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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
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─人面犬─

一時期流行った人面犬。

人面犬、人面魚、件のように人頭獣身の化け物のは意外と多い。

その中にあって件などは、予知をするともされている。


友人がある日、僕を尋ねてきた。


件は予言するんでしょ?

なぜ他の人面犬とかはしないんだろうね。

ふとした疑問だったのだろう。

たしかにその通りで、僕も気になってしまった。

祖父の言葉にヒントがあるような気がして、頭の中を探してみる。


祖父曰く。

昔から人頭獣身の化け物と言やぁ、災厄の前触れと相場が決まってんだ。

中国の化蛇だ、燭陰だなんてのもおる。

人面犬にしろ、人面魚なんてのにしろ、バブルの崩壊でも予見してたんじゃねいえか?

その後やれ就職氷河期だ、リーマンショックだ、少子高齢化、震災に原発問題。ろくなことがありゃしねぇ。


動物は未来が見えるのだろうか?

人間に知り得ないことを知るすべを持ち、なんらかの形で人間に警鐘を鳴らしために現れるのだろうか。


しかし、今はいない。

人面犬なんてそんなものはただのフォークロアで、なんの信憑性もない。


夜な夜な聞こえる鳴き声。

情けなく鳴く犬の声にも聞こえるし、人の赤ん坊のようにも聞こえる。

つい。

気になってしまった。

意思とは無関係に体は外を歩く。

そして。

「あんたかい、波長が合っていたのは」

話かける男の声。でも、人影ない。

暗闇の向こうに相貌が見えるだけだ。

「おっと、俺の姿を見ない方がいいぜ。ショックで死んじまうわ」

カラカラと笑うその生き物はなんなのか。

「なに、とって食おうて訳じゃない、波長があう人間がいたから、良い事を教えてやろうと思ってな」

僕はなにがてきるでもなく、ただ話を聞いていた。


「あんた、死ぬよ?近々」


頭に鈍器で殴られたような衝撃ごはしる。

でも、体は金縛りに合い、声も出せない。

「ま、もし死にたくなけりゃあ」

その生き物は階段を上っていく。

その先は神社のようだ。

「この神社をお参りして、掃除でもするんだな」

それきり、声も姿もなくなって、気がつくと家のベッドの中だった。

すぐさま飛び起きて、昨日の神社に行った。

お参りをして、できる限りの掃除をして。

そして、この神社の由来を見てしまったのだ。

普賢神社。

いわゆる犬神払いのできる神社である。

人面犬は、犬神と関係があるのか?

もしくは犬神憑きとして死んでしまって、成仏できていないのでは…


人面犬などとあなどっていたが、犬神と関係があるのなら、それは脅威なのかもしれない……。


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