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18 『記憶域ノ回復』

「《()(おく)(いき)(かい)(ふく)》」


 それが、二人の友人の持つ魔法の名前だった。


「オレはおそらく、彼の魔法のすべては知らない」

「これが《()(じゅう)(そう)()》の一つであり、《()(おく)(いき)(しょう)(きょ)》と対をなす魔法であることさえわかっていれば充分さ」

「だな」


 カードが消えて、レオーネは左手でロメオに触れた。


「右手は記憶の消去で、そのとき考えていたことを忘れ頭が朦朧とし、嘘を吹き込まれやすくなる。反対に、記憶を引き出すには、左手で触れる必要がある」


 もし自分の記憶を思い出したければ、左手で自分を触ればいい。

 発動条件は簡単である。

 これを、レオーネはロメオにした。


「人間はすべての記憶を留めているが、引き出しにしまわれていて取り出しにくい状態にあるだけだと彼は言った。引き出しから記憶をすくうのは、砂がさらさらとこぼれるように、取りこぼしがある。だが、この魔法があれば完璧に思い出せる。どうだ? ロメオ」


 魔法によって、ロメオは完全に思い出すことができていた。

 過去の記憶が呼び起こされる。


 ――……そうか。ワタシは、そこで聞いたのか。


 目を閉じて沈思する。

 鮮やかに思い出が蘇るばかりで、計算などなにもなかった。

 再び目を開き、つぶやく。


「ジュスト」


 その名前を聞いて、レオーネは少しだけ瞳を大きくした。それはロメオだけでなく、レオーネも知っている名前だったからである。

 一言で表すと、昔の友人。

 昔馴染みで、もう五年以上も会っていない。もちろん、レオーネとロメオは物心ついた頃からずっといっしょだったから、二人の共通の友人だった。


「つながったよ」

「そういうことだ」

「マンフレード博士の名に聞き覚えがあったのもそのためだったんだな」

「ああ」


 ロメオは空を見つめてつぶやいた。


「《気象ノ卵(ウェザー・エッグ)》はあいつも口にしたことがあった。そして、マンフレード博士は、あいつの父親だ」

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