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─ぬらりひょん─
○太郎が最近○娘のビジュアルが、変わり話題になったが、それで思いだした。
最近出会った物の怪のことを。
ふとした拍子に現れ、足元にまとわりついたり、腕に絡まる、ヌルりとした感触。
最初はなにかわからなかったが、祖父の言葉を思い出した。
祖父曰く。
ヒョンてのは、思いがけない拍子に、という意味で、感触はまさにぬらり、だ。
だからぬらりひょんとかいう名前になっちまった。
消して、妖怪の総大将なんかじゃねぇ。
しかしな。
こいつがひょんなことから、怪異を引き連れてやってくることがある。
気をつけろ、今もオメェの後ろにいるかもしれんぞ。
大学に入り、今まで以上に世界が広がった俺の前に現れた、ぬらりひょん。
こいつが怪異を持ち込んだのだろうか。
こいつ自体は無害だとしても。
目も効かぬ暗闇の中。
こいつに率いられた百鬼夜行が、今夜も俺の方へと近づいてきているのかもしれない。
眠る時、気をつけろ。
-奴らは、暗闇の中にいる-