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百鬼徒然  作者: 葛葉幸一
10/37

─蒙古高句麗─

垢舐めが垢を舐めとる妖怪なら、皮を剥ぐような恐ろしい妖怪もいる。

まぁ、この都会で見かけることなんか珍しいが。

精々が転んで擦りむいたくらいのもんだろう。

しかし昔はそうはいかなかった。

ちょっとした傷でも、感染症から死に至ることすらあったのだ。

さらには戦争があった。

そういう時には、やつらには格好のエサ場だったであろう。


祖父の言葉を思い出す。

しかし、奴らは剥ぐものを変えたんだ。

垢舐めが、垢以外に人の記憶や常識なんかをなめとるように。

あいつらは魂を少しずつ剥ぎ取るのだ。


夜中にふと、体の痛みで起きたことはないだろうか。

寝違え、姿勢、そのせいもあるだろう。

歩いている時、腰を痛めたり、膝を痛めたりすることもあるはずだ。

もちろん、ギックリ腰や、捻ったり、酷使したりが原因だ。

または、加齢によるものもある。

それが人間だ。

99.9%の現実と0.1%の怪異。


しかし。

祖父曰く。

奴らは、剥ぐものを変えて力をつけた。

人の皮を剥ぐのをやめて、魂を少しずつ削るようになったのだ。

人間の医療が発展すればするほど、魂は減りにくくなる。

だからこそ奴らは飢えることなく増えて、力をつける。

対策すればするほど。


ーーモクリコクリーー

元々は蒙古襲来、元寇の恐怖が形をとった物の怪だが、少しずつ。

少しずつ、力を手に入れて。

少しずつ、魂の皮を剥ぎ。

少しずつ、人を死に追いやるのだ。

それは驚異的で、どうしようもなく絶望的な、逃れられない。

死。

そのもの。

そう、今この瞬間にも。

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