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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
25/37

─テケテケ─

朝、通学途中の電車の中。

人身事故のため、電車がとまっていた。

この時期には多くなるな、と思いつつ車内に閉じ込められてしまったので、友達に一報いれて、朝イチの講義は出れないかもメールを送った。



ずるり……。

なんの音だかはわからないが、なにかを引きずるような音がした。



ずるり……。

また、今僕はイヤホンで音楽を聴いている筈だ。



ズルリ……。

電車の事故から生まれた有名な妖怪を思い出す。

上半身しかない、テケテケという妖怪だ。



北海道で事故に逢い、上半身と下半身が千切れてしまっても、寒さのあまりに出血が止まり、数分間もがき苦しんだという。




その時、祖父の言葉を思い出した。

とかく、凄惨な事故ってのは怪談になりやすいのさ。

番町更屋敷だお岩だなんて悲劇もその類よ。



そして、そいつらはそいつらを信じる者がいる限り成仏できねぇのさ。

呪いみたいなもんだ。




呪縛霊、とでも言うのだろか。

こういう類の霊は、その霊の成仏を祈ってあげるといい。

心の中でお祈りをすると、電車が動き始めた。



これなら講義も途中参加できそうだ。

こうして授業に出れたわけだ。

結局、あの音はなんだったのだろうか?

音だけの怪異か、空耳だったのかも知れない。



ずるり……。

ひときわ大きな音がして、僕は机の下を覗き込む。

ーー足、いりませんか?ーー

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