表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
27/37

─古杣─

大学に行く途中、長らく工事している駅を毎回通るのだが。

「おおい! 危ないぞ!」

と言う声とともに、轟音が聞こえる。

思わず上を見るが、特になにもない。

あたりの人も、何事かと僕を見る。

今の声と音はいったいなんだったのだろう。


その時、祖父の言葉が思い出された。

昔から音だけの怪はよくあることよ。

木が倒れる音を出し、注意を呼びかける。

古杣だの天狗倒しだの言われちゃいるが、山がなくなった今、どう怪異を起こすか、わかったもんじゃねえぞ。


それからしばらくして、工事の人に話しを聞くことができた。

やはり、声や音だけ聞こえて、実際には何も起こっていないことが多いそうだ。

いたずらの可能性も含めて警察に相談済みらしいが、犯人は捕まっていない。


しかし、作業員はそれでも仕事をしなければならない。

そしてついに。

事故が起きた。

いつもの如く、誰かのいたずらだろうと思った作業員が、声に耳を貸さず仕事を続けた所、瓦礫の下敷きになったのだ。


本来人の命を奪うことまではしない古杣だが、住処を奪われ、忘れ去られ、ぞんざいに扱われてその怒りを露わにしたのかもしれない。


自然と共に合った怪異は、あらたな居場所を求めてこの都会をさまよっているのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ