心と体に刺激的な衝動を
俺は手に取った消しゴムを見てから、少し右を見た。その人に見られそうだったので、急いで視線を戻した。
頭の中で出来事を振り返る。先ほどのドキドキを思い返し、顔が綻びそうになったのを無理矢理抑える。
太陽のような温かみを持った微笑み、完璧なまでに整えられた長い黒髪、俺を芯から見つめるような瞳。
妹系って言うのだろうか、いつぞやの生徒会長のような清楚系ではなく、山羽のような活発系でもない、新しい可愛さだ。
確かに俺にも妹はいるがこんなに可愛くない、俺を一番に肯定して仲間でいてくれそうな安心感は無い。
この子には自然と信頼させるような魅力がある。名前とか知りたいけどな、、
そんなことを考えているといつの間にか授業が終わっていた。
授業が終わり、奈良にあの子の名前を聞くことも出来ず、俺は机に突っ伏して寝ていた。
そして2時間目、
体育の時間、何をするかと言うと50メートル走だった。
「苦手だなぁ」小さく呟いたつもりだったのだが、奈良が反応してきた。
「走るの遅いのか?」
「走るのが苦手ってより目立つのがちょっと」
「へー、よく分からんなぁ。あ、そろそろ柏の番だぞ」
「マジカヨ」
俺はわざとらしく声を高くして返事した。
正面に見えるのは無限にも感じる長い白い線。右側に人だかりが見える。ふーーー
目立つのは嫌いなんだよイライラする。
「位置についてー!」心臓が揺れる
「よーい!」めまいの感覚。
「どん!」走る。脳内に命令を出したつもりだが、なんか動かなかった。ビクともしなかった俺の体は自然と倒れていった。




