22/37
─座敷童─
僕がまだ小さな頃の記憶。
それは横断歩道に突っ込んでくる車の姿だった。
気がついたら、見知らぬ病院の個室で沢山の管に繋がれたら状態。
僕は交通事故に遭って生死をさまよっていたのだ。
なぜか僕の横には見知らぬ着物を着た女の子がちょこん、と座っていた。
祖父曰く。
座敷の童は子供の妖怪だ。
基本的には無邪気だが、気まぐれも多いのさ。
奴らはなにを考えてるか、わからねぇぞ。
見舞いに来た婆ちゃんがそれは座敷童だ、幸せを運ぶ妖怪だ。だから助かったんじゃないかい?
と言ってくれた。
その話を聞いて僕はその子に好感を持っていた。
容体も悪化したり振り戻したりしながら、なんとか回復。
退院の日に僕は初めて声をかけて見た。
一言お礼が言いたかったのだ。
それに答えて、その子が耳打ちでかえしてくれた。
「なんで私と一緒に死んでくれかなったの?」