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2-EX1 理由

 ***


 月明りが唯一の光源となる夜のビオス平原は、たった今、まるで地震が起こっているかのような揺れに襲われているところだった。


 しかし、その揺れは自然現象によって起こっているのではなく、人為的――すなわち、ビオス平原を馬で渡っている集団によるものだ。


 馬に跨っている彼らは、風を裂くように進み、ビオス平原の広さなど関係なほどの速さを出している。その速さを何百という馬が同時に出しているのだから、ビオス平原は力強く揺れるのは致し方なかった。

 そんな集団を、ビオス平原を渡る人は何事かと見つめるが、彼らの正体に気付くとすぐに納得し、自らの旅路に戻った。


 そう――、今ビオス平原を駆け抜けている集団は、この世界に知らない人など誰もいないシエル教団である。


 彼らはグリーネ大国から隣国フラウム王国に向かっている最中だ。グリーネ大国においての巡回をヴェルルにて終止符を打った彼らは、休むことなく、フラウム王国でも巡回を始めようとしているのだ。

 移動中であるシエル教団の集団の真ん中に、ひときわ目立つ駕籠のようなものがあった。否、それはただの駕籠と呼ぶには厳重に、丁重に扱われ過ぎていて、普通とは一線を画していることが分かる。まるで王室ごと移動させるかのような扱いである。

 それだけではなく、駕籠の中からは、一般人なら近づくだけでも倒れてしまいそうなほどの気圧が放たれていた。加えて、周りに配置されている馬や団員も屈強な者ばかりが集められている。


 このように絶対的に守られた空間に、自ら喜んで近づく人間はいないだろう。


 しかし、そんな殺伐とした雰囲気を気にも留めることなく、一頭の馬が近づき、


「シエル教団最高指揮官であるあんたが、後先考えずに力を使うなんて珍しいな」


 独り言を呟くように、外から駕籠に向けて言葉を紡いだ。


「――剣影か」


 駕籠の中で特別な待遇を受けている人物――ペテル・コンヴィクトは、剣影という異名を持つシオン・ユーステリアに向けて一瞥を送った。その瞬間、ペテルから異様な気圧が発せられた。普通の人間ならば卒倒してもおかしくない眼力だが、シオンは全く動じることはなかった。


 むしろ、ペテルなりの歓迎に、シオンは口角を上げ、


「っは、やっぱあんた凄いな。『英雄の加護』の力をあんなに乱発しても、もう平然としているんだもんな」


 探りを入れるように話し掛けていった。


 シエル教団には、限られた人物にだけ使える能力――『英雄の加護』が存在する。


 『英雄の加護』とは、今は亡き英雄の寵愛か、恩恵か、使い手の特徴に合わせて自然万物に影響を与えることが出来る人並外れた力だ。

 しかし、その人知を超えた能力ゆえに、『英雄の加護』を使った者の体力は大きく削られる。特に大技になればなるほど、その代償は激しい。無闇に何度も乱発すれば、すぐに体力が底をついて、意識を失ってしまうのも免れないほどだ。

 『英雄の加護』は、まさに諸刃の剣となる能力である。


 しかし、ペテルはクルムの前で『英雄の加護』の力を何度も使ったはずなのに、まるで使ったと感じさせないほどまでに、健全としていた。


「……」


 シオンの語り掛けに、ペテルは無言を貫いていた。

 そのペテルの姿に、シオンは予想通りと言いたいように嘆息を吐いた。ペテルから反応が返ってくるとは、シオンは期待などしていなかった。


 シオンは視線をペテルから前方に移す。すると、もうグリーネ大国とフラウム王国の国境となる町が小さく見え始めていた。あと数分もすれば、グリーネ大国内で行なわれたシエル教団による巡回の護衛というシオンの任務は終了だ。


「……私と貴様は、本来は相容れぬ存在。そんな貴様に、わざわざ手の内を明かすと思うか?」


 時間を掛けて帰って来たペテルの言葉は、鋭く冷たいものだった。仮にグリーネ大国という国を一緒に回った人間に向けるとは思えぬほど、温情もなく、ただただ突き放さんばかりの冷酷な言い方だった。

 その言い方に対して、シオンは何の感情も抱かないまま、当たり前のように受け止める。


「ごもっとも、だ。これで、俺とシエル教団との契約も終わる」


 そして、シオンもお返しとばかりに冷めた態度で、ペテルに言葉を返した。


 ペテルの言葉通り、世界政府とシエル教団は、本来ならば相容れぬ存在である。


 そもそも、どうして隣に並び合っているのかさえ分からないのだ。


 双方共に疑問に抱いていることのはずなのに、誰も反旗を翻さずにいるのは、この歪な関係が何千年と続いてしまったからだろう。

 今更声を上げようと、過去から受け継がれるシステムを壊すことは難しい。だから、理由を考えることなく、そういうものだと受け入れて、淡々と与えられた仕事をそつなくこなすしかなかった。


 この任務に、情を移すことはない――はずだった。


 しかし、グリーネ大国におけるシエル教団の護衛の最後に、シオンは予想だにしていなかったことに出逢い、シエル教団に――いや、ペテル・コンヴィクト個人に関心を抱いた。


 だからシオンはこうして――、


「――用件はそれで終いか?」


 心の内側を見透かされたようなペテルの問いかけに、シオンははっとする。

 駕籠の中にいるペテルは、顔の方向はフラウム王国に固定させたまま、視線だけでシオンを捉えていた。


「……いや。心に疼く単純な疑問を一つ、解きに来た」


 シオンは堂々と不敵に笑みを浮かべながら、ペテルに向けて告げた。

 ペテルからは何の反応もなかった。その態度に、話を続ける許可を得たとシオンは判断する。


「英雄の名を語る人間を、容赦なく罪人として裁いたあんたが、よくあの罪人を見逃したな。いったい、どういう風の吹き回しだ?」


 グリーネ大国でシエル教団の護衛をし続けて、シオンの心を唯一動かした出来事がヴェルルでの一件――罪人クルム・アーレントについてだ。


 今まで英雄の名を貶めようとする輩は、ペテルが持つ聖剣ヴァンゼロにおいて皆裁かれていたのを、シオンはその目で見届けていた。理由さえも問わない様は、まさに遠慮も配慮もない、勧善懲悪そのものである。


 しかし、ヴェルルだけにおいては、ペテルの行動は今までの型に当てはまらなかった。

 邪魔が入ったとはいえ、罪人を前にして、ペテルがただで足を退くとはあまりにも珍しいことだった。

 それが、シオンの脳裏に僅かなしこりとして残っている。


 シオンの問いかけに、ペテルは沈黙していた。善か悪、一か零と、自身が抱く理念に従って迷わず行動に移すペテルにしては、これまたらしくない姿だった。


「……夢を見た」


 やがて、沈黙を破って、ペテルが口を開いた。


「……夢?」

「――足元が崩れ、空も星も瓦解していく世界の中、私は一人佇んでいた」


 シオンの声に反応を示すことなく、ペテルはビオス平原を渡ってヴェルルに向かう途中で見た夢の内容について滔々と語り始めた。


「世界の崩壊と共に、私以外の人間は徐々に、確実に、奈落の底へ落ちていた。見かねた私は、世界を繋ごうとあがいていた。不要なものは切り捨て、せめて必要なものだけを繋いで、世界の原型を留めようとした。だが、結果、私の努力は全部無駄だった。誰もが落ち、何もかもが崩れ行くのを、私は黙って見つめることしか出来なかった」


 瞬間、ペテルが悔しそうに歯噛みするのを、シオンは見逃さなかった。しかし、その表情も束の間で、


「だが、そんな絶望の世界に、一筋の光が差し込んだ。あまりに眩く、あまりに温かで、どこか懐かしさを覚える光だった。世界が崩壊していることさえ忘れて、目を奪われたようにその光を見つめていると、光の中から一頭の龍が姿を見せた。光から現れた龍が世界を一周すると、世界の崩壊は終わりを迎えた。そして、役目を終えた龍が光へと還ると、目の前には全く知らない新しい世界が広がっていた」


 普段と変わることのない様子で、ペテルは夢で見た内容を語り終えた。


「……」


 馬鹿馬鹿しい夢だ、とシオンは率直に思った。そんな夢が現実に成されたとすれば、それは終末――世界が終わるのと同義だろう。

 そもそも、このダオレイスには龍など存在しない。

 シオンからすれば、一度死んだ英雄シエル・クヴントが再びこの世界に現れるのと同じくらい、荒唐無稽な話だ。


 しかし、ペテルの夢を語る姿は、ただの夢で終わらせるには力強く、この先の未来を見通していると思わせるほどに、現実感を持たせる。


 そして、ペテルが見た夢の話をこのタイミングでするということは――、


「――その夢がアーレントと関係していたから逃した。……そう言いたいのか?」

「……、夢を見終えた時に、あの罪人の姿を目に入れたことは事実だ。しかし、だからといって、使命に私情を挟むことは断じてしない」

「じゃあ、何で――」

「――ただシエル教団として、罪人に借りを作りたくはなかった」


 シオンの言葉を遮るように、ペテルは堂々と言い切った。


 ペテルの言葉に、一瞬理解が追い付かなかったシオンだったが、


「借り? ……ああ、ロビットのことか」


 思考を巡らせる内に、合点がいった。


 シエル教団の団員で『英雄の加護』の力を持つ人物――ソマク・ロビットは、ヴェルルの前に訪れた巡回地コトラにおいて、その能力を十二分に発揮した。それ故、ソマクは疲労困憊、満身創痍の状態に陥った。

 少し休息を取ってからヴェルルで合流を果たす選択もあったはずなのに、教団に迷惑を掛けたくないからと、ソマクは無理に皆と同じタイミングでビオス平原を北上した。

 そして、案の定、ソマクはビオス平原で倒れ――、罪人であるクルム・アーレントに助けられた……と、シオンは耳に挟んでいた。


 その話を聞いて、シオンはソマクに対して同情の念を向けることはなかった。

 悪く言えば、自分の力量を見定めきれなかったソマク自身が招いた結果だからだ。


 ちなみに、そのソマクは現在、ビオス平原での反省を活かしてか、念のために少しヴェルルで休養を取ってからフラウム王国に向かうと聞いている。


「『英雄の加護』の力を使った状態で、ビオス平原を渡ろうとすれば、途中で倒れるのは分かりきっていることだ。ヴェルルでよく合流できた――」


 そして、言葉を紡ぐ中で、ふと先日起こった事件のことが脳裏に過ぎり、中途半端に言葉を区切る。


 カペル・リューグという罪人が英雄の名を語り、町を乗っ取ろうとした事件が、まさに目の前に迫ろうとしているグリーネ大国とフラウム王国の境目の町――オリエンスであった。


 その事件の一連の流れはこうだった。

 オリエンスの支部長であるクレイ・ストルフが隣町ビルカの事件を解決するためにオリエンスから離れている間、オリエンスに拠点を張っていたカペルが動きを見せた。しかし、オリエンス支部がもぬけの殻だったにも関わらず、町への被害は最小限に抑え、尚且つカペル一派を捕らえて、解決を迎えたようだった。


 一日前に、シオンはその報告書の文章をエインセルで読んでいた。


 カペルの事件の解決にあたって尽力したのが、世界政府の新人リッカ・ヴェントともう一人――、名前は明かされていなかったが、流浪の旅人だった。

 その旅人はきっと、クルム・アーレントのことだろう。


 そして、オリエンスの事件の詳細は、当然シエル教団にも伝わっている。本来ならば、英雄に関する罪人が起こした事件は、シエル教団が解決しなければならないのだが――、


「いや、ロビットだけでなく、三日前に解決されたストルフさんが統括しているオリ――」

「――今日はよく口を開くな……、若造」


 クレイ・ストルフの名前が出たところで、ペテルは今までで一番の敵意に満ちた眼差しをシオンに送った。


 剣影という異名を持つ実力者のシオンでさえも、背筋を凍らせてしまうほどの鋭さだ。

 クレイとペテルの間に何があったのかは分からないが、ペテルの前でクレイの話は禁句だ。これ以上話せば、ただでは済まないだろう。


 シオンは動揺を悟られまいと微笑みを浮かべ、肩をすくめると、


「……よく喋るのは、お互い様だろ?」


 一言入れてから、これ以上余計な話はしませんよと態度を示した。

 そのことが伝わったのか、ペテルは興味が冷めたようにシオンから視線を外す。同時に、シオンを襲っていた冷酷な殺気も身を潜めた。


 こうしてシオンとペテルの間に、言葉は途切れてしまった。暫くの間は、空間を占める音は、馬が地を駆け抜ける音しかなかった。


 しかし、そんな静寂とした空間は、


「……現在最も英雄に近い存在の前で、己を保てる人間に出逢えるとは思ってもいなかったんでな。少し心が弾んでいたのかもしれない」


 シオンが言葉を放つことで、再び終わりを告げる。

 淡々とする口調の中で、シオンの口は本人も気付かないほど僅かに緩んでいた。


 もし罪人クルム・アーレントが、ペテルの前でも、またシオンの前でも変わらない態度を見せなかったならば、シオンはわざわざペテルに声を掛けないまま、シエル教団の護衛の任務を終えていただろう。


 この巡回の護衛で――、否、シオンが世界政府にいる間、絶対的な権力を前にして自分の意志を貫く罪人に出逢ったことはなかった。


「私は英雄などではない」


 しかし、ペテルからは思わぬ角度で反論が返って来た。その予想外過ぎる言葉に、シオンはすぐに反応を返すことが出来なかった。


 英雄を取りまとめるシエル教団の頂点に座するということは、すなわち英雄無き今、最も英雄と呼ばれるに相応しい存在であることを意味している。

 それは世界にとって既に周知事項となっている、当然の事実だ。


 そんな人物から英雄ではないと言われるのであれば――、


「……シエル教団最高指揮官の座に君する人間に言われても、皮肉にしか聞こえないな」

「――英雄は」


 シオンの言葉を断ち切るように、ペテルは口を開いた。軽いシオンの言葉に対して、ペテルが放つたった五音の言葉はまるで重みが違った。

 

 先ほどシオンがペテルの前でクレイの話をした時とはまた異なる神妙な重い空気が、空間を占める。


「人を救うために存在する――、それが英雄としてあるべき姿だ。人を救うのはまさに神だけが成せる御業……、私は神を名乗るほどの器になった覚えはない」

「……神の器、ね。よく言ったもんだ。なら、あんたは何のために、そこに立つ?」

「――私の使命は」


 言いかけたところで、ペテルはその口を固く閉ざした。


 暫し待つも、ペテルが話を続けようとしない様子を見て、シオンは嘆息を吐く。いや、ここまであのペテル・コンヴィクトと会話が続いただけでも良い方だろう。

 シオンはそう考えると、続きを催促することなく、駕籠の隣を並走するのを止めた。そして、そのままシエル教団の隊列から一人緩やかに離れていった。


 シエル教団の先頭はもうグリーネ大国の隣国であるフラウム王国の境に位置する町――オリエンスの敷地に入ろうとしていた。

 ちょうどシオンが立ち止まった場所が、完全な国境だ。ここを境にして、グリーネ大国とフラウム王国の領土が分かたれている。

 つまり、シエル教団のグリーネ大国における巡回は、無事終わりを迎えることが出来たのだ。


 次の巡回地――フラウム王国では、新たな世界政府の人間がシエル教団の護衛に就くことだろう。


 グリーネ大国での長い任務もようやく終わり、新たな任務が入るまでの暫しの間は、誰にも縛られることなく、世界政府世界支部のシオン・ユーステリアとして自由に世界を廻ることが出来る。


 シオンは次の目的地を定める前に、エインセルを手にした。

 一体昨日で世界はどう動いたのか――。

 世界の動向を把握するために、シオンはエインセルを確認するのを日課にしている。

 いつも通りに開いたエインセルだったが、一つの記事にシオンの目は奪われた。場所も時間も忘れて、シオンはある記事に没頭して読み込む。


 読み終えたと同時、シオンの瞳をエインセル以上の光源が撫でていたことに気付く。


 いつの間にか、永遠に続くように思えた夜も明けていて、輝かしい太陽が顔を出していた。


 世界を照らす太陽に向けて、シオンは微笑を浮かべると、


「……これから世界がどう動くか、見物だな」


 フラウム王国でもグリーネ大国でも、トレゾール大陸でもない――、心が赴く場所に向かって馬を走らせた。


 ***


 風を切るような速さで動いていた馬達も、目的地の直前まで着いたことで緩やかな速度に変わっていた。

 王のような特別な待遇を受けているペテルを乗せている馬も例外ではない。ゆっくりとした振動を奏でながら、前へ前へと進んでいく。

 一定の間隔の揺れを感じながら、ペテルは目を閉じ、新しい国で巡回を始める前の儀式を始める。


 すなわち、ペテルは、自らの精神を己の過去へと深く潜り込ませた。


 瞼の裏に浮かぶのは――、在りし日の想い出。

 輝かしかった日々。世界は変わらないと、曖昧な希望に縋っていた幼き自分。

 そのような夢のような過去は、前触れもなく切り裂かれ、忌まわしき記憶へと変遷する。

 音を立てて崩れ落ちる、輝かしかった世界。この世で一番信じていたものの裏切り。愚かな希望に縋っていた分、確かな絶望が容赦なく襲う。

 血が滲むほど精神をすり減らせた過去が、脳裏を過ぎり、心を冒していく。

 こうして、瞼の裏から剥がれ落ちるのは――、在りし日の想い出だった。


 ペテルは目を開くと、窓の外を見つめた。

 窓の先には、次の巡回に選ばれたフラウム王国――、その最初の町オリエンスの景色が待ち構えていた。もう窓の景色が移ろうことはなかった。


 ここからまた、長い巡回の日々を新たに送ることになる。


「……私の使命は」


 わざわざ儀式にしてまで思い出したくもない過去を思い出すのは、自分を戒め、原点に立ち返るためだ。


 何のために、シエル教団最高指揮官という位置に立ち続けるか――。


「私の使命は、英雄になることではなく、本物の英雄シエル・クヴントを――希望の再来を人々に正しく迎えさせること。……私が生きている限り、誰一人として、泡沫のように消える曖昧な希望に縋らせ、愚かな死を迎えさせることはさせない」


 その理由は、今の立場になってから四半世紀以上もの間――、変わることなく心に在り続けている。


「――それこそが、私の生きている理由」


 ペテルは最後に一言だけ世界に向けて言の葉を放つと、静かに、厳かに、まるで王が地を踏み入れるようにオリエンスへと降り立った。

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