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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
14/37

─口裂け女─

数十年前、日本を恐怖の渦に巻き込んだ口裂け女。

ネットでほかのホラーが流行るにつれ、全く姿を見なくなった。


が。

それは時期ではないだけだ。

数年単位で繰り返される、ホラー、オカルトの流行り廃りには原因がある。

ただ、存在が希薄になり、普通の人間には見えなくなってしまっただけなのだ。


そして、僕みたいな見える人間にとっては、奴らは未だに脅威でしかない。

特に日本人は、海外の人が驚くくらいにマスク着用率が高い。

感染防止、衛生。

理由は様々だが、その中に口裂け女がいないと、なぜ言い切れるのか?


祖父曰く。

奴らは恨み辛みを一身に受けて生まれちまった可哀想な忌子よ。

人が人を恨み、その恨みは憎しみとなって他者を傷つける。

そして、その憎しみが許容量を超えた時、生きながらにして妖怪さながらの容姿で生まれちまうのさ。


そして、その容姿のためいじめられ、恐れられ、徹底的に排他された忌子は、さらに恨み、憎しみを増して死後、人に仇なす妖怪となるのだ。


その典型的な妖怪が口裂け女だという。

世の中の、地獄にも等しい呪いを受け生まれ、それが発散されている間は、現れない。

そして、呪いが一定値を超えると、再び新たな妖怪として、この世でブームになるのだ。


人の輪廻から外れた、可哀想な妖怪。

人が人を恨み、憎み、妬む。

負の感情がなくならない限り、その輪廻の輪から抜け出すことはできない。



口裂け女が出てから数十年。

不平不満が募るこの世界に今度はまた、別の怪異として忌子は誕生するのかもしれない。

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