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2:俺と姉ちゃんの前世

前話で7歳で第三王子と婚約した、と主人公が語ってますが、7歳なのは姉のベリエット。第三王子は4歳です。


2人の前世をダイジェストでお送りします。

母親がちょっとどうなの?と思われるかもしれません。

お姉ちゃんはイジメに遭っています。あまり詳しくは書いてませんが。

ダメな方は読み飛ばす事をおすすめします。

俺と姉ちゃんは日本では一般家庭の人だった。2歳違いなんだけど姉ちゃんは穏和な性格で幼い頃から泣き虫の怖がりな姉ちゃんを泣かせるのが俺は好きだった。中学生になる頃にはさすがに姉ちゃんを泣かせるのはバカらしいので辞めたが、その代わり姉ちゃんを守る事が多くなった。


姉ちゃんは大人しい性格だ。大声を上げる事も出来ない。顔はそんなに可愛いわけじゃないのだが何故か身体の発育は良かった。胸の辺りが特に。そりゃあ男の目を引きつける引きつける。そして姉ちゃんは割と鈍かった。男共のそんな欲望塗れの視線に気づかない事が多くて俺は追い払うのに必死だった。

中学時代の姉ちゃんは恋愛に興味が無くて告白は全部断っていたから良かった。問題は高校生になってからだった。勉強はそれなりに出来た姉ちゃんは進学校に進んだ。電車通学になって痴漢に合わないと良いなぁと思っていたので、姉ちゃんには口酸っぱく座席を確保するように言い聞かせた。その甲斐あって痴漢には合わなかったみたいなんだが。


姉ちゃんが高校2年生になった頃……好きな人が出来た。

それは良い。

俺は応援する気満々だった。

なのに。


あのクソババァが全てを台無しにした。クソババァとは俺と姉ちゃんの母親だ。父親に浮気されて離婚して俺達を育てていた。それもまぁ別にいい。寧ろ感謝はしている。2人を育てるのは大変だと思うし。ただ父親に裏切られた反動か、随分俺達に干渉してきた。何しろ姉ちゃんに女子高へ行くよう強制的に指示した。姉ちゃんは行きたい高校があるからと結局共学に行ったがそこで好きな男が出来た。

それをクソババァが知った。

その後のクソババァは行動が早かった。先ずは姉ちゃんの好きな相手を探偵雇って調べた。普通そこまでするか? 完全に姉ちゃんの片思いなんだぜ? 家を突き止めるとその家に行って「おたくの息子さんがうちの娘を誑かした」と宣った。

有り得ねー。

更には姉ちゃんにその男を紹介した友人にも「うちの娘に男を紹介するなんてふしだらな娘」だと家に押し掛けて言った……そうだ。


俺がこの事を知ったのは、日に日に顔色が悪くなり食欲を無くした挙げ句、顔に痣が出来た姉ちゃんを心配して、話せ! と問い詰めたからだ。姉ちゃんは、高校でイジメに遭っていた。それもこれもクソババァが姉ちゃんの友人に「ふしだら」とか捲し立てた結果だった。


「私達みたいなふしだらな娘とあなたとじゃ住む世界が違うみたいだから」

とか何とか言われ、そのうち嫌味を言うだけじゃなく、上履きを隠され水をかけられ無視をされて一人ぼっちにさせられた。更に姉ちゃんに追い討ちを掛けたのは、姉ちゃんが好きになった男だった。誑かしていないのに誑かしたと言われて親からこっぴどく叱られた、らしい。それについては謝る。

けど、それだけじゃなくてその腹いせに「お前みたいな陰気臭い女に好かれても嬉しくないんだよ!」と言って、殴られた。その痣がこれか! 俺は泣きながら話す姉ちゃんを、頭を撫でて慰めるしかなかった。仕事から帰って来たクソババァに文句を言ってやる! と息巻いた俺を姉ちゃんは止めた。


「あのお母さんの事だから、イジメに遭っている、なんて聞いたらまた何を仕出かすか分からない」


全くもってその通りで。俺は無力な自分が情けなかった。姉ちゃんに「何も出来なくてごめん」と謝るしかなかった。そんな俺に姉ちゃんは「ゆうちゃんが話を聞いてくれたから良かった」と笑った。それから俺は駅まで姉ちゃんを送って行ってから中学へ通った。帰りも駅まで姉ちゃんを迎えに行って一緒に帰って来た。無力な俺が出来る精一杯だった。


それから数日。

食欲が無い所為で痩せてしまった姉ちゃんは、フラフラと歩道から車道に出てしまった。俺は直ぐに歩道に戻そうと手を伸ばした時に、車が見えた。

そこで俺の意識が無くなりーー気付いたら俺は3歳児だった。

次話は今世に戻ります。

弟は前世の無力さを嘆いていたので、今世は小さい頃からかなり頑張ってます。


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