ダイヴ
※以前に投稿した事のある作品になります。
この作品は穏やかな時間と切羽詰まった時間の二つを繰り返すループ物です。
心地好い波の音が聞こえてくる。浜辺付近に生えている草木の音が穏やかだ。
この優しい時間を過ごす。白いワンピースを見に包み、浜辺の上で寝転がっている。時と共に流れて行く雲を見つめて――ああ、自分は何てちっぽけなんだろうかと思い込む。
自分と雲の距離は相当あるに違いない。そして、その雲を突き抜けて成層圏を出ると、最早自分がどこにいたかなんてほぼ分からない程。更に宇宙へと出たならば、太陽系の星々が待ち構えている。太陽の大きさなんて開いた口が塞がらないはずだ。
更に更に、太陽系を出たならば、そこには銀河が待ち構えていて、自分は目に見えない――まさしく人ごみであろう。それ程までに世界は、宇宙はスケールが大きい。本当に己の存在が見えなくなる程である。
ずっと青空を眺めていていると、妙な感覚に包まれた。海の方からやってくる風が体を包み込んでいて気持ちが良い。思わず、目を閉じて開けると、そこには――自分は海面の上に立っていた。
あまりの出来事に戸惑いは隠せない。周りに先程までいた浜辺が見えない。
こんな事、ありえない。夢に違いないとはっきりとしない意識の中で海上を素足で走っているのだから夢で間違いない。足に水が付いているという感覚は無い。
後ろから押し寄せてくる海風に流されるがまま、走り行く。
やがて、息切れもせずして立ち止まった先では知らない誰かの声が聞こえて来ていた。
「夢の意すらも解さぬとは、実に不明である」
だからこそ、理解が出来なかった。その場で立ち止まる自分にそのまま崩れ落ちるような感覚が襲ってきた。海面の上でバランスが取る事が出来ずに――海中へとダイヴしてしまう。
下へ、下へと重心に逆らう事が出来ずして海底へと引き摺りこまれる。このまま、ずっと落ちて行く運命なのだろうかと言う恐怖心に煽られたところで――目が覚めた。
視界に映るのは青空に流れるようにして存在する空と雲。いつも聞き慣れた波の音と草木の話し声に耳を傾けては優しい時間を浜辺で寝転がって過ごしていた。




