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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第一章 僕の学園生活?
8/45

08.わずかでもあるなら可能性って奴は残ってるもんです。

 1日1MPの回復。


 これより増える可能性はあるけど、状況的にこのラインが妥当だということはわかった。例えばだが、


・使ってから24時間すると使用したMPが返ってくる


 なんて可能性もあるけど、昨日散々にスキルを使用した午前の授業が終わっても回復したのは先ほどの1だけ。午前中に回復したところを考えると正確には「MPを消費して24時間経過すると1回復」するんではないかと思う。明日の今頃はまだ1程回復している可能性が高い。


 正直めちゃくちゃめんどい。というかダるい。

 1日1MPしか使えないとかどんなマゾプレイだ。全く持って自由にならない。こんなものあっても肝心な時に役に立たない可能性が高い。と思った貴方! そこが勘違いなんですよ。


 一応回復するなら、回復量が増えるように努力すればいいんですよ! 主にスキルでですけど。


 というわけで候補として考えてはいたけど実際に使えるかの確認も兼ねてスキルを取得してみることにした。 じゃ~~ん! [MP回復強化]ぁ~!(例のファンファーレ付き)


 これはこれで5ポイント必要だったけど仕方ない。早速取得すると……、MPが回復しました! 1時間で1ポイント! 1時間でですよ!? 1日で24ポイント回復です! これはもう使い放題! って程ではないんですが、まぁマシにはなりました。少なくとも日常で使うことを躊躇しない程度にはなれそうです。これで本格的に魔術を選択する価値が出てきました。といっても攻撃とか防御とかあんまり考えられないのでまずは簡単なところから覚えて行こうと思います。お嬢様にお奨めされたけど、あのへんはもうちょっと慣れてからでいいかなって思うんだよね。僕を呼び出した紙?とやらはもう無い気がするし。


~~~


ユウ・ユキヅキ 性別:女  レベル:5  年齢:12

HP: 43/43 MP:22/306


STR: 5(6) CON: 5(6) DEX: 8(9)

INT: 10(12)POW: 9(10)APP:16(17)LUK:15(16)

称号 :[捨てられたモノ][学生][学生アルバイト][自動修復サンドバッグ][おやつ係(笑)][自己犠牲(笑)][次元踏破者][異邦人][被従魔契約(主人:フィリーオ・フォン・エストン)]


スキル:[異界語(日本語)][苦痛耐性 Lv1][精神耐性 Lv1][環境適応 Lv1][サバイバル Lv2][裁縫 Lv1][清掃 Lv1][洗濯 Lv1][算術 Lv1][効率向上 Lv1][共通語][魔術の才覚][鑑定][獲得経験増加][レベルアップボーナス増加][支援魔術 Lv1][危機察知 Lv1][緊急回避 Lv1][生活魔術 Lv1][MP回復強化]



ボーナスポイント :45

▼取得可能スキル一覧


~~~


 そうそう、MPの回復ばかり目にいってたんだけど、ステータスの数値も変化してた。どうやらレベルアップで上昇するステータスはゆっくり反映されるみたい。STRとINTかが1づつ上がっているんだけど、最初の時みたいな体に走る痛み的なものはかんじられなかった。(ちょっと熱があるかな? って感じは今もしてるけど)

 たぶん体が耐えられるようにゆっくりしたものなんじゃないかと思う。なんとなくだけど。

 つまり最終的には括弧の中の数値になるっぽい。APPがこれ以上になるのはあんまりうれしくないんだけどね……


 さてさて、昨日から匂いが匂いがと煩く言われるのでその対策も講じてみた。それが[生活魔術]。文字通り生活をちょっとだけ便利にしてくれるという系統の魔術を集めた系統らしく、使用MPの低さと汎用性の高さが売りだけど戦闘にはあまり使えないと言われるものらしい。


 その中の一つの[消臭]を使ってみた。使用MPは1で半日は効果が続く優れものらしい。効果は『強い匂いを消す』というものだけど、匂いそのものを完全に消す効果はないらしい。もしかすると重ね掛けすれば完全に、とまではいかなくともかなりの匂いをごまかせるのではないかとも思ったけど、重複させるには5倍のMPがかかるようになるとのことで早々に諦めた。これ以上MPを浪費するわけにはいかないからね。効果が薄いようなら重ね掛けも検討しようってことで。


 他にも[清掃][浄水][着火][光明][整頓][報告]といった魔術を使えるようになったんだけど、このへんは要練習といったところかな。てっきり飲料水を作れる魔術とかあるかと思ったんだけど、流石に無から有を得るものはMP効率が悪いのかもしれない。というか生活魔術自体が消費MP1の魔術ばかりだ。そういう系統としてまとめられたものなのかもしれない。MP1で作れる分でいいからできたらいいのにと思う。わりとマジで。


 さてさて、[消臭]を使ってから僕を見る目が格段に減った。これはとてもありがたい効果ですよ。何しろ廊下を歩けばジロジロと、道で立ち止まればジロジロと、階段を上がれば下からジロジロと見つめる目線が束になって槍か何かのように構えている兵士の皆さんでもいるんじゃないかという勢いが文字通り肌ごしに感じたんだけど、その視線がガクンと減ってくれました。なんだろう、いつも無視されてるのにあんな風にみられるのは正直うれしくもなんともない。むしろ見るなと言いたいんだけど。


 しかしアレだね。妙にじろじろというかジメジメというかゾワゾワ? 不思議なもんだけど妙に視線がわかっちゃう。いやになるくらいハッキリと。世の中の女子はどうしてこんな生き物?と共存し、ついでに好きになれるのかがわからないよ。きっとキケメンの視線は気持ち悪くないんだろうと思う。多分だけど。でも男はダメかなぁ。きっとだけどね。



----------



 昨日と違って大人しい三馬鹿のおかげ?で大人しい給食にありつけました。もしかすると誰にもおかずを取られないのって久々かもしれない。いやあいつら馬鹿のくせにたま~~に風邪ひくからね。翌日やたらと眠そうだったりするから何かゲームとかの発売日直後な気はするけど。


「……えっと、優君? 大丈夫だよ? 誰も取らないからね?」


 武志君も少し落ち着かない感じ。そりゃそうだよね、誰もちょっかいかけにこないなんて本当に久々だからね。


「だからさ、キョロキョロしなくていいからね? ほら、このヨーグルト余ってたっていうから貰ってきたよ。優君好きでしょ?」


「うん、ありがと!」


 ほんのり甘くて大好きです。子供は甘味に飢えているものなのです。とかいうセリフがどこかにあった気がする。あれ? 武志君の分は?


「僕はほら、もう食べたから平気だし。そんなことより今日は夕刊の当番だから遅れないようにしないとね」


 週末はバイトが集まらないらしく僕らのローテーションで夕刊も担当することになっている。朝はほぼ毎日なんだけどね。いやほら、僕って遅かったからあんまり文句言われないように時間に余裕のある方が良かったんだけどね。明らかに夕刊の方が楽だからね。仕方ないよね。


「最近ちょっと早く回れるようになってきたからね。もうちょっと早く終われるようになれるといいんだけどね」


 配り終えた後は集配所でTVを見たりしててもいいのだ。たま~に竹中さんがもらってきたお土産とかももらえたりするので至れり尽くせりなのだ。あ、お茶とか飲んでもいいようにキュウスとかも置いてあったりするのもいいよね。お茶ってなんか落ち着いて凄い好き。渋いお茶に甘い羊羹、酒蒸し饅頭、葛きりの蜜和え…… ぉぉぅ、いかんいかんよだれが。


「……優君ってほんと甘いもの好きだよね。今度何かもらってくるよ」

「ほんと!?」


 武志君は新聞配達以外にも事務手続きの手伝いをしていたりする。伝票を数えたりとか簡単な計算、リストの抜けが無いかのチェックとか、本当に簡単なものらしいけど。元々僕にやらせようと思っていたらしいけど「どんくさくてつかえねぇ」ってことで武志君にお鉢が回ってきたみたい。

 事務所に出入りしているおかげでお歳暮とかのお土産をたまにもらえるそうだ。そのお裾分けを持ってきてくれるっていう話。


「武志君。ほんと~~にほんと?」

「う、うん。昨日事務の方に何かお菓子みたいな箱が届いてたから今日あたり何か出ると思う。数次第だけどお願いしてみるよ」

「ほ、ほんとだね! 僕、羊羹とかフルーツゼリーとかがいい!」

「それは頂いたもの次第だから約束できないよ? 多分甘いものだと思うけど、もらってから次第だしそれで勘弁してよ」

「う~~~、まぁ、何がもらえるか楽しみができたってことでヨシとするよ」

「そうだね。楽しみにしててね」


 あぁ~楽しみだな~、何がもらえるかな~、早く夕方にならないかな~



 この時、僕は全く気が付いていなかったのだが、周囲の視線がかなりの割合で集中していたらしい。今さら考えてもかなり恥ずかしいことをしていたような気はする。でもさ、お菓子だよ? 甘いんだよ? 旨いの語源は甘いっていっちゃうくらい重要なんだよ? アメリカ人のとある人達に言わせれば「砂糖は麻薬だ」って言いきっちゃうくらいのものなんだよ? こんなリアクションをしちゃうのも仕方ないよね?



----------



 放課後になり僕は夕刊の配達をするために学校から出て集配所に向かっていた。

 なんだか久々に苛めの少ないタイミングが重なってすっかり油断していたのかもしれない。いや本当に油断なんだけど。

 夕刊配達で僕の担当区画は駅前の商店街を中心としたところだ。集配所から少し離れたところではあるが以外に細かな道を通らねばならないので体格の小さな僕が担当することになっている。食堂の裏道とかホント狭くて大変なのだ。



 本来、夕刊配達は僕の得意なものではなかった。だって朝にはいない人ごみが凄いことになっているんだよ? 自転車もあるけど大抵は使われちゃってて僕は走って配るのが基本になってた。商店街の担当ということもあってあまり必要性を感じてなかったこともあるけど。

 そういう癖もあって自転車が空いていることに気が付かなかったのはある意味不注意といっていいかもしれない。


 で、走りながら思った。なんか妙に視線が増えていると。

 ここで思い出した。[消臭]の効果切れ! って慌てて路地裏に逃げ込んで再使用……をしたんだけど、あんまり変わらなかった。どうやら僕の汗とかが原因らしい。そりゃぁそうだ、そこそこ重い紙の束を持ったまま走り回っているのだ。汗だってかくってもんです。タオルとかで小まめに拭くけど、汗の匂いを誤魔化すのはちょっと難しい。で、この『汗の匂い』ってのが[消臭]の能力を超えているようなんだ。


「夕刊で~っす!」

「あら優ちゃん、今日は早いのね~」


 置物のようなタバコ屋のおばあちゃん。いつもだと温くなったお茶を捨てるタイミングで出くわすことも多かったけど今日はネコを抱えてのんびり中だったみたいだ。


「夕刊で~っす!」

「おう優! あいからわずちっちぇぇな! ちゃんと食ってるか? 配達終わったらちょっと寄れ! なんか用意しといてやる!」


 『肉のタケマサ』という精肉店の店長さん。なんか猛牛みたいな上半身で凄い迫力だ。普段なら振り向きざまの何気ない腕の運動に巻き込まれることの多い人だけど、今日はお客さんの対応中だったみたいで一安心。ここの国産牛肉コロッケは絶品の一言でソースとかが全くいらないくらいにしっかりとしているのだ。僕も数回した食べたことが無い。そして落とさないで食べたことも無い。


 しっかりお礼と後で来ますという約束をしつつも引き続きお仕事お仕事。今日はやけにみなさん優しいなぁ。APPとかLUKの変化したおかげなんだろうな。元に戻った(?)らどうなっちゃうんだろう。

 なんて悩んでて忘れていたせいもあるんだけど、今までの幸運を帳消しにしちゃいそうな勢いで困った人達が現れた。



「ようガキ。や~~~っと見つけたぜ?」


 いつぞやに僕を呼び出した三人組だ。

 なんだかすげ~怖い(いい)顔で微笑んでいらっしゃる。どうしよう。マジ逃げたい。


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