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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
30/45

07.少し落ち着きました。慌てても変わんないしね。

 ゲーセン帰りにいつものように武志君と話しながら歩いていると、例の三人娘と遭遇しました。


「やっと見つけた! どこいってたのよ優!」

「ほんとマジ信じらんない! ってもうお店閉まっちゃうし!」

「……武志ぃ~、あたし言っといたよね? 優のこと連れて来いってさぁ?」


 うん、お怒りのご様子です。確かに悪いとは思いますけど……でもほら、当人の希望もなしに約束を決めるのはよくないと思うのですよ?


「え、えっと、ご、ごめんなさい……」


 まぁそれはそれとして謝るべきな気がします。一応僕?のことを思っての行動でしたし。

 こういう時は素直に謝るに限ります。というか下手に言い訳すると逆効果です。僕はよく知ってるんです。えぇ。


「あ、うん。別にマジ怒ってる訳でもないしさ」

「そうそう、最近優がなんか元気ないつ~からついさ、一応優にもちゃんと聞こうと思ってはいたんだけどそんんときのテンションっての? あるじゃんそういうの」

「……今日はもういいけど、次はちゃんと付き合うのよ。お店の人にもう言ってあるんだから」


 あ、そんなに怒ってないみたいです。というか意外です。100%キレられると思っていたんですが、むしろ妙に顔が赤いのが気になります。今日はそんなに寒かったでしょうか? いや結構寒いんですけどね。12月ですし。


「でも僕、本当にお金ないんで、連れて行ってもらっても何にもできないと思いますよ?」


 そう、お店の人に協力してもらうといってもお金が無きゃ協力しようがないんじゃないかと思います。思いません? というか単に迷惑だと思うんですよ。子供がワイワイと着せ替えごっこ(たぶんそうなる気がします)をして楽しんでるとか、客寄せというか他のお客さんからすれば迷惑以外のなにものでもないんじゃないかと。


「あ~そういう心配しなくていいから。むしろウェルカムって言ってるし」

「……むしろ頼まれたくらいだし」

「『可愛い子? 是非連れてきなさい。あと写真頂戴。見繕っとくから』ってね。あの人マジだから」


 どうやらお誘いを受けているような立場らしい。なんだかいまいちわからないけど、次は逃げないと約束させられてしまった。う~ん。


「優君がイヤなら断ればいいんだからね? 一人で言い難いなら僕も付き合うからさ。ね?」

「うん。ありがとう武志君」


 三人娘にいじられるだけっていうなら結構不安だったけど、ちゃんとした店員さんが見立ててくれるっていうならいいかなぁなんて思えてきちゃうのはアレですね。ちょっと自分勝手過ぎるかな。僕も意外とワガママなのかもしれないね。


「無理をされる訳でもないみたいだし、一度くらい付き合うのはいいと思うんだ。実は僕もちょっと興味あるし」

「そ、そう? ならいいんだけどさ」


 それにしてもゲーセンは面白かったかな。普段ゲームとかしないからよくわからないけど、なんだろう当たりとかビカビカビビィって出ると面白いよね。向かいの席の人のところで凄いファンファーレとか鳴ってたからあれが大当たりなんだと思う。あんなのが突然鳴ったらビックリしちゃうと思うよ。というかビックリした。目の前のTVの画面もどかどか~ってなんかのアニメのキャラみたいなのが動き回ってたし、もうゲーセンっていうかなんか僕の知ってるのとは別物だね。


 なんて事を武志君と話ながら帰りました。僕が興奮してしゃべりっぱなしだったけど、うんうんと聞き手に徹してくれる武志君は優しいなぁと思うよ。



----------



「へっへっへ、逃げられると思わないことね。恵理!恭子!確保!」

「さぁ、今日こそ行くよ」

「……私達からは逃げられない。覚えておきなさい」


 はい。待ち伏せされました。まさか教室の出入り口が見張られているとは思いもしませんでした。三人ともホームルームはどうしたんでしょうか? 明らかに終っている気がしませんけど。


「いいのよあんなの、どうせいつでも崩壊してる学級なんだし」

「……というか優を逃がすほうが大問題」

「もう小森さんがマジギレしそうで怖い。今日は絶対来て」


 昨日連絡できなかったことのお詫びも兼ねて、僕の写メ画像をLineとかそういうので送っていたそうです。というか携帯とかどうしたんでしょうか? え? 常識? 僕そんなの持ってないんですけど……


 まぁいいか。で、僕の写真を見て小森さんという人が今日連れてこないと出入り禁止にする、ということで彼女達からすると絶体絶命らしい。何しろアウトレットといってもそれはちゃんとしたお店なのだ。お友達というか僕らの境遇も込みて割引なんかしてくれる優良なお店に行けなくなるっていうのは、なんというかもうとんでもない事態らしい。


「服が買えないとか意味わかんないから」

「院で配られる服だけで満足できるわけないっしょ」

「……たまにバイトとして使ってくれるし、バイト割引も込みだけど」


 少なくとも悪い人じゃないと思う。


 まぁ女の子二人に両腕をガッチリと掴まれ、鞄といった荷物は奪い取られてしまえば付いていくしかないのです。傍目に見れば100%連行てすけどね。はぁ。


「とりあえず手を離して下さい。今日はもう逃げるとかしませんから。普通に歩いていきましょう?」


 そうでなくても目だって仕方が無いのに[隠形]とかが発揮できない状態にされては、新手の羞恥プレイにしか思えません。というかだんだん悪乗りしてきて首元とか脇とかに手を回すのやめてくれませんかね? あっってちょっとマジやめてください腕掴まれてるからどうにも抵抗できませんしっ!


「優君がイヤがってるじゃないか! みんなやめてよ!」


 咄嗟に腰を掴まれそのまま抱きかかえるようにして引き剥がされました、というか武志君てこんな強引な子でしたっけ?


「あ、うん。なんかゴメン」

「……なんか優のことになると妙に調子狂う」

「これも優が可愛過ぎるのがいけない。というか武志が王子様に見えてきた。優はお姫様?」


 引き剥がしてくれたのはいいんですが、今度は武志君が離してくれません。ってか顔近いよ!


「……っ、ご、ごめん。痛くなかった?」


 我に返った武志君が手を離してくれました。ちょっと顔が真っ赤ですね、お互い損なかんっじです。


「大丈夫大丈夫。とりあえずここでこうしててもしょうがないからみんな行こう?」


 周りがザワザワと煩くなってきました。最近の出来事では一番注目されちゃってる気配しかありません。ここまで注目されちゃうと[隠形]なんて効果ないんですよ。もうとにかく逃げたいっ



 集まる注目というか興味の視線を潜り抜け、どうにか目的のお店にたどり着くことができました。いやほんとにどうやって来たのかほとんど覚えてません。




「いらっしゃ~い。やっときたわね、えっと優君だっけ? いいねぇ、実物は更にいい。ちょっとサイズ測るね」


 アウトレットモールでもちょっと奥まったところにこのお店はありました。周囲の店舗から比べると少し小さめな、大体10~15畳くらいの大きさのお店のようです。

 僕らが到着すると、奥から駆け込んでくるようにポニーティルのお姉さんがやってきました。この人が小森さんというそうです。

 ちょっと大きめのメガネがことある毎にキラキラと光を放ってなんだかちょっと怖いです。何かのスキルでしょうか? いやこっちの世界の人はそんな頻繁に使いこなせないはずなんですが、この人なら使いこなしそうなイメージが、というかオーラがあります。なんか逆らうことを許さないというか。


「あ、小森さん手伝います~」

「優の扱いなら私たちに「いいから黙って」」

「……は、はい」


 三人娘が全く抵抗できません。というか先ほどから空気が怖過ぎです。真剣と書いてマジと読ませるような気がします。というかドラゴンの気配にもにたプレッシャーを感じます。正直もう帰りたいです。


「という訳で優君借りるね。あ、邪魔だから来なくていいわ。というかお店の入り口のコレ立てといて」


 と渡していたのは「本日休業」の看板。この人どこまでマジなんだ……?


「いいわね。いいわ。ほんと。マジ逸材。たまんないわね。こんな子がいたなんて信じらんない」


 う~ん、僕の言葉を聴いてくれる気がしません。試着室に行くのかと思ったら、そこを通り過ぎてそのまま事務所と書かれた扉に向かっているようです。なんだか酷いことになってきたぞ。



----------



「さて、色々と聞きたいことがあるんだけど、まずいいかしら?」

「は、はい? 何でしょうか?」


 先ほどの興奮した様子から一転。少し落ち着いた様子で小森さんが話しかけます。


「どうにも納得できないの。君の可愛さとか、滅多に見かけない逸材とか、創作意欲を掻き立てる雰囲気とか、まぁそれはまぁまだ判るからいいの」


 いいんだ。


「でもこれは確認しないとダメだからちゃんとしとかないと。色々面倒になるからね」


 じっと僕を見つめる小森さんの視線は真剣そのものだった。ちょっとドキドキします。というか怖いです。


「ねぇ、どうして男のかっこしてるの?」



 ……?



「うん、君のことは『可愛い男の子』として紹介されたし、実際可愛い。男の子として見ても稀に見る一級品よ? そこは間違いないんだけど。写真を見てからずっと疑問だったの。実際に目にして確信した。というか疑いようも無いほど。貴方、女でしょ? でも男として生活してる。どうして?」



 ……!


 ひ、ひぃ!


 咄嗟に扉から逃げだそうとして、鍵がかかっていることに気がつきました。き、緊張のせいでしょうか、手がガタガタ震えてうまく動きません。

 こ、この人、一目で僕が女だって見破った!

 動揺が伝わっているのか、慌てたような表情で小森さんが僕を見ています。耐性スキルのおかげである程度冷静に周囲が見れるのでしょうが、この鼓動のドキドキはどうにもできません。というかスキル仕事してるんですか?


「あ、ご、ごめん。マジゴメン。鍵を閉めたのは邪魔が入らないようになの。何か事情があるとしか思えないから誰にも聞かれないように奥に来てもらっただけで」


 僕の反応を見てか、小森さんの表情が少し和らいだものになりました。というか僕もなんだか取り乱し過ぎた気がします。ここで逃げたらそれこそ色々大変なことになりそうだって少し考えればわかるもんじゃないですか。といっても思った言葉が話せるほどに落ち着いてくれませんが。


「ど、どうして……」

「……どうして?」


「どう、して、僕が女の子だって思うんですか?」


 なんとか言葉を搾り出します。これだけは知っておかないといけない。そんな気がするのです。


「どうしてか。う~ん。そうだなぁ、半分は感」


 感? 直感とかそんな曖昧なもので?


「とにかく落ち着いて、座って話そうか」


 差し出される椅子に腰を落ち着ける。というか足腰がガクガクとしていて立っていられなかったというべきかもしれません。たぶんその様子を見て椅子を勧めてくれたんじゃないでしょうか。

 座ったタイミングにあわせてマグカップが差し出されました。なんだか良過ぎる手際ですが、ほのかに漂うココアの甘い匂いには勝てません。このココアに何かしらの薬でも入っていたら、と考えたのは一口どころか半分くらい飲んでからでした。


「えっと、落ち着いた?」

「あ、はい。お騒がせしました」


 僕がしゃべれるくらい落ち着くまで待ってくれていたようです。


「さて、君の疑問に答えようか。まぁ言ったとおり半分は勘。この商売してると、服の上からでもその人がどんな体型してるかなんて感がなくてもわかるんだ。サイズとかね」


 アパレル系の人でも慣れてる店員さんなら出来そうなことではあります。あまり詳しくありませんけど。


「で、もう半分は、君の動きとか足運びとかの観察した結果。男じゃありえないからねその歩き方」


 それでも微妙なラインだったらしんですが、実際に触れることで確証を得たそうです。


「これでも服屋だからね、普段から可愛いモデルに服を着てもらいたいと思って普段から観察してるのよ。というか前にも会ってるんだけど、思い出さない?」


 えっと、このポニテでメガネのお姉さんですか、会ってるといってもどんな状況でしたっけ? う~ん。


 ……あれ? 銭湯の前で会ったお姉さん?


「やっと思い出したか。野暮用で寄った帰りにこんな子いるんだ~ってついジロジロ見ちゃったけどさ、後から聞いても知らないっていうから初見さんかぁまた会いたいなぁ~って思ってたのよね。あぁあそこも広くていいわよね。人少ないから気兼ねなく入れるし」


 あのあと武志君に強引に男湯に連れ込まれたなんて言えませんよね。 よね?


「で、でも僕、男ですよ? ほら、学生証も」


 一応の抵抗として学生証を提示します。僕みたいな孤児がこんな文書を偽造できるわけないしなと納得してくれるのが一番楽なんですが……


「……んまぁそんなものは別にいいや。というか信じないし。もし本当に男なら裸になって証明してみればいいさ」


「い、いやですよ恥ずかしい!」


「もし男だったらヤらしてやる、って言ったらどうするさ?」


 ヤ、ヤるってなんですかっ! 恥ずかしいなぁ!


「いや、今時の中学生、しかも男子ちゅうたらもう犯りたい盛りの猿でも真っ青な状態だろうに。それがこのアタシがヤらせてヤるってんだ。しかも生で。断る理由なんかないでしょ?」


 この際男の子がヤりたいとかヤりたくないとかはどうでもいいとして、恥ずかしくないんですかこの人は……


「まぁ、そういう話題をふってだ、こうやってっと」


 なんていいながら僕の腕を掴んで自分の胸を掴ませる小森さん。

 ……

 えぇ!? な、なんかめちゃくちゃ柔らかいし、なんかすっごいあったかいんですけどっ!


「ん~、この反応を見る限りじゃ男の子って言っても信じるかな。でもさすがにコッチが無反応過ぎるのよね」


 と僕の股間を指差します。

 まぁ、うん。


「触るまでもないでしょ? 起たないじゃん。無いんだし。でしょ?」


 う~ん。どうにかボケ通したかったんだけどなぁ……


「いい加減に認めないと、脱がすわよ?」

「はいすいません女です」


 ダメだこの人には勝てない。



----------



「というわけでちょっと気合入れたいのよね。時間かかりそうだから今日は帰ってちょうだい。あ、優君は預かるから」


「「「「え?」」」」


「院のほうには私から連絡しとく。明日休みだし問題ないでしょ。んじゃちゃんと帰るのよ」


 というと勢いよくシャッターを下ろしました。三人娘+武志君は当然外です。

 僕は当然中です。逃げられません。助けて。


「……ぼ、僕はどうなるんでしょうか?」


 物凄い楽しそうな小森さん。本気で恐怖を感じ始めている僕は、それでもなんとか質問の言葉を口から出すことはできました。


「あぁ、取って喰おうとか無いから。君自身に興味はあるけど、君の事情とかはどうでもいいし」

「へ?」


 なんだか意味がわかりません。


「なんか女の子として扱っちゃうのはダメみたいだし、でも私は着飾りたいのよね。君という素材を」

「は、はぁ」

「だから表に出ないように着飾ることにしたの。私の個人コレクションを総動員」

「は、はぁ」

「今夜は寝かさないぞ♪」

「えぇ~……」



 本当に寝かしてくれそうにありません。誰ですか明日を休みにした人は。



誤字修正 ×脇とか二手を → ○脇とかに手を

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