドマスター淘汰様の本拠地であるこの『冴木宮廷』は、いわば亜空間ワールドの最先端。


 数多くの情報を取り入れるにも、マスター淘汰様のお世話をする事も、自らの能力を切り開くのに最適な場所!亜空間ワールドの中枢を知りたい方は、是非こちらにお越し下さい!」


 総括さんが話している時にも迎賓館の内部映像や、何故か僕のお世話をする様子や、大量の本がある図書室の様子がスクリーンに映し出されていたんだ。


 総括さん、最後には職員募集中!って熱く語ってたからさ。仕事多いのかなぁ?と少し心配になったけど……


 ため息を吐きながら言うジュド曰く、


「アレは日本文化に1番染まった男です。様々な事が試してみたい為、手足になる者を随時募集してますから気にしないで下さい」


 総括さんは、大の亜空間ワールド好きでやる気があって教える事が上手い人らしいから、ジュドは好きにやらせているんだってさ。


 セイクリッドジェリーマーメイド達にも、個性が出てきていい感じだねぇ。


 なんてみんなの成長振りに喜ぶ中、リュシオル達が選んで行く様をのんびり見てたんだけど、一方で、風光の跡メンバーやアクア様やエアはどうした?って思うでしょう?


 なんかね、エアとアクア様はちょっと気になる事があるからって風光の後メンバーを連れて、『深空のダンジョン』に戻っているんだ。


 風光の跡メンバーはかなり渋々だったけどね。


 まあ、後で天然温泉郷に合流するっていってたし、何かあればその時に教えてくれるんじゃないかな。


 「マスター、決まったみたいですよ?さあ、移動しましょう」


 ジュドに言われて気がつくと、僕らの周りに集合していた天然温泉郷行きのリュシオル達。どうやら、僕待ちだったんだね。


 移動中、『天然温泉郷行き』と書かれた手旗を持った笑顔の湯本湯治さんに、ニコニコと挨拶をされた僕。


 「淘汰様も初めてお越しくださると言う事で、うちの旅館あげて張り切ってますよ」


 僕の事はお気になさらずって言ったんだけど、「日頃の感謝を示せる機会ですから」と人の良い笑顔で言われたらねぇ。


 にこやかな奥さんの泉さんや元気いっぱい娘さんの湧さんも加わり、僕らを歓待してくれるからここはしっかりお世話になる事に決めたんだ。


 それにしても、本当に元セイクリッドジェリーマーメイド?って思うくらい人間らしくなっていた湯本一家。


 うん、リュシオル達の良い刺激になってくれそうだね。

 

 なんて納得していると、玄関に着いた僕らを迎賓館の外で待機していたスレイプニル馬車が迎えてくれてね。


 色々驚いているリュシオル達も乗せて、駅へと出発した天然温泉郷行き一行。


 リュシオル達は見るもの触るもの全てが新鮮なのか、アレは?コレは?の質問が飛ぶわ飛ぶわ。


 湯本一家やジュドも説明に加わり、ポッケの中で眠っていた長もヒョコッと顔を出すくらい、賑やかな道中になったよ。


 でも1番賑やかになったのは、やっぱり天然温泉郷行きホームに停車している専用電車に乗った時だよね!


 中に入ると木の香りと上品な緑の椅子に、迎賓館を思わせるレリーフが目を楽しませてくれる上品な内装の電車。


 リュシオル達は吊り革に乗って遊んだり、窓椅子をポンポン飛び跳ねたりと、車内を確認するのに飛び周って大はしゃぎ。


 僕も含めて車内を楽しんでいると、湯本一家が何やら箱を抱えて乗車してきたんだ。


 僕も覗き込んでみたらね……


 「白木さんのおにぎり弁当?」


 駅弁屋の白木さんが、どうやら差し入れをしてくれたんだって。


 「淘汰様が気になっていたと聞いて、いつでも渡せるように用意していたらしいですよ?日々おにぎりや弁当の研究が面白いんですって」


 研究熱心な白木さんの話をしながら、僕とジュドにお弁当を渡してくれた湯本奥様。


 僕がワクワクしながら木のお弁当箱を開けると、中に入っていたのは、まだほんのり温かい醤油焼きおにぎりと海苔巻き白米おにぎり。


 中身は焼いたキングブルーフィンテュナ(マグロ)だって言うんだから豪勢だよね!


 早速頂かせてもらった僕の幸せそうな顔を見て、興味を持ったんだろうね。


 まだ食事が楽しめないリュシオル達だけど、湯本さん達に「もうないのか?」って聞いているくらいだもん。


 湯本さん達もここぞとばかりにアピール。


 「この世界に生きるならば、食べると言う楽しみがあるんですよ!」


 実は、料理長も務めている湯本湯治さん。元セイクリッドジェリーマーメイドだった頃には考えられない『美味しい』と言う感覚に衝撃を受けた話は、リュシオル達も真剣になって聞いていたね。


 そして話し終わる頃には、プシュー……!ガコンッと動き出した蒸気機関車。


 「さあ!天然温泉郷行き列車、出発です!」


 元気よく車掌の真似をする娘の湧さんの声に、窓にピタッと張り付くリュシオル達。


 その様子は心からワクワクしているのが見て取れて、僕もほっこり。


 亜空間ワールド初の天然温泉郷は、リュシオル達にどう見えるんだろうね?楽しみだなぁ!

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