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ーthe Alonesー

こんにちは、作者のLauroです。

この度はアンティル・ザ・アナザーデイブレークをお読みいただきありがとうございます。


この作品は既に完結した本編 Untill the Daybreak では語られることのなかったラルク達の日常の一コマを描いた外伝集となっています。

基本的に一話完結型なのでお好きな話しからお読み下さい!

「でね~そのお店で食べたケーキがすっごくおいしくてね!」

「へぇ~じゃあ今度一緒に行くか」

「2人ともやっぱり仲良しですねぇ~」

セレンがライカの腕の中に体を預けながら宿の部屋のカウチに座るメリッサを眺めながら言う

「あれじゃあ恋人を名乗るより兄妹ですね」

シルヴィアがセレンに横やりを入れる

「って言う割にはベタベタしてるけどな、特にメリッサが」

ラルクの言う通りメリッサはライカに体を預けながらも腕などをライカの体に絡みつかせている

「確かにそうね……ねぇ、ライカ?」

アルトはメリッサの話しに相槌をうつライカに声をかけた

「ん?どした?」

「気になったんだけど、ライカとメリッサはやっぱり付き合ってるわけじゃないのよね?」

アルトは単刀直入に聞いた

「あぁ、そうだけど?」

ライカはメリッサが睨むのも気にせずに普通に答えた

「むぅ…でも、みんなと会う前は2人で一緒に暮らしてたんだよ」

「えっ?ということは…ど、同棲ということですか?」

セレンが頬を少し紅くして指先で口元を抑える

今、彼女の頭の中では様々な妄想が一瞬にして繰り広げられている

「姫様はウブだねぇ~まぁ、なんつーのかね…俺が、えっと…15ぐらいの時だったかねぇ?メリッサと一緒に暮らし始めたのは」

ライカは昔の記憶を手繰り寄せるようにひとつひとつ思い出しながら話し始めた

「こうなると、自称恋人というより保護者と児童ですね」

「むぅ…シルヴィア君だってラルクとアルトが保護者みたいなもんじゃん!」

メリッサに言われてもシルヴィアは鼻で笑って返すが

その上からラルクとアルトに乱暴に頭を撫でられる

「まぁ確かにシルヴィアの言う通りだわな。つっても、俺もメリッサも親がいなかったし、気づいたらコイツが俺ん家にいたみたいな感じだな」

「ずいぶん適当だな…」

ライカが15の時といったらメリッサも相当幼いと考えられる

果たしてお互いにどうやって2人は支え合って生きてきたのだろうか

「15歳でライカはメリッサのお父さんになったんですか?」

「いや、ちが…」

「お父さ~ん!結婚指輪買ってぇ~」

「いや、色々おかしいだろメリッサ!」

ライカは絡みつくメリッサの頭を抑える

「よく15歳でメリッサ育てようと思ったな?」

確かにライカはラルク達から見ても面倒見が良さそうだが

「でも、その時メリッサは多分6歳ぐらいよね?」

「周りから反対されてもおかしくはありませんよね?」

幼いメリッサを育てるまでというのはもはや面倒見がいいという域を超えているだろう

「いや…育てるっていうか、面倒見てたみたいな感じよ」

ライカは苦笑いしながら答えた

「養育費などはどうしたんですか?国から援助などはあったんですか?」

「うわ…すげぇ現実的なとこ突いてきたな…」

ライカはシルヴィアの追求に苦い物を口に含んだような顔をする

「けど、メリッサをここまで育てたのはすごいわね」

「子育ての出来る男だぜ俺は!」

「お前さっき面倒見てただけって言ってたろ…」

「ただ、魔術の勉強はメリッサが自分から始めたんだけどさ…そんじゃ、メリッサと俺がどうして一緒に暮らし始めたのか語ってみますか……」

そう言ってライカは金銀に輝く瞳を彼の過去へと向けた

その瞳はいつもの輝きより少し明るさが落ちたような気がラルクにはした



あれは確か7年前だったかな…

昔からみなしごだった俺は生きていくためにガルシア軍の入隊の試練を受けて、晴れてガルシア軍に入った

確かに、ガルシアで傭兵やってりゃ食うには困んねぇけど

傭兵よりちょっとだけ待遇のいいガルシア軍に入ったのには訳があったのよ…


「なるほどな…その娘を孤児院ではなく貴公自身が引き取りたいと?」

ここはガルシア王国王都レギオン王城の謁見の間

覇者の威厳を放つガルシア王オルドネスは玉座に座し、金髪の少年から彼の服の裾を摘む彼の腰程の背丈の茶髪の少女、というよりはまだ幼女と呼ぶ方が適切と見える彼女に眼を移す

「お嬢さん、おじさんにお名前を教えてくれるか?」

オルドネスは出来るだけ彼から放たれる覇気を殺しながら玉座から降りて行き彼女の前に跪いて目線を合わせた

(お、おじさん…!?)

そのオルドネスの言い方にライカは吹き出しそうになるのを堪えた

「……メリッサ……」

自らをメリッサと名乗る彼女はライカの陰に隠れながら応えた

スキンヘッドに顔に縦に走る傷を持つ紅眼の大男が自分の眼の前に来れば子供なら当然泣き出してもおかしくはない

「そうか、良い名だ。おじさんはこのガルシア王国の王様のオルドネスだ。つまり、君のお友達だ。よろしくな、メリッサ」

そう言いながらオルドネスは全く覇気を感じさせない和かな笑顔で彼の大きくてゴツゴツした手をメリッサに差し出す

「うん…」

メリッサはおずおずとひとひらの葉の様な手を出してオルドネスと握手を交わす

「良い子だ…ライカ、少し詳しい話しをしたい。メリッサを衛生師団棟に連れていってくれぬか?衛生師団の者なら喜んでメリッサを預かってくれるはずだ」

「わかった。メリッサ、行こう」

ライカは頷いて踵を返して歩き出すとメリッサも小走りでライカの後をついていった

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