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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
12/37

─百目鬼─

店で買い物中、不穏なブザー音がなる。

警備員や店員が集まり、ひとりの女性を捕まえていた。

どうやら、万引きのようだ。

この一週間で、万引きの現場を見るのはこれで5回目。

嫌な予感が拭えない。

泥棒とセットで付いてくる、怪異、か。

そして、次の日。

6回目を見かけてしまった。

同じ大学でたまに講義も一緒になる奴だ。

俺は別に正義漢ぶるわけでもないし、犯罪を止めるほど勇気があるわけでもない。

しかし、今回は…。


祖父の言葉が蘇る。

言っちまえば、奴らはただの幻覚さ。

人に見られる、見られていたらどうしよう。

そう言った被害妄想が奴らに取り付くのさ。

昔は妖怪の仕業だと考えてたわけだ。


俺は思わずそいつの手を掴んで言ってしまった。

「みんな、見ているぞ!」

そいつは戸惑ったようになにかを怒鳴りながら逃げていった。

足元には万引きしようとした商品。


俺はやっちまった、と思いながら、商品を元に戻す。

少なからず力のある俺が吐いた言霊は、アイツに干渉するだろうか…。


数日後。

あれから万引き現場は見なくなった。

そして、例のアイツは精神的に参ってしまい、病院に通っているそうだ。

曰く。

常にに誰かに見られてる。

腕に目があるんだ。

潰しても、潰しても、何度でもできてくる。

視線が見えるんだ。


俺は、あの時に俺に付いていたものを最悪の形でアイツに受け渡してしまったんだ。

盗人に取り付くというのを、百の目を持つ鬼を…。

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