【第二章】
【第二章】
戦勝祈願の最初の攻城は、中都。強度4だけあって難なく落とせた。予想よりも早い16分。
「これは素晴らしい。トドメの一撃は 遊三剛 殿か。」
「想定外の楽勝でしたが、油断はできませんな。」
「うむ。次は曲梁。強度は5だが、難しさは倍と思ったほうが良い。」
「これより半日で、諸将がどれほど兵を強くできるか。」
半日後、曲梁攻城。駐城部隊は1分ほどで薙ぎ払ったが5万を数えるその耐久値は、一抹の不安を与えた。しかし。
「これは!良い勢いじゃな。27分で落とすか?!」
「幸先が良い。我らの今後の明るさを示唆しているようじゃ。」
「トドメは・・・、ご老人だ。」
「昇殿か!暴嵐龍の名は、老いてもご健在か。美味しいところを持って行かれる。」
老将・昇を知るものは苦笑する。今ではすっかり好々爺という風情だが、胸中に飼い殺す龍がいる。迂闊にタダの老人と侮った若者が、眼力だけで凍りつく場面が今でもある。
「しかし体は正直なようで。腰をさすりながら、従者に両脇を抱えられながら幕舎に戻って来られたわ。」
諸将は、その格差に爆笑を隠さなかった。特に『勝願』出身の諸将は敬愛を込めて豪快に笑った。
諸将が意気揚々と引き上げる最中、次の指令が届いた。
「明日は寿張か。また一段、高い防御力を誇る城じゃな。」
「これから自強できるものは励まねばならんな。」
「勝って兜の、か。油断はできぬな。」
「さよう、この速さで2つ目の城を落とした我らの名は、全土に知られておろう。明日、しくじると妬む輩の嘲笑を買うぞ。」
「軍備と自強。進めねばな。」
こうして、同盟・戦勝祈願の最初の攻城二連は無事に終わった。しかし、これはこれから長く続く戦乱の始まりでしかない。諸将が自強に努め、支配下の城を増やし、同盟全体の力量を高め続けねばならぬ。
励め。これから始まる大乱世に向けて。
【章末】