もし、魔法の短剣があれば?
俺だ、イッチだ
ちょっと、戦闘に貢献出来ている気がしない
センスに話したんだが、リーダーこそ安全圏にいるべきですって言ってたけど
なんかなぁ…
「この次が最下層です」
センスは、階段の前でそういう
「予想が正しければ、こういったダンジョンらは、最下層に強力…
ゲーム的に言うとボスです、そういったモンスターなどがいると思われます」
「ぼす?ぶっとばす」
「まぁ、ぶっ殺せばいいって事だろ?」
「あのですね、そんな簡単な話じゃないんですよ
気を付けてくださいってことですよ」
センスは溜息をつく、まぁいっちゃ問題児2人対応している訳だし
「準備できたら、行くぞ」
みんな、戦う準備は万端の様で、俺の発言からすぐ階段を降りていく
置いて行かれないよう俺も階段を降りる
最下層は、まぁまぁな空間と、松明が壁に設置されている
中央には、宝箱がある
「これは罠でしょう、ハスキーさん開けないでくださいね?」
「うん…」
さすがセンス、ハスキーのことをよく分かっている
でもな、俺のことはよく分かっていないようだ
「あ!イッチさん!開けないでくださいよ!」
俺はおもむろに宝箱を…
蹴っ飛ばした、俺、よく分かってんだ
「お前、ミミックだろ?」
宝箱は勝手に開く、そして、宝箱の口に生えた鋭い歯を見せつけ咆哮する
「戦闘開始だ!」
ミミックは、逆上して俺に体当たりを仕掛ける
「うおらっ!」
ハスキーが助走をつけ殴りつける
ミミックは大きく吹き飛ばされるが、あまり効いていないようだ
「いてて…」
モンスターでも、体の材質は金属だ
ハスキーは拳を少し痛めたようだ
「蝶番を攻撃してください!
ハスキーさんは無理に攻撃しないでください!」
センスは、ミミックの蝶番を槍で攻撃しようとする
しかし、攻撃の大体が躱され、当たったとしても、蝶番からはブレて当たらない
カイザーは、ミミックとまともに肉弾戦を仕掛けようとするも
ミミックのそれなりに小柄な体と俊敏な動きのせいでカイザーの攻撃は一切当たらないどころか、カイザーに逆に攻撃を当てている
俺は、何も出来ない
センスたちが苦戦しているのを、遠くから回復してやることしかできない
俺に向かってくるミミックも、カイザーがかばうから、攻撃に参加できない
指示出しも、攻撃も、防御も、俺以外で完結する
黙って回復させるしかない
「ぐはっ」
誰かが、倒れる音がする
「センス!」
ミミックの体当たりをもろに受けてしまったようだ
「回復はした、が、完全に気絶している」
「畜生!あいつが居なくてハスキーの手綱を誰が掴む!」
「うわっ」
ハスキーも、気絶してしまった
「…」
「どうする、俺とお前だけじゃ多分どうしようもないぞ!」
どうすべきだ
今まで、センスとハスキーに頼ってきた
どうするべきか分からない
ミミックが俺に向かって飛んでくる、カイザーはもう間に合いそうにない
あぁ、なんだか世界がゆっくりになった、なんだこれは
…もっと、生きたかったな…
………いや、まだだ
まだ、勝ち目はある
忘れていた、こいつの存在を!
「くたばれぇぇぇ!!」
口を開けて迫るミミックの口内に、持っていたナイフを突き立てる
思いっきり刺さったナイフは、相当な痛みを与えたのか、ミミックは鳴き声を上げのたうち回る
覚醒した、簡単にこいつを殺せる
俺はミミックを押さえつけ、何度もナイフを突き刺した
簡単なことだ、外側が硬いなら、内側から破壊すればいい
いつしか、ミミックは動かなくなった
「お、おい、大丈夫かよ、悟ったような顔してから様子がおかしいぞ」
「あ、ごめん、ちょっとゾーンに入ってた」
なんか、実感が湧かないな
でも、もしも俺一人になっても戦える
ミミックが消滅した、そこには、ナイフのような物が落ちていた
「これは…ダガー?」
3本のダガーが落ちていた、なんだか、持っていると不思議な感覚を感じる
「あー、一応センスとハスキーは死んだ訳じゃない
俺が回復したから、待てば目を覚ますと思う」
「痛い…」
「うぐぐ…」
ちょうどセンスとハスキーが目を覚ました
「ミミックは倒しておいたぞ」
「そうですか、少し休憩してから帰りましょう」
「待っておったぞ」
「魔女さん、これ、不思議なダガーって」
「そうじゃ、それこそ、わしの求めていたダガーじゃ
このダガーはな、魔力を持っていて適応する者が使ったとき力を発揮する
だがな、魔力の形が人間の物と必ず合わないんじゃ
少し、待っておくれ」
魔女さんは、ダガーを受け取ると、何かを唱えだす
すると、ダガーは浮遊し、発光しだす
魔法陣が回転し、ダガーを取り囲む
突如、辺りを光で包む
俺の手には、3本のダガーがあった
「どうやら、そのダガーはあんたを気に入ったようだね
試しに、投げてみな?」
魔女さんの言う通り、明後日の方向へ投げてみた
ダガーは、ある程度真っすぐ進んだあと、弧を描くように落ちた
「手元を見てみ?」
俺の手元には、相変わらずダガーが3本あった
1本投げたら、1本失うはずなのに、3本あった
「そのダガーは、いくら投げても手元に戻る不思議なダガーじゃ
最大で同時に3本まで投げれるようだね」
「なるほど、魔法のダガーだな」
「そうダガー?」
カイザーがダジャレを言うが、無視する
「物理学じゃ説明のできない事象、これは完全に世界が変貌してしまったと言っていいでしょう
原初の神が、この世界に降臨してから変わってしまいましたね」
「ちきん、ほしい」
「大きな戦いは、これで3回目だな
もう慣れっこ…ではないな、毎回ピンチになっているし」
「そろそろ帰りましょうか
もう夜も近いですし、魔女さんもお気を付けて」
「えぇ、帰りましょう、また、会いましょう」
俺たちは、魔女さんと別れ、コロニーへ帰っていく
「あ、お帰り」
正気が出迎える、なんだかとても疲れている様子だ
無理もない、日下の相手をさせていた訳だし
「聞いてくださいよイッチさーん
あのバカマウント三人娘がさ、誰が一番優れているか、選べって途中で言ってきてさ
正直、どんぐりの背比べだから、どうでもいいのにしつこく聞いてきてさ…
一番マシそうな時万が一番優れているって言ったら、七光と居元が凄い形相で詰めてきて…
あーほんとしんどかったっす、マジで」
正気の愚痴は止まらない
可哀そうだ
「まぁまぁ正気君、愚痴の続きは後で私が聞きますから」
センスは、教師、それも高校の、をしていた経験から正気の愚痴を引き受けた
助かった
「おれ!ねる!」
「あー、俺も」
ハスキーとカイザーはやはり調子は変わらず自由なやつらだ
「あ、アサシン」
アサシンが、俺の目の前に現れた
「イッチ、どうだった」
「なかなかしんどかったよ、でも、あそこから素材が多く手に入りそうだ」
「それはよかった」
それだけ聞いて、アサシンはどこかへ行った
あいつら、いつもはどこにいるんだ?
「俺は、どうしようか…
まぁ、コロニーの方針でも考えているか」
ちょっとの激戦を経て、なんか自信がついた
気分がいい、コロニーの経営もうまくいきそうだ




