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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
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鵺〜ヌエ〜

声はトラツグミのごとく。

その身は、猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇だという。

海外で言うところのキメラみたいな存在である。


ある夜、寂しげな鳴き声に誘われるように外に出た。

どれくらい歩いたか。

それとも全く歩いてないのか。

時間感覚も、距離感も全くない。



これは夢なのか?

でも、鳴き声は続いている。

トラツグミ。

気がつくと、森の中にいた。


月明かりが照らす夜闇の中、風のざわめく音と、鳥の鳴き声だけが聞こえる。


祖父いわく。

鵺なんてのは、姿形もころころ変わる、音の怪に近い存在だ。


雷を呼ぶなんて言われちゃいるが、それも定かじゃねえ。

だが、気をつけろ。

奴らがいる先は、闇だ。



がさり、と音がする。

鳥の声は近づいて来ている。

そしてすぐ後ろに、何かの気配。


それは野生動物か、それとも…。

雨だ。

雨が降って来た。

そして、轟く雷鳴。

奴だ。鵺がないている。


鵺が雷を呼んだのだ!

稲光に照らされた森の中、1匹の獣が立っている。

頭は猿、か?


しかし、4つ足。

それ以上、近くでもなく遠ざかる訳でもなく。

それは一声鳴いた。


気がつくと、僕はいつもの

部屋の中にいた。

しかし。


足は泥だらけで、傷だらけだった。

あれは、夢ではなかったのか。

ふ、と枕元をみると、そこには血まみれの矢が置いてあった。

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