0-00 英雄の物語
彼は英雄だった。
誰よりも人が好きで、
誰よりも世界が好きで、
誰よりも人に真心で接し、
誰よりも人の心を分かり、
誰よりも命を尊く思い、
誰よりも正義感が強く、
誰よりも悪を許さず、
誰よりも苦しみ、
誰よりも笑い、
誰よりも涙し、
誰よりも耐え忍び、
誰よりも最後まで行ない、
誰よりも希望を持ち、
誰よりも人に尽し、
誰よりも自ら犠牲になり、
誰よりも愛と平和の心を持つことで、
この世界と人々を救ってくれた。
彼はそんな英雄だった。
しかし、人々は彼が英雄だということを知らずに生きている。
救ってもらったにも関わらず、人々は彼を道端の石のような扱いをし、それどころか彼に罪人という汚名を着せた。
だから、これからここに彼の本当の姿を書き綴るのだ。
彼と共に歩み続けた友である私だからこそ書ける、彼の英雄としての姿を残すのだ。
彼の現状を書くことは出来ないが、彼が英雄として生きた時ならば書くことは出来る。
私にとって、友である彼が、英雄である彼が罪人と誤解されるということが許せない。
それゆえ、少しでも彼に対する誤解が解けるよう、微力ながら文字で叫ぶのだ。
願わくは、この文章を見たあなたが
罪人でもなく、ただの青年でもなく、
彼のことを真の英雄だということを認めるよう――。