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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第三章】

【第三章】

 寿張攻略には慎重さが求められた。

 一発で決める。そこには河朔州を先導する同盟の意地がある。準備が万端整っている事を見極めることも必要となる。

 司令官の破鉄から、部隊種ごとの集合地点が指示された。これまでは目的の城を囲むように、任意の場所に諸将が部隊を置いていた。それでよかった。全体数がなんとなくわかれば、攻城開始の指示を出せた。

 しかし、今回はそうはいかぬ。攻城開始前に、確認と計算をする必要がある。

 殲滅部隊が何隊集まったか、兵器部隊はどれほど居るのか。

 この数を可能な限り正確に把握し、それぞれの攻撃力・攻城値を推察して、計算をしておかなければならない。洒落で場所を指定しているわけではない。


「連戦ですからな。何かの都合で派兵できない諸将が多くなることも、ないとはいえぬ。」

「我ら『戦勝祈願』が邁進するためには、失敗が許されない。」

「場合によっては、中止・延期という苦渋の決断を、幹部たちがしなくてはならない。そのことを理解して、我らは精一杯、努力をしましょうぞ。」


 集合場所指定の意味を理解する君主が、他の君主に呼びかけた。寿張は大きな城だ。今までの快進撃に気を許してはならない。皆が気を引き締める。


 かくして寿張の攻略が始まった。が、駐城部隊が抜けない。諸将とも犠牲を厭わぬ突撃を繰り返すが、抜けない。

「兵数の差が大きすぎるようですな。」

「これは厳しい。」

 盟主・龍鬼と司令官・破鉄が、冷静に戦況を眺める。

「よし、中止しよう。出直して自強を重ねてもらおう。」

「致し方ありませぬな。諸将!攻城中止。撤退。」

「皆さん、出直します!良い経験でした。それぞれの兵力を高めて再度、挑みましょう。」

 号令一下、諸将が兵を引く。しかし、悲嘆に暮れる者の姿はない。撤退の最中にあっても、諸将の目は前を見ている。それぞれがこれを経験と捉え、急ぎ領国を戻り、さっそく部隊の鍛錬に取り掛かった。

「次の攻城は明日ですかな。」

「いや、焦って失敗を繰り返すのは愚かでしょう。ここは一日、回復と鍛錬の時間を設けましょう。」

「承った。」

 自強に悪戦苦闘する者も多い。なぜここまで急ぐのか。そう嘆息しながらも富国強兵に努めねばならぬ。

 富国と強兵。この二つは大事な関係にある。しかし今、求められるのは強兵。『富国あって初めて強兵ができるのではないか。』そういう声も聞かれるが、今は強兵が必要なのだ。そこには、幹部会の全体戦略がある。それは・・・


【章末】


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