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─呪いの人形─
奥さんと子供を事故で亡くした親戚のおじさんがいる。
おじさんはその事故があっていらい、酒に浸って、廃人のような生活を送っていた。
そして、なぜか部屋の中に、おじさんには似つかわしくない可愛いらしい人形が置いてあった。
おじさんのなくなった娘さんが持っていたものだ。
なんでも、娘さんはとてもこの人形を大事にしていて、事故当時も持っていたらしい。
酷い事故にも関わらず、人形は無傷だった。
そして、おじさんは娘が大好きだったこの人形を、棺桶に入れて焼いた、というのだ。
祖父曰く。
人の形をしたもんは、魂が入りやすい。
たとえ売ろうが焼こうが、自分の住みやすい所に行くのさ。
自分の意志で、な。
祖父のいう通り、焼いたはずの人形は次の日には家に戻って来ていた。
何度捨てても、どこで供養しても、もどってくるのだ。
ある日、おじさんの家に行くと人形はなかった。
人形はどうしたのか?と尋ねると、おじはこう答えた。
「質屋にいれたよ。また帰ってくるんだ。こんないい質草はない」