ちょっと斬新な異世界厨二病ファンタジー
第1章 第1部 異世界始めました。
「今日も疲れたなぁ…バイト先の店長まじで怠い…」
そう言いながら俺はベッドに入る。そして、両腕に力を入れてみる。
「ふんっ!…って、こんな事しても剣とかでないよな…いい歳して何やってるんだよ俺…」
そう言ってちょっと恥ずかしくなったので今日は寝ることにした。そして翌朝…
「んー!今日もよく寝た…ってえっ!!えーっと、ここはどこだ?俺のベッドは?」
なんと起きたら俺は野原の上で寝ていた。そこに1人の、少女が現れた。
「…こんにちは。」
「え?あ…こ、こんにちは。」
突然現れたその美女は名前をロレーナと言った。
「あなたの名前は何と言うのですか?」
「あ、自己紹介がまだだったね。俺は天音 剣人よろしくな。」
軽い挨拶を交わした後、彼女が切り出した内容に俺は驚いた。
「私、エルフという種族で…」
「え!?え、エルフ!?ちょっ…ちょっと待ってくれ。」
「はい?」
「はい?じゃなくて!今、エルフって言ったよね?」
「はい。そうですが…」
「…って事は、ここは…」
「あ!そうでした、あなたにこの世界のこと言っていませんでしたね。そうです。あなたの思う通り、この世界はあなたにとって異世界です。剣や魔法が飛び交う、異世界です。」
俺はとても驚いたが、心の中にある厨二病がとても喜んでいた気がした。
「そして、私はあなたを王都であるアルバーナに案内するガイド役です。早速ですが、準備が出来次第案内させていただきます。」
「お、おう…アルバーナ…なんか凄そうだな。いや、すごいよな、王都って言うほどなんだし…」
俺は少し心の整理をして、数分後出発することにした。
「そういえば、ここからその…アルバーナ?にはどれくらいかかるんだ?」
「そうですね。ここからですと、このペースであと1日ちょっとと言うところでしょうか。」
「と、言う事は…野宿するのか!」
「は、はい。そうなりますね。」
俺は異世界で、魔物もいるだろうに野宿と聞いてとても怖くなった。
「あ、でも大丈夫ですよ!ここら辺の魔物は弱いですし、私だけで護衛が務まるので。あの時までは…」
「やっぱり魔物出るのか!…って、あの時?」
「いえ、何でもありません。聞かなかった事にしてください。そろそろ日が暮れます。私は食材を調達してくるので、しばらくここでお待ちください。」
そうして、彼女が夕飯を振る舞ってくれた。異世界だけあってとても食材とかは俺の世界と比べかなり変わっているものもあるものの、味としてはとても美味しかった。
「明日も早いです。もう寝ましょう。」
「分かった。それじゃ、お休み。」
第1章 第2部 真実の闇
その日の夜。俺は上手く寝付けられなかった。ずっと頭の中で彼女が昼間に行った"あの時"と言う言葉がとても気になってしまい、考え込んでしまった。そうしているうちに朝になった。
「おはようございます。このペースで行けば今日の夕暮れ時には王都に着けそうです。頑張っていきましょう。」
「うん…」
やっぱりどこか、胸騒ぎがした。そして、昼時。俺は思い切って聞いてみる事にした。
「あのさ。」
「はい?」
「ロレーナが昨日言ってたあの時って、どう言う事?隠さないで正直に言って欲しい。」
「…」
ロレーナは少し黙り込んだ。
「…わかりました。」
俺は軽く見ていた。やっぱり聞かなければと思った。
「私、今日。王都に着くすぐ手前で殺されます。死ぬんです私…」
「え?ちょっと、何急に物騒なこと言っているんだ。」
「ですから、私が昨日行ったあの時とは、殺される時という事です。」
彼女がそう言った時、頭の中で聞いてしまった罪悪感と、それが事実であるだろうと言う恐怖につい、唖然としてしまった。
「でも、心配しないで下さい。ガイドエルフは全員そう言う定めですから。」
俺はその言葉につい反射的に言ってしまった。
「何言っているんだ!死ぬんだぞ。怖くないのかよ?」
「いえ、確かに怖いですけど、私たちはその定めに逆らう事はできません。」
彼女のその言葉に俺は何も反論出来なかった。
そうして、夕暮れ時。
「もうそろそろ王都です。ですから、もうそろそろお別れですね。」
「…ああ。そうだな。」
不器用なせいか、俺は悲しさを隠す事ができなかった。
その時、
「グウォォォォ!!!」
突然とても強そうな魔物が現れた。それを目にした途端、彼女の昼間の言葉が頭を過ぎる。これが、この時が別れ。彼女が死ぬ時なのかと。そう確信した。そして、
「あなたは走って王都の方へ逃げて下さい!私はもう…死ぬんですから。」
本当はここで彼女の言う通りにして王都に行くのだろう。だが、
「いや、逃げないよ。俺も戦う。」
「…!!何を馬鹿なことを!そんなことをしたらあなたまで死んでしまいます。早く逃げて下さい!」
「嫌だ!俺は、ロレーナを死なせたくない!もし、君が死ぬのなら、俺もここで死ぬ!」
勝手に自分の口からその言葉が出た。言い切ったものの、異世界で戦った事なんてもちろん一度もないため、勝てる見込みどころか、まともに戦える自信すらなく、足も震えていた。
「…ありがとうございます。しかし、その様な感じではただの足手まとい。自殺行為に過ぎません。ですので、早く逃げて下さい。」
彼女が俺を流そうと必死なのもとてもわかる。何故なら彼女はガイドエルフ。俺を王都へ導くために生まれてきたのだろう。そんな彼女にこんな事をするのはある意味の冒涜に過ぎないのだろう。
「本当に戦う気なのですね。…分かりました。私は弓で戦うので、全然お願いします。」
「分かった。」
と言っても武器は途中で拾った棍棒のみ。剣など何一つ持っていなかった。そのとき、俺は元の世界でのことを思い出した。
「今だったらできるかもしれない…」
何故か自信に満ち溢れてきた。そして、棍棒を投げ、両腕に力を入れ、剣を想像した。
「剣よ…頼むから、でろ!空想錬成!!」
その途端、頭の中で思い浮かべた通りの剣が右手に出来上がった。
「すごい。これなら、戦える!」
異世界だけあって、本来より体も軽く力もうまく入る気がした。しかし、魔物だけあってこんなへなちょこな力では全然刃が入らず擦り傷程度しか負わせられない。
「くそっ、くそ!これじゃあ勝てない。」
その時。
「きゃっ!」
ロレーナの声がした。彼女の悲鳴を聞いた時、俺はとても怖くなった。彼女が死んでしまう。そう過ぎったのだ。
「力…もっと力があれば!」
そこで俺は、前の世界の漫画で書かれていた、超高速移動と、限界突破を利用するパワー攻撃の重ね技。それが頭の中から浮かんできた。
「あれを再現するしかない。」
俺は、その漫画の主人公が着けていたゴーグルを剣と同じように作り、そのゴーグルをつけ、そして、全身に力入れ、叫んだ。
「限界突破!!」
その途端。体全身から力が溢れ、身体がとても軽くなった。
次に、一回深く深呼吸をし、姿勢を比較して剣を構えた。そして。
「超高速攻撃、開始。」
その途端、周りの動きがスローモーションになった。俺はただ、敵を倒し、彼女を救い出すことだけを考え、動きが遅くなった敵に思いっきり剣を斬り込む。そして、全部の敵に斬り込んだ後に、軽く深呼吸をした途端。スローモーションが解けて魔物たちはバタバタと倒れていく。俺は、彼女を救う事ができたのだ。
「あ、あっという間に倒してしまった…」
彼女はびっくりしていた。
「ほ、本当に倒せた。ま、守れたんだ。」
俺はとても嬉しくなり、その後、驚いている彼女の手を取り、共に王都へ向かった。彼女を助ける事が今後彼を危機的状況に陥らせることも知らずに。