海の下は空の上
真夏。
嫌に太陽は元気だ。
ぼくも元気だ。
眼下に広がる真っ青な海。
浮き輪をしっかりと両腕で固定する。
いざ、海へ。
海に太陽が写った。
真っ青な空を見上げた。
クジラが空を泳いでいた。
よく見たらそれは雲だった。
驚いて損をした。
海に飛び込んだ。
体中がピリピリした。
ワクワクした。
もう一度真っ青な空を見上げた。
まるで海の中みたいだ。
ハッとした。
息を体一杯に吸い込んだ。
一気に海中に潜水した。
ぼくはカナヅチ。
よく沈む。
「プハーッ!!ダメだ!!どこにもいない!!」
「流されたのかもしれない。そしたらもう・・・」
「俺がいながら・・・あいつが泳げないこと知ってたのに・・・」
「・・・・・・」
「ん?」
「どうした?」
「なんか・・・聞こえないか・・・?」
「え?・・・そういえば・・・空から・・・」
上を見る。
太陽が燦々と降り注ぐ。
か細い声が聞こえてくる。
その声はだんだんと大きくなる。
太陽の中に黒い点が見える。
「ん?」
その点はどんどんと大きくなる。
なんだか動いている。
声はどんどん大きくなる。
「・・・まさかっ」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!!!!!」
ドボシュボオオォォォx〜〜〜〜ン!!!!!
水しぶきは空高く舞い上がった。
父親につかまって海の中から出て来た。
「はあっ、はあっ、はーあっ、あーあっ」
「なっお、おまえっ、どこ行ってたんだよ!?」
「はあ、はあ、はあ、うん。はあっ、空」
「空って。確かにおまえは降って来た・・・けど・・・」
「うん、あのね、はっ。海はね、空なんじゃないかと思ってね。はあ、それでね、空に落ちてみようと思ってね。潜ったの」
みんなバカみたいに口を開けて空を見ていた。
魚の群れが華麗に泳ぎまわっている。
珊瑚礁がまるで空に虹の絨毯を敷いたように綺麗だった。
スカイダイビングも楽しめて一石二鳥だね!!




