USJがあるところ
夜に家を出て、朝方に帰ってくる君。君の家で過ごした1ヶ月は、僕の生活リズムをめちゃくちゃにした。夜ご飯は自分でどうにかしないといけないから、最寄りのコンビニの場所を覚えなくちゃいけなかった。カップ麺で済ませると、帰ってきた君に怒られた。説教の途中でも、彼女の好きな曲を流してやると笑って許してくれる。このやり取りが好きだった。
昼間は一緒に寝て過ごした。夜になると、彼女はまた行ってしまう。ガルバのバイトだって僕に嘘をついて、風俗街に消えていってしまう。キイキイ音を鳴らすシングルベッドで彼女を抱きしめて、夜がこないことを祈りながら眠りにつこうとしたけど、カーテンの隙間から差し込む光が眩しすぎて、なかなか眠れなかった。
使っているところを見たことがないゲーミングPC、系統がばらばらの服が掛かったラック、いつ吸い始めたのかも知らないマルボロ・ダブルバースト、棚の奥に押し込まれていた開封済みの妊娠検査薬。確かに君の家のはずだけど、ふとここが何処だか分からなくなる。知らない土地で、知りたくないことを知る。彼女とは、それきり会っていない。