─河童のミイラ─
実家に帰った際に、倉庫の奥底の地下から出てきた珍品を見ることとなった。
しかし、その中でも地下室から運び出せないほどのものがあった。
少なくとも祖父すらもその存在を知らなかった地下室。
そこにあったのは、河童のミイラ。
テレビの特番とかでも見かけたこともあるし、それが、偽物だとも判別したはずだ。
これもその類だろう。
でも。
『見える性質』の僕には見えてしまった。
これは、たしかに河童じゃない。
そんな生易しいものじゃない。
これは、特別強力な呪物だ。
祖父曰く。
即身仏。それは「死んだ人間がミイラになり、自らが御本尊になること」
つまり、このミイラは僧が命をかけてその身を仏にしたものだ。
ありがてぇじゃないが。
だがな。
そうじゃねえのは恐ろしいぞ。
これは「その身をミイラにする事により、相手を呪い殺す呪物となる事」が目的だ。
個人どころか、集落一つ呪い潰してもまだあまりある呪いを放つ禍つ神。
それは、うちの倉庫で丁重に祀られていたのだ。
捨てることも出来ず、社を取り壊すことも出来ず、呪いが雲散霧消するまで奉り続けなければいけない神。
いつになったらその怨嗟は消えるのだろうか。