貴方はギフト
「自分のそれ才能やんなぁ」
また始まった。
「神様からのギフトってやつやで」
今日は壮大だ。
「どうやったら毎度毎度俺のことこんなにイラつかせられるねん」
知りません。
「何回も同じことすんなや。何でそんな学習能力ないの?」
すみません。
「だんまりか。何とか言ったらどうや」
はいはい。
「言うとくけど俺怒ってんねんで」
そうだね。
「俺言うたやんな、あんま他の男と喋って欲しないって、言うたやんな?」
言いましたね。
何回も言いましたね。
「なあ、なあて、何であんなヒョロガリメガネと、何なんあいつぅ」
隣の席の神崎くんです。
「何とか言えやぁ」
言いません。
「仲良すぎやろ、俺が凛のクラス行ったらいっつもあいつおるやん。何なんあいつ。ムカつくわぁ」
同じクラスなんだからいるに決まってるでしょ。
「なぁ、俺あいつに劣っとるとこ一つもないやん、あいつチビやし、ヒョロヒョロやん。しかも美術部、絶対弱いて。生き物として最弱やん」
出た。
偏見の塊。
「あんなんじゃ凛のこと守れんよ。あいつ自分のことすら守れなさそやん、あかんて」
そろそろ終わるかな。
「りーんー、何か言うてぇやあ」
まだ言っちゃダメっぽいな。
もう少し溜めて。
「りーんー」
まだまだ。
「りーんーちゃーん」
出た。
ちゃん付け。
「お前はホンマ酷い女やで」
笑っちゃだめ、笑っちゃ駄目。
「お前は俺の十分の一も俺のこと好きちゃうやん」
そんなことないよ。
言わないけど。
「俺ばっか好きやん。もう苦しいよ俺」
もういいかなぁ。
笑い堪えるのもしんどい。
「俺なんてお前のこと幼稚園入る前からずっと好きやのに、何であんなぽっと出に取られなならんねん、おかしやん」
うん。
可笑しいね。
「薄情すぎるわ、お前」
それはないと思う。
貴方ほどじゃなくても私だって貴方のことずっと大好きなのに。
まぁ、たまにしか言わないけど。
「まぁしゃあないな、お前はそういう女なんやし、俺という高身長イケメン彼氏がおるのに、あんなどこにでもおるヒョロガリメガネがええんやもんな」
もうめんどくさくなってきた。
よし。
「なっちゃん、気が済んだ?」
「すんでへんわ、ボケ」
「だってなっちゃん漫画読まないじゃない」
「漫画読むくらいなら凛ずっと見てたいもん」
「不安にさせてごめんね。大好きだよ。なっちゃん」
「凛は神様が俺にくれたギフトやったんやなぁ」
「えー?」
「だってこんなに好きなれるなんて奇跡やもん」
単純で可愛い。
貴方こそ神様が私にくれたギフト。




