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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
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17.新居です。こういう時はイベントが必要だそうです。……なんでですかね?

 何故かタクシーで移動中です。電車とかでいいと思ったんですが、ダメって言われました。

 まぁ、ステータスでも確認したとおり、電車とかだと不特定多数の成人男性と接触する危険性があります。そういう危険は避ける方がいいのかもしれないんですが、あまり過保護にされてもそれはそれだと思うんですよ。


 などと思っていたら怒られました。


「だって優ちゃん。タクシー待ちしてる間だってかなり顔色悪かったのよ? 電車とかで隣にサラリーマンの叔父さんとか来たらどうなっちゃうかわかんないもの」


 う~ん。まだちょっと早いんでしょうかね?

 焦ってるつもりもありませんが、まだ周囲が過保護な時期なのかと割り切ることにします。

 どちらにせよ日常生活に戻るまでの辛抱でしょう。


「まぁそれはそれです。僕だっていつまでも落ち込んでいられませんし?」

「……そだね~、落ち込むと疲れるからね~」

「なんですかそれは」

「いやいやマジ疲れるから。良く寝れるけど」


 真面目に聞いていいのか悩みますが、孝子さんもかなり色々大変な過去がお有りのご様子。とりあえずそれっぽくうなずいておきましょう。


「……いまなんか適当にしとこうとか思ってたでしょ?」

「そそそんなことないですよ? ほんとほんと。今日のご飯どうしようかなぁ~ってくらいで」


 危ない危ない。どうも僕は顔に出るたちらしいので難しいです。こういう時は露骨でも話題を変えるに限ります。


「あぁいいわねぇ~って今日くらいはとか思うんだけど…… というか買い物してないのよね。帰ったらちょっと買い物行って来るかな」

「あ、じゃぁ僕も一緒に「優ちゃんはお留守番」い…… まぁそうなりますか……」


 しばらく外出禁止かなぁ~。孝子さんと一緒なら平気だと思うんだけどなぁ~。


「まぁ、お昼くらいならなんとかなるかな? 一応何かあると思うし。適当に買ってある材料とかで……。どうも自分一人だと作って食べるまで行かないのよね~。結局面倒になってカップ面とかコンビニ弁当に逃げちゃうかんじ?」

「良くないですよ~、たとえインスタントでも野菜炒めとかちょっと足すだけで随分違うんですから」


 そんなことが料理本に書いて有りました。ついでにオススメのやり方とか。パック野菜って便利ですよね。栄養価的には微妙らしいですが。それでもお手軽ですもん。


「そだね~、まぁこれからは優ちゃんも一緒だし。大丈夫大丈夫」

「はぁ、でも期待するほどじゃないですからね?」

「いいからいいから、優ちゃんお手製なら消し炭でもゴチソウですから♪」


 そこまで言われると愛が重いです……

 てな感じで約1時間。程なく大きなマンションの入り口でタクシーが止まりました。



----------



「ほえ~、ほんとに大きいですね~。というか山?っぽいところですね」

「なんか山の斜面にへばりつくような感じだよね。おかげで見晴らしはいいよ~。特に朝日が綺麗だね~」


 その名も『サンライズヒル大蔵』というそうです。意外に安直な気がしますが特に気にしないことにしましょう。全4階建て、地下に駐車場完備。当然入り口はオートロックで車庫の出入り口も専用のキーが無いと入れません。


「ここの301号室がうちらの新しいお城。中もちょっとしたもんだから期待しててねぇ」

「ドキドキしますね。ちょっと楽しみです」

「えへへ♪」


 広めの入り口フロアを抜けてエレベーターへ。階段の位置は後で確認するとしましょう。多分正面に見える以外にもあると思うですし。


「1フロアに3部屋しかないからすれ違う人も少ないと思うのよね。まぁ最近は近所付き合いとか気にする人のほうが少ないかもしれないけど」


 左右と上下の部屋にご挨拶というのは昔の風習になってしまったんでしょうかね。まぁこの際ありがたいので気にしないことにしましょう。必要があれば顔を合わせることもあるでしょうし。


「さて、今日からここが優ちゃんのお家だよ~。じゃじゃ~ん♪」


 正面扉を開けて招き入れてくれます。あぁなんだか新しい家の匂いっていうんでしょうか? 木の香りというかなんだかそんな匂いがします。


「お、おじゃまします……」


 と言いつつ入ろうとしたところで止められてしまいました。


「ほら優ちゃん。わかるっしょ?」

「あ、はい。えっと、ただいま?」

「うん。おかえり~♪」


 なんというお約束。自覚が無いだけなんでそのうち慣れるでしょう。



----------



 贅沢な部屋数でした。


 8畳ほどのリビング。キッチン併設のフローリングなダイニング。クローゼット用と思われる部屋には既に孝子さんのお店の在庫が引き上げられているようで、ダンボール大の箱やら小さめの箱、多分あれは靴かな。てなあたりが山積みでした。洋服掛けには当然のように様々な衣装がズラリ。大半が子供服サイズな気がします。う~ん、見たくない。


 孝子さんの部屋はあまり見せてはもらえませんでした。

「ほら荷物散らばってるからさ! あはは!」

 確かにベッドの上にまで紙袋だの荷物だらけでした。越してきてから1週間もたってないはずですがどうしたらああなるんでしょうか?


 僕用ということで用意されていた部屋もありました。白を基調としたライムグリーンっていうのかな? 明るい緑の部屋ですね。ピンク一色だったらどうしようかと思ってましたがある程度気遣ってくださったようです。

 孝子さんの隣部屋で、引き戸で仕切られただけのようです。ロックをかけることもできるそうですが、特に必要なさげですね。何か集まりがあるときとかには大部屋としても使えるデザインだったのでしょう。


 部屋には少し大きめのベッドがで~んと居座っている他に、洋服箪笥と学習机。後は円筒形のゴミ箱くらいですか。机には僕の私物、といってもダンボール一つ分くらいの簡単なものがまとめられていました。同じくフローリングの床に、直径2mくらいはありそうな毛長のカーペットが敷いて有ります。なんだかふわふわで気持ちいいのですが、こういうのって掃除が大変だと聞いたことがあります。気をつけなきゃ。


 で、肝心の洋服箪笥ですが…… うむぅ。見事に見たこと長い下着だらけです。なんでこんな丸っぽく纏めるんですかね? パンツなんてたたんで置いておけばいいのに。


「やっぱり下着から気をつけて行きたいからね。履き易いかもしれないけどバックプリントはあまりオススメしないかな? 子供っぽく見えちゃうし。でも優ちゃん可愛いの似会うからいいわよね~、今度履いて見せてね?」


 なんということでしょう、ネコとか犬とかクマとかたっぷりあります。どんな匠の心遣いでしょうか。ハート柄はやりすぎなのでちょっと遠慮したいです。後で紙袋にでも入れてどこかに隔離しておきましょう。


 一応ブラジャーも準備されてました。いつの間にサイズを計られたんでしょうか? いや最初のときに散々いじられてましたっけ。でもまだちょっと抵抗、いえ物理的抵抗はほとんどないですし必要無いですね。ちょっと悲しいですが。うわ、スケスケだ。どうしてこんなものまで。……これも隔離ですね、うん。


 こちらの部屋に用意頂いている服は、やはり大人しめのどちらかというと中性的な雰囲気のデザインのものばかり選ばれている気がします。スカートもミニは無いですし。その代わりパジャマが可愛いラインしかありません。これなんか着ぐるみみたいな感じがしますよ? なんですかこのフード、ネコ耳付きじゃないですか。尻尾は模様が書かれているだけらしいのがちょっと救いです。初日に着ることを強要されたら別の意味で泣けそうです。


 あとは残りの部屋。えっとお風呂場とどうやら撮影専用の部屋だそうです。

 撮影用のお部屋、もうスタジオと言ったほうがいいかもしれないそれは、流石に専用ルームというだけあって機材がしっかり揃っています。値札のついた箱が置いてあったりするのでもしかすると新品かもしれません、いくらするんでしょうかね。う~ん6桁くらいありそう。怖くて見たくありません。


 しかしいいですねお風呂。ステキです。今ならなんでも愛せる気がします。ちょっとお湯とかどんな具合ですかね? ぁぁ、ボタン一つの全自動ですか。24時間風呂もいいですが、入浴剤を数種類使いまわせる普通のお風呂も十二分に魅力的です。なにより程よいサイズがいいですね。お風呂掃除がそこまで大変じゃないのがいいです。


「とりあえずお風呂を堪能したい気持ちはあるけど、流石にまずはご飯かしら。今日はどうする? 流石に退院したばかりの子に作らせる気はないのだけど」

「いえいえ、僕もキッチンに何があるのか知りたいですから、簡単なものでよければ作ります。といっても実はあんまり料理知らないんですよね……パスタとかあります?」


 オリーブオイルとかタカノツメとかニンニクとか。いかにも作って下さいって感じでガラスビンに並んでいるのを見ると、作るべきかなぁなんて思う訳です。おっとこれはパスタ用の長いゆで網ですね。なんでこんな本格的なものまで……


「おぉ、なんかやる気出てきた? えっとスパゲッチィなら少し買ってあるよ~」


 どうやら備え付け、というか入居祝いか何かで頂いたもののようです。誰からの差し入れでしょうか。まぁこの材料なら基本的に一つしかありませんし。


「なるほど、えっと孝子さんは辛いのダメですか?」

「そのへんは大丈夫。といっても辛過ぎるのはダメだから手加減してね?」

「あはは、了解です。じゃぁちゃっちゃと作りますかぁ~」


 さて、じゃぁ早速。おっと塩塩っと。はい始めましょうか。



----------



 ニンニクをスライス。唐辛子も小さめに切って、種は外しておく方がいいかな。


 オリーブオイルを多めに熱する横でお湯を準備。塩はケチらない方が美味しくなるって言ってますけどあまり多いのはどうかと思います。本によっては海水と同じ濃度って書いてあるんですよね。そこまで多いと塩分取り過ぎになっちゃう気がするので適度に調節です。

 といってもこれだけだと寂しいですね。えっと冷蔵庫冷蔵庫……おぉ、キャベツあるじゃないですか。大きめに切りそろえて一緒に茹でますか。


 ささっとパスタと茹でつつも、隣でニンニクと唐辛子をフライパンで炒めていきます。うんいい匂い。食欲が刺激されますね。ここにベーコンがあれば更に良かったんですが、無いものは仕方有りません。買い物リストに入れておきましょう。

 ある程度茹で上がったパスタを十分に水切りしつつフライパンに合流させて、ソースとからませるようになじませていけば大体出来上がり。


 円を描くようにちょこちょこっと。フォークで掴める量を少し意識しつつ盛り付けると少しだけ食べ易かったり。

 乾燥パセリを振りかけてっと、一応完成かな?

 材料不足もあったので、スープは紙パックのコーンスープで妥協しました。クルトンあったし見栄えはマシになったと思います。


「お待たせしました~、頂きましょうか~」

「なんだか美味しそうな匂いがヤバイわ。さっきっからお腹がグーグーしっぱなし」


 僕もお腹が空きましたし、早速頂きましょう。



----------



「ん~っ、ちょっとピリッとするけどいい感じね~。簡単に作ったって聞いてたけど、やっぱ優ちゃん補正は素晴らしいわね~」


 何か怪しげなガスとか出してるんですか僕は。


「言い過ぎです。というか僕補正ってなんですか?」

「可愛い子と食べる食事はなんでも標準以上の味になるってことよ」


 なんにでもあう万能調味料扱いですね。そこまでいくと。


「僕は味の素か何かですか」

「ううん。メインディッシュ!」

「食材扱いはカンベンしてください……」


 まぁ適当なこと言われていますが、そこそこおいしかったのでヨシとしましょう。僕個人の感想は、ほら、作った人補正なのでアテになりませんし。

 でも孝子さんの食べ方や勢いからすると、食べられなくはなかったんだと思えます。まずは一安心かな。



 やっぱりアレですね。病院のベッド、一人で頂く食事よりも、誰かと向かい合って一緒に食べるご飯は美味しいですね。



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