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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
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─引き子さん─

 子供の頃は皆、不思議な物が見えていたと思う。

 たとえそれが妄想だったり、イマジナリーフレンドだったとしても、だ。

 それは怪異にも言える。

 なぜか子供の間で流行る妖怪たち。

 口裂け女、人面犬、テケテケ、メリーさん、赤マントに花子さん。

 学校には七不思議。

 たくさんの子供たちにの間で流行る怪異。

 しかし、噂になっている怪異は少なからず実在する。


 雨の日。

 久々に見かけた子供の頃の恐怖。


 ヒキ子さん。


 ただの子供の間での怪談話が現実になり得ることがあるのだろうか。


 祖父曰く。

 みんなが拝んでる仏像だの経文だの、十字架だのなんてぇのも、結局は人が作った物で、それを数えきれない人たちが信じたから力を得たんだ。

 なら、沢山の子供たちが信じたものが実態を持ってもおかしくはねぇ。


 雨の日に見つけた子供を見つけては引きずり回し、ボロボロの肉塊にしてしまうという妖怪。

 元はいじめられっ子で、いじめっ子にトラックの後ろに括り付けられ、それを知らずに走ったトラックに引きずり回されて死んでしまったらしい。

 悲しい怪異。しかしその怨恨は死後に人を殺す呪いとなった。

 何人もの犠牲者を出した都市伝説として、彼女は日本中で恐れられた。

 その恨みの塊が目の前にいる。

 俺の手を掴み、思い切り引っ張ってきた

 力が余りにも強く、引き剥がせずに少しずつ引きづられる。

 どうする!

 確か。

 鏡!俺は抵抗しながらも、角にある、車用のカーブミラーに奴を誘導する。


「!?」


 鏡をみた引き子さんは、自分の顔を隠しながら去っていった。

 子供の作り出す妖怪には、必ず対処法が付いて回る。

 対処法を信じている子供たちの力だ。

 今回は助かった。

 しかし。

 引き子さをのことを忘れず、怖がる子供たちがいる限り、彼女は成仏することはできないのだ。

 永遠に……。

 この話を聞いた人は気をつけたほうがいい。

ヒキ子さんは、話をきいた次の雨の日に姿を現わすのだから。

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