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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
33/45

10.急展開です。なんだかスパイ物みたいな。何が起こってるのかわかりません。

 撮影がお昼前に終ったことで僕らはのんびりとお昼休憩中。といっても僕はどうすればいいのかよくわかってません。


「あ、そうそう。一応だけど私のツテ?を使ってちょ~っと頼れる人に連絡したの」

「頼れる人、ですか?」


 孝子さんの恩人さんとかでしょうか?


「私個人的には私のスポンサー。ここのお店の資金とかね。社会的に言っても凄い人ね。複合企業体の代表さんやってる人なの」

「そ、それは凄い人ですね。どんな人なんですか?」

「そうねぇ~、一言で言うと『凄い』かな」

「凄いんですか」

「うん。忙しいから大変そうだけどね~。たまにお酒呑むくらいの仲かな」


 偉い人なのか凄い人なのかはわかりませんが、孝子さんから信用されてる人っぽいのは伝わります。


「んで優ちゃん紹介したいなぁってことで。きっと助けになってくれるはずだから。あぁ心配しないで、きっと優ちゃんも好きになるから。絶対。保障する。なんか波長合いそうだもん」

「そうですか。いい人だといいですね」


 会った次の瞬間に殴ったり抱きついたりしてこなければ平気じゃないですかね。


「で、その使いの人が今日連絡付く予定。なんだけどそろそろ一報あってもいい頃なんだけどなぁ」

「えっと、その代表さん? とは直接連絡付かないんでしょうか?」

「多分あの人が直接動くのは難しいかなぁ。お忍びでササッと動ける感じじゃないみたいなのよね」


 やっぱり偉い人は忙しいんでしょう。僕は偉くなりたくないですね。


「へへ~、ちょっと心配?」

「あ…… 顔に出てます?」

「まぁね~、優ちゃんわかりやすいし」


 う~ん、そんなにはっきり出ますかね? やっぱりポーカーフェイスの似合う渋い大人には程遠いのでしょうが、なんだか少し残念ですね。


「いいのいいの。大人になんてなりたくてなるもんじゃないし。勝手になればいいのよ」

「そういうものですかね?」

「そういうものそういうもの」


 なんか適当にはぐらかされた気がします。


《ピンポ~~ン》


 と、どこからかチャイムが鳴り響きます。誰か来たのかな?


「あ、は~い! って優ちゃんちょっと待っててね」


 慌てて孝子さんが玄関らしき方に歩いていきました。代表さんの使いの人かな?


 ……


 うん、こういうタイミングって微妙に暇ですね。


「……とにかく困ります。今親戚の子が来てるんですから勝手に入ろうとしないで下さい」

「いやいや、うちの優がまだ居ないか確認させてもらうだけですから。ほら一応保護責任ちゅうのがありますし。立会人に警官の人にも付いてきてもらってますんで、いいですよね?」

「本官は優君所在の確認においての立会いを求められ同行しております。女性宅にお邪魔するのは大変恐縮ですが、行方不明事件ということになれば別件での捜査も視野にいれねばなりません。是非ご協力を」


 うん、なんかトラブルがやって来ました。どうしよう?



----------



「ほぉ~、こいつは別嬪さんだ。お嬢さんお名前は?」


 うん、露骨に凄い顔してます。こういう顔してる時のエロオヤジはなんかやばいので近づいてはいけないとか誰か言ってました。


「モデルとして協力してもらってるうちの親戚です。名前は、ゆ、ユイ! そうユイです。そうよね? ユイちゃん?」

「あ、はい、は、始めまして……」


 あからさまに怖いのです。孝子さんが体をはって庇ってくれていなければ間違いなく逃げてます。というか[隠形]使って逃げとけばよかった……


「ほう、ユイちゃんですか。どうも坂下と言います。孤児院の院長をしてるんですよ。あぁそれでですね、こちらに男の子、いませんか? 名前は優っちゅうんですが」

「男の子? いえ、今朝来た時から見かけてませんけど」


 今間違いなく女の子のかっこだし、というか女だし。見てない見てない。


「そうですか…… したらどこらへん行ってるですかね?」

「先ほども言いましたけど、今朝早くに出て行きましたよ? 朝刊の配達がどうのと行ってましたけど」


 あ、そういえばすっかり忘れてました。どうしよう無断欠勤しちゃった。


「いやそれが今朝は見てないらしいんですよ。真面目な優からすれば信じられんちゅうことなんで、もしかしたら事故にでも会ってるじゃないかと心配しとりましてね。変わった様子とかありませんでしたか?」

「わかりません。ちょっと疲れていたようですけど、今朝は元気でしたし。また遊びに来てくれると約束してくれましたし」


 つぅか改めて思いますが、エロオヤジってほんと気持ち悪いですね。というか人の飲みかけのココア飲むのやめて下さい。訴えますよ?


「う~ん、アレに携帯でも持たせとけば簡単やったんですがね…… あぁ疑うような事を申し上げてしまいすいませんでした。何かわかりましたらご連絡をお願いします。では行きましょ」

「はっ! それでは本官も失礼します。ご協力ありがとうございました」


 帰り際にエロオヤジがねっとりと見つめたのだけが妙に怖かったです。ぞわぞわして凄いイヤなき分ですよ。



----------



「はぁ、なんかイヤな感じね。塩撒いたほうがいいかしら?」


 確かにアレですね。といっても僕がちゃんとしてなかったのが悪いんですが。

 う~ん。どうしよう? 今から集配所に連絡したほうがいいのかな?


「そうね~、流石に何も連絡しないのはマズったかな。ごめんね私が調子に乗っちゃって」

「いえ、気が付かなかった僕が悪いので。孝子さんが謝る問題じゃないと思います」

「そのへんは預かった側としての責任かな? ユイちゃんがどう言おうと世間ではそういうものだから」


 う~ん、やっぱり子供のいうことは信用されないってことでしょうかね。

 しかし、


「ところで、ユイ、ってなんです?」

「あぁうん、やっぱり変だしね。とりあえず今はユイちゃんでいいかと」

「いやもういいんじゃないですか? 流石に続けて来ないでしょうし。僕も……」


 と言いかけたところで口を塞がれました。ん?

 ちょっと落ち着いたところで、メモ紙とペンが。筆談?


『盗聴器とかあったら困るから。念のため今はユイちゃんでお願いね』


 え?


『あのオヤジの常套手段なのよ。盗聴とかで相手の弱みを握るの』


 え? え?


「というわけで、しばらくしたら撮影再開ね? よろしくユイちゃん」

『と見せかけて裏口から脱出』


 うわぁ、なんだろこの展開の速さ。


「あ、はいわかりました。それじゃ準備しますね」

「そうね、んじゃ色々あるけど手伝ってくれる?」

「はい」


 慌てて準備です。というか孝子さんの警戒っぷりがやばいです。どうしてこうなってる。




 厚めのコート。撮影の時とは違う少し大きめのニット帽。サングラスとかではありませんが大きなメガネまでつけています。あぁ伊達です。フレームだけです。指がひょこひょこできます。

 口数少なく準備をはじめ、5分もしないうちに外出準備が整いました。


「じゃぁ始めましょうか」

『行きましょう』


「はい、よろしくお願いします」


 三脚に固定されたカメラが一定時間でシャッターを切ります。自動撮影モードでしょうか。少なくとも撮影中な音はします。


 静かにドアを開けて、僕らは外に出ました。



----------



 しばらく街道を足早に走り抜ける。口数少なく。僕の手を握り締める孝子さんの手が痛い。でも不思議とイヤな気持ちにはならないのです。


 大通りに出たところでタクシーを止める。隠れるように開けられたドアの中へ。


「街田駅のショッピングモールまでお願い」

「わかりました」


 タクシーが走り出し僕らはやっと一息ついた。


「ふぅ、ごめんね。ちょっと痛かったでしょ?」


 やっと手を離してくれたときに少し赤くなっていたのを見たのだろう。


「いえ、僕は平気です。でもそんなに急がなくても良かったのでは?」


 迅速過ぎる行動、というには妙に手馴れた感じでした。こういうことが前にもあったんじゃないかと思えます。


「あぁ、うん。まぁそのへんは落ち着けるところまで着いてからね。とりあえずもう心配しないでいいから」

「……はい」


 色々聞きたいことはあるけど、とにかくだ。信じると決めたんだから信じてみよう。



 タクシーの外の景色をぼーっと眺めてみる。車に乗るのはあまりないから珍しい。意外と視線が低いのは座った姿勢だからだと思うけど、意外とスムーズなんだなぁっていうのが感想かも。あとなんだかガソリンっぽい臭いなのかな? が鼻につく。確かに慣れないと酔うかもしれない。


「ん? 窓開ける?」

「あ、お願いします」


 ドアの内側にあるスイッチを押してくれました。隙間が出来ると思った以上に強い、そして冷たい風が入ってきます。


「危ないから外に乗り出しちゃ駄目よ?」

「……僕そんな子供じゃないですよ」


 とかいいつつ顔は外を向いてます。うん、やっぱり外の空気の方が気持ちいいかな。

 街路樹の緑、平行して走る車。たまに自転車。犬の散歩中のお姉さん。というかあの犬大きいなぁ。なんていうのかな? グレート、なんとか。そのうち聞いてみよう。


「犬ってね、大型になると性格としては大人しくなるらしいわよ」

「へぇ。なんか凶暴、ってのは違いますけど気の強い感じがあるかとおもってました」


 迫力あるよね。自分の身長くらいありそうだし。


「まぁ吼える子は吼えるし子供の頃はやっぱりやんちゃらしいけど。なんていうのかな、種族的にそういう風に作られちゃってる部分はあるわね。人間の都合に合わせてってことなんでしょうけど」


 大きいってことは声も大きいってことだ。中には声帯切除をされることだってあるそうだし。なんだか可愛そうに思えるのは僕のエゴなんだろうか。


「私から言わせればそれこそ人間のエゴだよね。声が迷惑? そんなことで文句言ってくる近所付き合いが悪いっての。そんなとこ住んでないで山奥にでも行けってものよ」

「でもそこに住む事情があるんじゃ」

「じゃぁ犬を飼わなければいいのよ。犬に迷惑だわ」

「う~ん……」


 言いたいことはわかるけど、それぞれの事情があるような気はします。


「というかさ、『飼いたいから飼う』。別に結構。そのためにペットショップがあんだし。ただ煩いから声を出させないって、躾けるならともかく声帯切るとか意味わかんない。犬をモノ扱いしてるってことじゃん。モノじゃね~ぞってことよ」


 そういえばあの事務所の中にはさり気なく犬グッズが多かった気がする。借りたパジャマも肉球模様だったし。


「孝子さんって、犬とか好きです?」

「あ、うん大好き。可愛いよね犬。かっこいいし。あの部屋だと飼えないんだけど」


 賃貸契約で駄目らしい。小型犬とかも当然ダメだそうで。


「そりゃそうよね。ペットって意外と臭いがきついし。そういう条件が無くてもお客さんが来ることもあるから、ペット嫌いな人だっているしね。私の都合だけで決められないから」


 さっきまでのキツイ雰囲気が幾分か削がれたようだ。ちょっと安心。


「その代わり友達ん家は凄いよ? 今は小型犬が二匹。マルチーズかな。親戚でブリーダーしてる人がいてね、血統書付きなんだけどもらってきたんだって」

「へぇ、可愛いですか?」

「う~ん、いつも足元とか噛み付かれてる」


 あら? 案外凶暴なのかな?


「キャンキャン煩いし、座ってると構えってしつこいし。仕方ないからこ~膝の上に乗せると安心しちゃうのかそのまま寝ちゃうし」


 そのまま動けなくなって仕方ナシに本とか読んでる姿まで連想できました。


「あぁ、そういえば足に噛み付くのって大抵帰るときだったかな。結構察するのよねあの子達って」

「へぇ、好かれてるんですね」

「どうかなぁ~、こき使われてるんじゃないかな」


 こうやって手に耳をこすりつけてきて『かけ』って言ってるらしいです。可愛いですね。


 そんな風に語る孝子さんのなんだか絞まらない笑顔。でもイヤそうじゃないから、案外いい関係なのかもしれないです。



----------



 しばらくすると人通りが増えてきた。流石に休日の駅前付近は混雑してるね。


「あぁ、もうこのへんでいいです。降ります」

「そうですか、わかりました」


 ショッピングモールの駐車場近くの道路に止めてもらった。


「はい、1、310円になります」

「あ、んじゃぁこれで」

「ピッタリですね、助かります」

「…お世話になりました~」

「はい、お気をつけて~」


 ふぅ、やっぱり車の中はちょっと緊張するね。


「へへ、んじゃちょっと買い物に行きましょうか」

「あ、はい!」


 人ごみにまぎれるように僕らはショッピングモールへ歩いていった。

 流石に人が多すぎてよくわからなかったんだよね。



誤字訂正


×お酒呑むくらいの中 → お酒呑むくらいの仲


まだある気がしたんですが自力発見できず……

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