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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
35/45

12.脱出行は続きます。なんだか雲行きが怪しくなってきました……大丈夫かなぁ……

「さて、移動しましょう。とりあえず地下鉄に乗るわよ」

「え?」


 てっきり普通に買い物をするのかと思ってましたけど、まだ移動するっぽいです。


「あぁ、うん。タクシーの人が聞いてたからね。一応警戒。というかタクシーなんて足が付きやすいから怖いって」


 思いのほか本格的です。なんか孝子さんが手馴れ過ぎてて怖いです。


「いいから行くわよ。移動しながら連絡するからちょっとごめんね」

「はい」


 携帯? スマホかな。を取り出してどこかに連絡みたいです。


「……ん~、今はダメか。とりあえずメールだけでも。っと、一応目的地だけ連絡しときましょう」

「どこ行くんですか?」

「へへ、気になる?」

「そりゃぁ……」

「まぁそうだわね、ここだとアレだからもうちょっと後でね」

「あ、はい」


 足早に歩いていく孝子さんに付いていくだけで精一杯です。

 親子連れ。あれは友達同士かな。色々な人がすれ違います。みんな一様に楽しそうな笑顔です。買い物中ですもんね、そりゃ楽しいですよね。


 キップの自販機の前、時刻表を眺めながら孝子さんがうなります。


「ん~、タイミング悪いかな。特急まで30分待ちだって。ここにいても仕方ないし、ちょっとお茶しようか?」

「あ、はい。でも特急ってどこまで行くんです?」

「まぁそれはホラ。いいとこ?」

「いや疑問形で言われてもちょっと困るんですけど……」


 タイミング悪いのは仕方ないよね。まぁその間ちょっと休憩できるならラッキーかな?


「……優君?」

「え?」


 ふと振り向くと、そこには武志君がいました。


「え? あれ? ごめんなさい。人違い……? いや、あれ? 髪どうしたの? あかカツラか。っと小森さんどうしたんですか優君にこんなかっこさせて?」

「あっちゃ~」


 うん、微妙に困りました。変なタイミングで見つかったものです。


「あ~、うん。ちょっとアレだよ。ほら、優君可愛いだろ? ちょっと気分転換ってことでね。オシャレして出かけてみようかって。ね?」

「あ、はい。うん」


 まぁアレですね。妙な感じですが。悪い?ことでもないですし。


「ほんと心配したよ。朝も見なかったし。何かあったの?」

「ううん、ちょっと寝坊しちゃっただけでさ、後は孝子さんのお手伝い?をしていてちょっと連絡できなくて」

「うん、それについては後でちゃんとご挨拶に行くつもりだから。まぁ今はちょっと別件でね。急いでるんだけどいいかな?」


 表情が暗くなる。さっきもそうだったけど凄い心配をかけたのかもしれない。ごねんね武志君。


「え? 気分転換って……」

「それで約束があるんだ。優君も一緒にってことで。先方を待たせてるからこれで失礼するよ」

「あ、はい。えっと連絡先とか……」


 でも武志君をこれ以上関わらせるのはマズいかな。なんかいい感じがしないし。


「こっちから連絡するよ。それじゃっ」

「あ、はい。ごめんね武志君!」

「……じゃぁ、ね」


 孝子さんの手に力が加わる。少しまずいんだろうな。



----------



 地下鉄のホームにいます。本当は特急を待っての移動といきたかったようですが、武志君と遭遇してしまったので予定変更だそうです。


「席の予約した方が落ち着けると思ったんだけどね。慌しくてゴメンね」

「いえ、元々僕? が原因っぽいですから」


 それにしても妙に焦っている気がする。そこまで余裕が無いんだろうか。


「あ~うん。色々あってさ。っていうかあのエロオヤジ。警官使ってまで追い込みかけるとかマジすぎんでしょ。ちょっとの躊躇が手遅れになるかもしんないからね」

「……そこまで酷いんですか? 院長って」

「うん、酷い。アレはマジで悪党だから。女の敵とかいて死ねって読ませる系の」

「え?」

「とにかくもう一息だから、一応警戒しててね」


 そう言われて思い出しました。僕だって一応スキルがあるんですから警戒くらいは出来るはずです。というわけで[危機察知]の準備を。とその前に[地図作成]ですね。基本を忘れているとは本当にどうしたんでしょうか?


 ……え~っと、うん。なんとかなりそうです。さって[危機察知]と連動……ってうわぁ、視界と連動させるのは無理っぽいです。というか人多すぎて敵対視界とか限定できないっぽい。なんだろう、処理が追いついてない感じです。群体として扱うならまだわかるんですが、それぞれの人がそれぞれの目的を持って移動している、つまりまとまりのない絶対多数は区分も区別も難しいようです。一様にNPCみたいな扱いくらいしかできないっぽい。


「ん? どうしたの?」

「はい。ちょっとスキルを使ってみようかと思ったんですけど上手くいかなくて……」


 無理に働かせようとするとかなりキつい。地図全体じゃなくて周囲に限定すればまだいけるかな……


「ほんと大丈夫? あんまり無理しないでね? 無事やり過ごせたとしてもその後で倒れちゃうんじゃ意味ないからね?」

「ま、まだなんとかなります。というかうん。一応なんとかなりそうです」

「そう? 本当に無理だけはやめてね。お願いだから」


 額から汗が滴る。思った以上に手こずるなこれな。こんなに付加の大きなスキルだっただろうか? 通常の使い方と違うからかもしれない。でもまだなんとかなる、そんな気がする。


「いえ、僕も出来ることはしたいので。元々無理できませんよ? だって無理ですもん」

「そうね。でも無茶しちゃう?」

「……まぁ多少は」

「もう。といってもしょうがないか。気を付けてね」

「はい。えっとあれ?」


 周囲の「無関心な人の流れ」を表す黄色の点に不自然な空白がある。僕の後ろ20m程。

 咄嗟に振り返るも、特にそこに人がいないというわけではない。普通に人が歩いているし、こっちに向かってくるサングラスの人だって…… あれ? 僕を見た?


「あの人…… 何だ?」


 あのサングラスのお兄さんが移動するのに合わせて地図上の空白も移動している。間違いない。何かしらの探査妨害なんだろうか。いや、どうしてそんなことが出来るんだ? 何かのスキル?


「どうしたの? ってうわぁ、いかにもって感じ。ちょっとまずいかな……。仕方ないちょっと逃げるよ」

「逃がすわけねぇだろ」

「え?」


 完全に死角。後ろから不意に突き出された一撃。


《バチッ》


(え?)


 不意を突かれたにしても[危機察知]がまるで仕事してない。[緊急回避]なんて意味あるの?

 くだらない考えが駆け巡る間も強張る体。衝撃とか言う前に体全体が硬直、ピクリともしない。

 ダメだ、動けない。


 倒れ掛かる自分の体が何かに支えられているのがわかる。水底にいるかのように周囲の音が歪んで響く。何か言われているのはわかるけどはっきり認識できない。


『優ちゃん! あんたら優ちゃんに何してんの! 放しなさいよ!』

『……確保しました。はい。同行者については……えぇではこのまま連……』


 僕、なんだか役立たずだなぁ……。



========== (坂下・エロオヤジ) ==========



 いや、昨日はなんちゅうか。どうしてかいきなりご連絡頂けると思いもせんかった。


『のう坂下。おまえんとこにおるじゃろ? たしか優とかいう娘っこ』


 通称「ご隠居」。自分にはどういう経歴の方なのか未だに把握できない天上人。

 そんな人から受けた連絡とは、優を探して来いというものだった。


「あ、はい確かに優という子供はおりますが、アレは男ですよ?」

『……いやあれは娘だ。この前風呂で見かけたし間違いない。なんで男湯にあんな娘がおるのか不思議じゃったが……ついととらんかったし間違い無い』


 ん~、見間違いと思えなくもないけど、風呂? そんな金やったか?


「はぁ。まぁそれはいいとして、どのように致しましょう?」

『そうじゃな。今回はちょっと趣向を変えて、いっぺん壊せ』


 うむぅ、今回の依頼はことさら悪趣味だ。何も好き好んで壊したくはないんだが。まぁ泣き叫ぶ姿を見たくなるのはわかるけどな。


「……いいんですかい? 人形どころかマグロにもなりませんけど」

『一度壊れた後、希望を見せられた人間というのはこれ以上なく従順になるでな。そのあとじっくりといたぶる。どうせ見た目も人形の様に整っておるんじゃ。多少ぎこちないくらいで丁度いい』

「……ってことは初物じゃなくても構わないんですかね?」

『そのへんは報酬の先払いだ。ただし肌に傷を付け過ぎないようにな。つける傷はこっちで選ぶ』


 これはイイ。どうせ手を出そうと思ってたところだ。どう言い訳するかを考えてたんだが、前もってお墨付きを頂けるならこれほどありがたいことはない。このお方になるとワシでもよぅわからん趣味をされとるし。じゃが傷は付けるのか。ちともったいないな、心を壊す前に体がおしゃかにならんといいが。


『アレはな。お前にゃわからんだろうがレア持ちじゃ。間違いなくワシの役に立つ。ちゃんと調教を済ませて何でも言うこと聞かせる人形にせねばならんが、その手間をかける価値がある。外見なんぞ飾りじゃ』


 そこまで特異な才能を持っていたようには思えないんだが、この御方に逆らうなんて意味の無いことはせんほうがええ。


『古来、奴隷には焼印と相場がきまっておる。いっそのこと顔にでも刻み込むか?』


 この老人との会話していると、耳の後ろで笑いかけられているような気がたまにするのが怖い。それくらいこのお人の笑い声は怖いんや。


「あんまりオススメしませんけど、よろしいので?」

『なに、あの手の手合いは顔を焼くのが一番手っ取り早いかのう。いやあの別嬪な顔が絶望と共に苦痛すら感じぬ程堕ちる瞬間を想像すると、滾るのう』

「……わかりました。それじゃ準備ができましたらご連絡しますんで」

『任せたぞ』



 ……ふぅ。

 さて。それではまず優を呼び出すか。今回は人探しから始めないで済むのはありがたい。


 ・・・ ・・・ ・・・


 と思っていたんだが、どうやら優はいないようだ。たまたまだろうが昨日はある洋服屋に泊り込んでいるらしい。

 いちいち手間のかかる。このいきり起ったモノをどうしてくれるんや。まぁそこはしゃぁない、少しの間は我慢して。とぼけられても困るからな、警官の一人も呼んで連れ帰るか。流石にご隠居からのご指名とあったら他人任せにするわけにもあかんし、面倒だがワシも出るほうがええかな。その方が手っ取り早く済むやろ。


 ・・・ ・・・ ・・・


 ん~、優とは別人? のようだが妙に整った娘がおった。親戚の子と言われてはあまり踏み込んだことをするわけにもいかんしの。警官を連れて行ったのが失敗やったか。これが優か? いや別嬪過ぎるやろ。いくら優でもここまで変わると思えん。名前は似取るけどな。

 強引に立ち回るわけにもいかん。警官同伴だとこのへん融通きかんから面倒やな。ここのところはアレを使って様子見、いや様子聞きするしかあるまい。

 うん、小ざかしい。撮影が始まるみたいだし今のうちに手配を進めるか。


 ・・・ ・・・ ・・・


「何? 中に誰もおらんだと!?」


 どうやら既に逃げ出していたらしい。なんちゅうか感のいいメスガキどもだ。

 前もこんなことがあったか。あの時は誰か外部の者が手引きしたらしいっちゅうこっちゃが……案外尻尾をつかんだのかもしれんな。

 まぁ居なくなったといっても行ける場所はまだ追える範囲。行ける場所など限られとるからの。


「ほう、見つけたか」

 そういえば、武志は優のことを見つけるんは得意だったな。なぜか二人で行動するのが好きだったが、案外武志は優のことが好いとるんかもしれん。友人として以上に。


 ……ふむ。


 使えるか?




誤字訂正 ×融通機関 → ○融通きかん


どこの組織だ!と疑いたくなる誤変換。すいませんごめんなさい(涙


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