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両面宿儺〜リョウメンスクナ〜
飛騨に現れたとされる、その身丈十八尺、計8本の手足に頭が二つの異形であるとされる大妖怪だ。
しかし真に恐ろしいのはその姿形や、伝承だけではない。
祖父曰く。
捻じ曲げられた歴史なんてのは五万とある。
一方からの主義主張を信じちまったんじゃあ、真実が見えねぇ。
正義が勝つとは限らんが、勝った方が正義として名を残せるのさ。
実際。
両面宿儺は邪龍や悪鬼を退治し、寺院建立の祖とされる伝説も残されている。
大和王権からしたら、楯突く逆賊であり、怨敵である。
しかし、地元の人々からみれば、侵略者から土地を守る神にも見えたことだろう。
真実がどちらにあるかはわからない。
が。
真実すら捻じ曲げて伝えられたとしたならば、それは恐怖以外のなにものでもない。