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野獣学園

作者: 安達邦夫



はじまり


3.


小さな鳥のチチチッという鳴き声に、慶子は目を覚ますと、ゆっくりあたりを見回した。

静かな朝の気配。真新しいシーツ。フカフカのベット。

繁華街で若者に絡まれた記憶が甦る。

ここは?と思った瞬間だった。

「あら、まだゆっくりしていらしてくださいね」聞き覚えのある女性の声が、主と共ににこやかに部屋に入ってきた。あの家政婦だった。

ベットの横にある小机に、温かい紅茶を置くや、「先生。昨夜お坊っちゃんに背負われていらして……びっくりするやら。だいぶお顔の色も良くなって。先生て、すっぴんでもおきれいなんですわね」おほほと言いながら、出ていく。

ベットの頭の上に、衣服がきれいにたたんで置かれていた。

恥ずかしさに顔が赤らんでくる。身の回りの世話を家政婦さんがしたであろうことを思い至ると動揺したことを悔やんだ。

教師としたことが、なんて言う失態だろう!おまけに教え子に助けられて……。

そうなんだ!わたし、蘭くんに助けられたんだわ、と思った。絶体絶命のピンチに現れたヒーローのように……。

身仕度をすると、紅茶を飲むのも辞して、あららぎ邸を後にしたのである。

その時、その近くにサングラスの男がいた。塀の角に隠れている。もちろん、女教師は知るよしもない。

吸いさしの煙草を靴で踏みつけると、ふっと男は姿を消していた。


つづく


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