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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
16/37

─青行燈─

ここはオカルト研究部の部室。

今日はここで、百物語をやるらしい。


このオカ研がある棟は昔、生徒が自殺をし、今もその霊が彷徨い出るという噂がある。


そして、見える質でもある俺が、なぜか呼ばれていた。

おかしい。

部室で飲み食いするだけという話だったのだが、いつのまにか百物語になっている……。


はっきり言って、この棟には霊はいない、断言できる。

しかし、雰囲気に押され、俺まで怖い話をしだしてしまった。

そして。


90話目が終わる頃。

耳鳴りがし始めた。

怪異が押し寄せてくる。

91…92…と終わりにつれ、耳鳴りは声に変わっていた。

今ならまだ間に合う。

今やめれば、怪異は起きないなのに。

百話目は俺だった。


祖父曰く

百物語ってのは、一種の降霊術みたいなもんよ。

物も百年経ちゃあ、立派な妖怪になる。

怪談だって百話やりゃあ、一つくらいは本物になるってもんだ。


百話目に話すのは、青行燈。

百物語が終わると現れる怪異。

この世とあの世のトンネルをつなげ、ここに怪異を呼び起こすのだ。


しかしそれは、百話目を話している僕自身なのか?

ガタガタと扉が震えて、ロウソクの火が消える。

周りは怯えて、逃げ出そうとするものもいた。

そう、これこそが本物の怪異だ!

…。

……。

………。


翌日。

一人でオカ研の部室で寝ている僕が、メンバーに発見された。

オカ研の連中に聞いても、百物語などやっていない、という。

ならばあれは……。

最初から最後まで、奴らの思う壺だったのかもしれない。


このオカ研のある棟に、魔魅穴が開いてしまった。

こうして部室棟の怪異は本物になったのだ。

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