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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第一章 僕の学園生活?
5/45

05.スキルっていうのはマジでチートだと改めて思いました。

 午後に入ってからも確認や実験を繰り返していた。授業中にだ。いや、周りは相変わらず騒がしいし、真面目に勉強してる奴は前の方に集中してるし、一昔前だと学級崩壊って言われてるレベルだろうね。まぁどうでもいいけど。


 取得したスキルは次の通り。

 [支援魔術 Lv1][危機察知 Lv1][緊急回避 Lv1]

 それぞれ5ポイント。スキルを個別にレベルアップさせることもできるが、追加で5ポイント必要なようだ。

 自分のレベルアップ時にボーナスポイントが5増えた。[レベルアップボーナス増加]の恩恵だと思うので、通常は1か2かもしれない。つまり最低でも2.5倍くらいの恩恵があるんだろう。なかなかにチートだなぁ。


 ステータスは期待程上がらなかった。レベルアップ毎にステータスも上昇するのかと思ったがそうではないみたい。もしかすると適正値みたいなものがあって、そこまでは上昇するとかいう感じかもしれない。上限を超えるためにステータスを使用するのが一般的なんじゃないだろうか。だとすると凄いもったいないことをしたかもしれないけど…… 過ぎたことをくよくよ考えてても仕方ない。自分のこれからのためにもどうにかしなければ。


 というわけで現在の僕のステータスは次の通り。


~~~


ユウ・ユキヅキ 性別:女  レベル:5  年齢:12

HP: 30/42 MP:21/274


STR: 4(6) CON: 5(6) DEX: 8(9)

INT: 9(12)POW: 8(10)APP:16(17)LUK:15(16)

称号 :[捨てられたモノ][学生][学生アルバイト][自動修復サンドバッグ][おやつ係(笑)][自己犠牲(笑)][次元踏破者][異邦人][被従魔契約(主人:フィリーオ・フォン・エストン)]


スキル:[異界語(日本語)][苦痛耐性 Lv1][精神耐性 Lv1][環境適応 Lv1][サバイバル Lv2][裁縫 Lv1][清掃 Lv1][洗濯 Lv1][算術 Lv1][効率向上 Lv1][共通語][魔術の才覚][鑑定][獲得経験増加][レベルアップボーナス増加][支援魔術 Lv1][危機察知 Lv1][緊急回避 Lv1]



ボーナスポイント :55

▼取得可能スキル一覧


~~~



 相変わらず括弧付きなのが気になるけど、こっちに変化するって意味なのかもしれない。どうすれば反映するのかがわからないので困るけど。


 そのへんはほっとくとして、ステータスが軒並み上昇している。おかげかどうかは知らないが妙に体の調子がいい。ついでにAPPとLUKが1つづ上昇している(かもしれない)。これって変化しない数値だって聞いたんだけど、[レベルアップボーナス増加]の影響だろうか? ますますチートではないかと思う。 某迷宮探索ゲームではステータスが低下することもあるし、もしかすると減ることも覚悟しないといけないかもしれない。


 [支援魔術 Lv1]を取得すると、いわゆる魔法が使えるようになった。調子に乗って使いまくったんだが、MPが20を下回りそうだったのでちょっと休憩。残りが回復してからでいいかなぁと思っている。レベルアップの時に全快とかするのかと思ったけどそんなことはなかった。


 使える魔法は[敵探知][罠感知][罠解除][地図作成]それに[小回復]。色々一気に増えたので解説なんかは省く。面倒だし。

 個別のレベル設定は無かった。この様子からすると[支援魔法]のレベルに依存するのかもしれない。


 色々と試していたけど、特に[地図作成]が便利と感じた。

 周辺の情報を地図として把握できるようになるという魔法なんだけど、[ステータス]と同様に他の人に見えない状態で手元に表示することができちゃう。しかもその地図上のどこにいるかも点滅する点で表示される親切っぷりだ。向いている方向がわからないのはちょっとあれだが自分のことだし問題はない。


 更にこの地図だけど、[危機察知]と連動している様子まで確認できた。敵意を持った存在が近づくと、地図上に「赤い光点」として表示されるのだ。つまり誰かが悪戯しようと近づいてくると瞬時に分かる仕組みになる。


「おっと今なんか俺の足にひっかか……ってねぇ!?」


 今のようにわざと足をだしてひっかけにくる相手がすれ違う瞬間に一歩遠ざかるようにすることもできちゃう。ほんと助かるわ~。

 [罠感知]で画鋲を見抜いたりもできたり、いやぁ本当にスキル様様である。

 驚異的な事に、今日は学校で一度も殴られなかったのである! いやほんと今日はラッキーだった。いやラッキーっていうか回避しまくっただけなんだけど、スキルってほんと便利。


 そんなことを考えながら放課後を一人歩いていたんだけど、MPがちっとも回復しない。流石に一時間で全開とはそういうペースはないと思っていたけど、全く変化無し。これってどういうことなんだろう? ますます謎である。最悪の場合には『MPは回復しない』と考える必要があるかもしれない。そうするとMPを使用するスキルの使用については考えないといけないだろう。


(……なんか無双できそうな気分だったのにちょっと面倒だなぁ……これからどうしよう……)


 MPを使用しないスキルは[鑑定][危機察知]の2つ。[地図作成]は新しく作らない限りは消費無しのようだ。つまり既に『作った地図』を見る分にはMPの消費は無い。[魔術の才覚]については未知数のまま。もしかすると既に何かの影響を受けているかもしれないけど検証しようがないし。

 とりあえずだけど、いつも通る道周辺の[地図作成]だけは行っておこう。[危機察知]と連動するから非常に使い勝手がいいのだ。


 唯一気になるのはHP。最大値から20くらい少ない。最初は20くらいだったしそういう意味ではあんまり減ってないんだろうけど、最大値換算で半分くらいになってる。MPの最大値は200を超えてるし明らかに僕のHPは少ない。RPGでよくある「魔法職はHPが少ない」ってヤツだろうか? その割には自分の体が縮んだというような実感は無い。

 というか魔法職になった記憶もない。スキルの取得状況から自動判断されるんだろうか? といってもレベルも低いしあまり左右されるほど大きくはないと思うんだけどなぁ。もともと小さいというのはおいて置こう。置いといてくださいお願いします(涙


 え~こほん。

 そうして、いつも帰り道に絡んでくる3バカを回避したりと比較的平穏な帰り道を満喫するのだった。



----------



「……ただいま帰りました」

「おう! しっかり勉学に励んできたか! ガハハハッ!」


 相変わらず元気なこって。いやこのエロジジィは外面はいいのだ。外面だけは。

 大きな声で豪快に笑うところが好印象を与えるらしい。その様子から裏表を感じさせないようだが、こちとら裏の面を見まくっているのでなんとも言いようがない。


 なんだか妙にジロジロと見られているような気がするけど、特に用事もないようなのでそのまま自分達の部屋に逃げ込むようにして通り過ぎる。廊下に貼られている掲示板、今日の僕らの担当は……風呂掃除か。妙に広いので結構面倒なんだが、たまに残り湯があるおかげで冬でも冷たい思いをすることは少ない。

 ちなみにダントツの一番人気は『食堂清掃』。残り物がもらえることがあるからだ。ワースト人気は、男子は『廊下清掃』、女子は『院長室清掃』。理由はなんとなく察してもらえるだろう。


 とりあえず学生服から室内着……主に着古したジャージやフリースの上下に着替えての清掃開始だ。担当区画を決められた時間までに掃除し終えていないと色々と面倒なことになる。具体的に言うと殴られたりする。綺麗にしていないと難癖付けられて殴られることも多い。


「おっせ~ぞ優! お前んとこそっちだかんな!」

「……僕らも始めたばっかりだから、早く終わらせちゃおうね」


 5号室は4人部屋。といっても机2つにベッドが4つと個人の私物入れが4つくらしかないんだが、そのうちの2人が既に掃除を始めてくれていた。


 気の強そうな、実際気の強い彼は如月 浩一君。

 少し気の弱そうな彼は小春 武志君。上のベッドにいる彼だ。

 もう一人は……まだ帰ってないのかもしれない。もしかすると今日も帰ってこないかもしれない。

 たまに出かけては、1~2週間帰ってこないのだ。どうやらどこかで危ないことでもしているようなんだが、誰も聞いたことが無い。あのエロジジイですら事情を知らないところをみると本気で何をしているのか興味はあるんだけど、怖くて聞けない。


 おかげで4人で分担すべきところを3人でやらないといけないのだ。非常に迷惑な話だけど、どちらにしても大人の気分次第で殴られることに代わりはない。つまり大差ないのだ。


 とにかく掃除を済ませてしまうに限る。とっとと初めてしまおう。


「あ、今日はお湯使っていいってさ。なんかボイラーを調整したから試運転も兼ねてるんだって」


 ほほう、そいつはラッキーだ。まだ5月の頭なので微妙に水が冷たくて厳しいのだ。ぬるま湯程度でも随分とありがたい。

 そこそこ上機嫌なまま、清掃用具入れからモップを取り出してタイル磨きを始める。『洗剤など使わなくても汚れは落ちる!』ということで風呂用洗剤等は無い。あまりに酷い時はしょうがないので学校から拝借してきた清掃用の洗剤を使ったりすることがある。滅多にやらないけどね。見つかったら面倒だし。


 ゴシゴシ。ゴシゴシ。キュッキュ。ゴシゴシ。


 いつもよりも簡単に水垢等なら落ちていく、気がする。

 全体的にステータスが向上しているからだろうか? 昨日から妙に体の調子がいいのがここでも影響している感じだ。


 掃除をしている間は特に会話もない。男(?)どうしで特にする話もないのだから仕方ないだろう。普段から特に会話らしい会話も無いので仕方ない気がするし。


「……っと、こっちは終わったぞ! あとは優に任せるからなっ!」


 ガラッとモップを放り投げて浩一君が外に出ていく。乱暴ではあるが自分の担当区画はちゃんと掃除を終えたみたいだ。僕も一応のところは終えているからあとは汚れを洗い流す程度。で済むだろう。


「そういえば、坂東さんがお風呂入っちゃえって言ってた」


 ボイラーの動作チェックも兼ねてるんだろう。そのままお風呂に入ってしまい衝動にかられるが、僕の現状からではあまり得策ではない。だってこの時間だよ? 誰かに乱入でもされたら言い訳ができない。いや間違いなく皆入ってくるからね。掃除で汗をかいて疲れてるからね。

 僕も例にもれずお風呂は大好きだ。いつもはシャワー(しかも水)しか許されてないこともあって、風呂に入れるタイミングは貴重なのだ。じゃぁどうしてこんな大きな風呂があるのか? というと、施設の検査の時に入浴できる状態でないとまずいからだそうだ。普段は職員しか使わない。僕らは多くて週に一度。月に一度くらいの時もある。冬場に水シャワーはキツいんだよなぁ……。


 風呂掃除後、全身が湿気で妙にベダついて気持ち悪い。武志君など上着を脱いで、そのままシャワーでも浴びるように頭の上からお湯をかけている。気持ちよさそう……


「何見てるのさ、優君も一緒にシャワー浴びようよ! どうせ濡れてるんだから一緒でしょ?」


 いや、うん。わかるし普段なら問題ないんだけどさ。いやね。ほら。


「……き、きょうはヤメテオコウカナ? ウン」

「何言ってるのさ、そのまんまじゃ気持ち悪いでしょ?」

「い、いやぁちょっと今日はチョウシがわるいって、い、いうかさ。まぁアレだよアレ」


 明らかに挙動不審な訳ですが、いやもうちょっとなんだか武志君が怖いぞ?


「も~いいからさ、ほらっ!」


 プシャーー!


 ホースの口を狭めての直接攻撃! 効果はばつぐんだ!

 って頭から被せてくれちゃうってどういうことですかやだ~!


「……や、やったな! ちくしょう!」


 負けずにこっちもダイレクトアタックだ! いけ! ダブルスプラッシュ!!


「二つも使うなんてずるい! こうなったら水爆弾攻撃だ!」


 桶にためてあったお湯が周囲にばら撒かれる! って流石にやりすぎでしょっ!


「二人とも静かに! もう掃除終わったの!? って……びしょ濡れじゃないの。もうしょうがないからそのままシャワー浴びちゃいなさい。タオルとか用意しとくから」


 はしゃいでいた声を聞きつけて坂東さんが顔を出す。ここの関係者にしては珍しい女性の方だ。もう一人、副院長がいるけどあっちは人気がない。というか嫌われてる。あの臭いがダメ。なに付けてるんだって感じ。

 坂東さんはボランティアで来てくれる外部の人だ。一応外部の人なので彼女の前ではここの職員も比較的大人しい。今日はたまたま来てくれてたんだろうか。というか彼女のいない時に清掃中遊んでいる所が見つかればかなり冗談にならないことになる。具体的に言うと晩飯が無くなる。これはまずい。

 油断していたとはいえ本当に助かった。坂東さんには感謝してもしきれない。


「……あれ? 優ちゃんちょっと背が伸びた?」


 妙にじろじろと見られるなぁと思ったら何か違和感でも感じたのだろうか。


「それもそうよね、成長期の男の子だもんね。変なこと言っちゃってごめんなさいね。ささ、早くシャワー浴びちゃいなさい。っとっと服を脱いで!」


 そういってジャージを引っ張る。ついいつもの癖で上半身が剥かれてしまったが、ズボンに手が伸びたトランクスが丸出しにされたところで我に返った。


 や・ば・い・!


「ばばばばんどうさん! きききょうはシャワーあびなくていいいいいんで!! っていいいうか恥ずかしいkkdっですって!!」


 あわててズボンを引っ張り上げる。間違いなく顔が真っ赤に違いない。いやちょっと恥ずかしいってレベルじゃないって!


「あら、そんなに恥ずかしがることないじゃない。どうしたの優ちゃん?」


 いつもは無抵抗だからね。うん。坂東さんは子供の相手が得意なせいもあって、普段は殆ど無抵抗状態で服を脱がされてしまうのだ。彼女のテクニックにかかると僕程度の力では儚い抵抗に過ぎない、のかもしれないけど今日だけはまずいって! ほんと!


「……一人前に恥ずかしがってるの? ほんと可愛いわね~ でもお姉さんは許さないぞ~」


 ば、坂東さんの目が…… 目の色が変わってる!

 気が付くと[危機察知]の警告表示が行われている。反応しているのは間違いなく坂東さん。


「さぁ、お洋服を脱ぎ脱ぎしましょうね~、優ちゃんって大人しいから磨きがいがあると思ってたけど、なんだか見ないうちに随分可愛くなっちゃったのね…… そんなに涙目で見られちゃうと、お姉さんなんだかいけない趣味に目覚めそうだわ……っ!」


 間違いなく目が光っている。いや、輝いてる。

 マジで怖い! というかそれ以前にまずい! どうすりゃいいんだってばっ!


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