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18:大事だからこそ姉ちゃんを傷付ける

ヒュルトユウリが言いたい事を言う回。感情爆発させまくり。でもだからこそベリエットに届く想いがある。何故ならヒュルトユウリは“弟”だから。

「うわぁあああ! 姉ちゃんのバカヤロウ!」


俺の叫びに姉ちゃんが目を丸くした。


「ゆ、ゆうちゃん」


「姉ちゃんは俺のこと何とも思ってないんだなっ!」


子どもみたいだけどもうそれで良いと思う。言いたい事言って姉ちゃんを困らせても泣かせても傷付けても生きてもらいたいから。


「そんなこと」


「あるだろ! こんだけ俺も両親も使用人も皆心配してるのに生きたいって言いながら生きる気力が湧かないんだから俺も皆もどうでもいいって思っているんだろ!」


「ちが」


「違わないっ! 何が生きたいけど生きようと思えないだよっ。じゃあ何か? 俺の声は届かないのか? 両親の声は? ハルトもルークもトホルスも姉ちゃんのために見舞いだ、診察だって忙しい中来てるその気持ちは? 姉ちゃんだって解ってんだろ! ハルトもルークも王子で普段から執務だ国政だ外交だってあちこち忙しくしていて、トホルスだって若いながら優秀だからってあちこちから声をかけられて診察してる中、来てるんだぞ!」


姉ちゃんは俺を弾かれたような表情で見てそれから視線を左右に彷徨わせた。


「それなのに姉ちゃんのところに来てるってどんだけ心配して友達想いか分かるよなっ⁉︎ だけど俺達の声は届かないって、それはもう俺達なんかどうでもいいって言ってるのと同じだろ! そんなにあのバカがいいのかよ! それならいくらでも泣いていればいいよ! 姉ちゃんもバカだし、バカはバカだからお似合いじゃないかっ」


「ユウちゃん……」


「あのバカがそんなに好きで好きで仕方ないなら浮気されようが側妃を先に迎えられようが結婚すれば良いじゃん! 俺達がこんなにも姉ちゃんを大事に思っている言葉が届かないなら! 蔑ろにされてもランスベルトの言葉しか要らないなら! アイツの言う事だけ聞いてっ。アイツが気紛れに姉ちゃんの元を訪れるのを待てば良いじゃん! それでも、俺達の声が聞こえない姉ちゃんにはそれが幸せなんだろ!」


あー。こんな風に感情を爆発させて声を荒げるなんてどれくらいぶりだろう。子どもの頃はあったと思うけれど姉ちゃんには決して見せなかったはず。こんな風に姉ちゃんに感情を露わにしたのはそれこそ前世の子どもの頃以来、かもしれない。


「ゆうちゃん。あの。……ごめん」


「なんだよっ。言いたい事が有るなら言えばいいだろっ。俺達は前世からずっと姉弟なんだぞ!」


……ホントいくつのガキだろう、俺。


だけど姉ちゃんは、嬉しそうに笑って頷いた。


「そうね。そうよね。ゆうちゃんが……ユウちゃんが居てくれたものね。ゆうちゃんごめん。姉ちゃんが間違ってた」


そう言った姉ちゃんの目は輝いていて力強かった。それは前世でガキだった俺を自分だって子どもで怖いはずなのに、必死で守ろうとしていた頃の姉ちゃんの目と同じで。ああもう大丈夫だと俺はそう思えた。


「姉ちゃん……」


それ以上何も言えない俺の耳にノック音が聞こえてそちらを見れば、開いたドアを叩くトホルスの姿が有った。

ヒュルトユウリに怒鳴られ感情をぶつけられてようやく我に返ったベリエット。“弟”の気持ちに触れて自分が“姉”である事を思い出しました。


そして次話はトホルス視点。20話目がベリエット視点。21話目はヒュルトユウリに戻る……はず←

もしかしたら21話目も別視点になるかもしれないですが、まだ何とも。とりあえずまた明日。

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