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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第六章】

【第六章】

 元城を抜いた戦勝祈願であったが、そこには呂布配下の西涼軍団が待ち構えていた。兵数36000を越える精鋭軍団である。それが数十部隊。

「一難去ってまた一難。か。」

「まるで2回目の攻城戦ですな。」

「どう攻めたら良いものか。」

「個別に当たって行っても、各個撃破されそうですな。一旦、皆が集まるのを待ちましょう。」

 西涼軍団。厄介なのは、ただそこにいるだけではなく防衛占領もしてくる。こちらに気付けば配置を解いて攻めてくる。こちらが下手に動くと相手は軍団を展開してくるようだ。

「敵の力量を見定める必要があろう。まず、私が当たってみよう。」

盟主である龍鬼が精鋭部隊をぶつけ、敵の様子を探ってくれた。

「情報を得ました。どうやらこちらが占領した高資源地以上の土地は取らなくなる様子。私が強度7の土地を取ってみましょう。」

舞鳰がそう告げて、実行する。

「なんとかうまく行きそうですな。では、舞鳰殿の占領完了を合図に、総突撃とする。」

 苦戦の末、最初の西涼軍団を殲滅した。

「よし!それでは、先駆者として、我らは魏郡南部を南西へ縦断し、陽武を目指す。」

「地道な連携作業となる。主力の育成と並行し、足場部隊を、ぜひ派遣していただきたい。」


 最初の西涼軍団との戦闘の経験から、戦勝祈願の一同は、西涼軍団の視野の外を慎重に支配地を繋げていった。次から次へ声をかけながら。そして補いながら。昨日の元城攻略とは一転して地道な作業である。しかし、のちのち、この静かな遠征は、魏郡全体を支配する礎となる。


 気の遠くなるような遠征の途中。宿営地を定め、諸将が寝入っている所に、緊急事態が起こった。誰かが西涼軍団の監視範囲に踏み込み、そうとは気づかず、宿営地へ入ってしまった。気づいて追跡を始めた西涼軍団を、知らず知らずのうちに率いて。

「まずいぞ。多くの将兵が、休息の眠りに落ちている。このまま突っ込まれたら!」

 そこへ一人の武将が動いた。戦勝祈願の遠征に随行していた友軍・百家涼藍の将、超良である。彼は身を挺して西涼軍団の進路上に駐屯し、飛び込んでくる西涼軍団を薙ぎ払った。

「一時は、どうなることかと思ったが。猛者がいてくれて助かった。」

 超良は、反応した西涼軍団を全て追い返すと、回復のため引き上げていった。

「超良殿、ありがとうございました。」

 気づきながらも寡兵しか持たず、立ちすくんでいた部隊長たちの感謝の声を背中に受けて彼は静かに右手をあげ、振り返りもせず立ち去っていく。

「静かなる勇者、だな。」

「彼の尽力を無駄にするまい。河朔全ての兵のために、この行軍をなんとしても成し遂げようではないか。」


 同盟を越えた連携。これがある限り、勝利の女神はそばにいる。友好同盟と語り合い、わかり合い、大きな力を生み出すことは必要不可欠である。

 もう一度、言おう。絆こそが、最高の戦略だと。


【章末】


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