表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/158

第98話 秋の訪れ

 いつの間にか、お父さんとお母さんとグレイさんの病気は治っていた。

 3匹とも、すっかり元気になったようで何よりだ。


 だけど何故かぼくだけ、いつまでも熱が下がらなかった。

 無理をしたから、悪化(あっか)したのかな?

 ぼくは生まれつき体が弱いから、治りが遅いかもしれない。

 お母さんはぼくの為に、ヨモギの薬を作って飲ませてくれた。


「シロちゃん、お薬を飲んだらゆっくり寝なさいニャ」


 お母さんはぼくをそっと抱き寄せて、()い寝してくれた。

 グレイさんとお父さんは、獲物(えもの)を狩ってきてくれた。


Gastornis(ガストルニス)(体重500kgの飛べない鳥)を狩って来たニャーッ!」

『シロちゃんの好きな鳥だぞ。食べられるか?』


 ふたりのおかげで、久し振りに鳥肉が食べられた。

 やっぱり、お肉は美味(おい)しい。

 残った肉は焼き鳥にしたかったけど、起き上がることは許されなかった。

 起き上がろうとしたら、グレイさんから『今は治すことだけ考えろ』と(しか)られた。

 看病(かんびょう)してもらってありがたいけど、申し訳ない気持ちが強かった。


 ฅ^•ω•^ฅ


 数日後、やっと熱が下がった。

 暗い巣穴(すあな)の中でずっと寝ていたから、何日()ったのか分からないけど。

 ようやく、外へ出られるようになって(うれ)しい。


 寝たきりだったせいで、体力と筋肉が落ちてしまったようだ。

 久々(ひさびさ)に立ったら、産まれたての仔猫(こねこ)のように足がぷるぷるして歩けなくなっていた。

 また、歩く練習(リハビリ)をしなくちゃいけないな。

 歩く練習をしていると、3匹が不思議そうな顔で首を(かし)げる。


「シロちゃん、何をしているニャー?」

「歩けなくなったから、歩く練習をしているミャ」

「ニャニャッ? シロちゃん、歩けなくなっちゃったニャーッ?」

可哀想(かわいそう)にニャ……」

『歩けなくなっても、オレが運んでやるから大丈夫だぞ』


 3匹はとても(おどろ)いて、懸命(けんめい)(なぐさ)めてくれた。

 そんなに驚くことかな?

 長い間寝たきりだったら、歩けなくなるもんじゃない?

 何日、寝たきり状態が続いたかにもよると思うけど。


「大丈夫ミャ。練習すれば、また歩けるようになるミャ」

「じゃあ、練習に付き合うニャー」

「歩けるようになったら、イチモツの集落(しゅうらく)へ帰りましょうニャ」

『早く歩けるようになろうと、(あせ)らなくて良いからな』


 それから、3匹にあたたかく見守られながら歩く練習をした。

 しばらく練習したら歩けるようになったけど、体力と筋力が戻っていないから走れない。

 走ろうとすると、足がもつれて転んでしまう。

 走れるようになるまで、旅立ちは延期(えんき)するしかなさそうだ。


 ฅ^•ω•^ฅ


 走る練習をすること、1週間。

 ようやく、走り回ったり()ねたり出来るようになった。

 やっと、イチモツの集落へ帰れる。

 これなら、冬を(むか)える前に集落に辿(たど)()けそうだ。


 マダニ感染症(かんせんしょう)(かか)ったせいで、ずいぶんと遅くなってしまった。

 寝込(ねこ)まなければ、他の集落を回る余裕があったはずなのに……。

 ここで何日、足止(あしど)めさせられたか分からないけれど。

 秋が深まってきていることは、周囲の変化でなんとなく分かる。


 お日様(ひさま)が早く沈むようになって、暗くなるのが早くなった。

 (あつ)さが(やわ)らぎ、朝晩(あさばん)肌寒(はだざむ)くなってきた。

 入道雲(にゅうどうぐも)は見られなくなり、すじ雲や羊雲(ひつじぐも)が見られるようになった。

 いつの間にか、(せみ)の声が聞こえなくなっていた。


 夜になると、鈴虫の合唱が聞こえるようになった。

 秋に咲く花が、あちらこちらで見られるようになった。

 空や風、虫や植物たちがぼくに秋の訪れを教えてくれる。


 もうすっかり秋だなぁ。

 秋といえば、食欲の秋。

 秋は、美味(おい)しいものがたくさんある。

 猫は肉食動物だから、食べられないものがあるけど。


 秋といえば、栗だよね。

 栗は、犬猫も食べられるんだよ。

 火が使えるようになったから、今まで食べられなかった焼き栗が食べられる。


 人間だった頃、秋になるとおばあちゃんがおやつに栗をよく買ってくれた。

 焼く前に皮に切れ込みを入れておくと、(はじ)けないんだって。

 焚火(たきび)には、毬栗(いがぐり)ごと火に放り込んで丸焼きにすると良いらしい。

 (いが)が燃料になって、良い感じに焼けるらしいよ。

 栗を食べると、どんな効果があるの? 

 教えて、『走査(そうさ)


対象(たいしょう):ブナ科クリ属クリ』


薬効(やっこう)疲労回復(ひろうかいふく)皮膚(ひふ)粘膜(ねんまく)維持(いじ)解毒作用(げどくさよう)免疫機能(めんえききのう)促進(そくしん)、高血圧予防、便秘、心臓や筋肉の働きを調整する、代謝(たいしゃ)を上げる』


注意事項(ちゅういじこう):カロリーが高い為、食べ過ぎると肥満や尿路結石(にょうろけっせき)になる可能性がある』


 栗も薬効成分(やっこうせいぶん)があるのか。

 美味しくて体に良いなら、一石二鳥(いっせきにちょう)

 栗は、食べ頃になると自然に落ちてくる。

 木に()っている栗は、食べ頃じゃないからまだ食べられない。

 落ちている栗はないかと探してみたんだけど、どこにも落ちていなかった。

 栗の時季(じき)には、まだ早いみたいだな。


 ฅ^•ω•^ฅ


 ある日突然、グレイさんがやたらとくしゃみをするようになった。

 鼻水を()らし、(かゆ)そうに顔を()いている。

 もしかして、花粉症(かふんしょう)かな?


 そういえば、グレイさんと出会ったのは冬だった。

 春の花粉症の時季(じき)は、なんともなさそうだったけど。

 グレイさんは、秋の花粉症かもしれない。


 春は、スギ、ヒノキなど針葉樹(しんようじゅ)の花粉が原因。

 秋は、ヨモギ、ブタクサなどキク科の植物の花粉が原因。

 春と秋の花粉症は、原因植物(げんいんしょくぶつ)が違うんだ。


 秋の花粉症に効く植物といえば、ローズヒップ。

 ローズヒップは、イヌバラの()

 ぼくの肉球(にくきゅう)くらいの大きさで、赤くてつやつやしていて長細(ながほそ)楕円形(だえんけい)をしている。

 見た目は美味しそうなんだけど、食べるとめちゃくちゃ()っぱい。

 ローズヒップの果汁を水で薄めて、花粉症の猫たちに飲ませたけどめっちゃ不評(ふひょう)だったな。


 他に、花粉症に効く薬草ってあるのかな?

 教えて、『走査(そうさ)


対象(たいしょう):イチョウ目イチョウ属銀杏(イチョウ)


薬効(やっこう)抗酸化作用(こうさんかさよう)(ふく)む。肩こり、頭痛、動脈硬化(どうみゃくこうか)、高血圧、老化予防(アンチエイジング)生活習慣病せいかつしゅうかんびょう認知症(にんちしょう)脳梗塞(のうこうそく)活性酸素除去かっせいたんそじょきょ(こう)ヒスタミン作用がある為、アレルギーに効果がある』


概要(がいよう):葉を乾燥させて、イチョウ茶として飲用(のむ)


警告(けいこく)種子(ギンナン)には、神経毒のギンコトキシンが含まれる為、犬猫は食用厳禁(食べちゃダメ)


 イチョウって、秋になると黄色に変わる三角形の葉っぱだよね。

 イチョウの葉っぱがお茶になるって、なんだか意外。

 でも、ギンナンは食べちゃダメなんだね。


 秋になるとおばあちゃんが、よくギンナン拾いに行っていた。

「子供には毒だから、食べちゃダメ」と言われていたから、一度も食べたことがない。

 だから、大人の食べ物なんだろうなって思っていた。

 めちゃくちゃ(くさ)かったから、食べたいとも思わなかった。


 乾燥したイチョウの葉っぱを探して、お茶を作ってみよう。

 冬が近付いて来ると、落葉樹(らくようじゅ)の葉が()ってくる。

 落葉樹は文字通り、葉っぱが落ちる木のこと。

 落葉樹がたくさん()えている場所は、落ち葉で地面が見えなくなる。


 だけど今は、イチョウの葉は緑色で落ちそうにない。

 困ったな、イチョウ茶が作れないぞ。


『イチョウ茶の作り方:①7~8月頃に採取(さいしゅ)した葉を、水洗いする』


『②水気(みずけ)を拭いた葉を細かく(きざ)み、2~3日ほど日干(ひぼ)しする』


『③茶葉(ちゃば)を良く()み、小さじ1程度を熱湯(ねっとう)に入れれば完成』


 落葉(おちば)じゃなくて、緑色の葉を使うのか。

 教えてくれてありがとう、『走査(そうさ)

 でも(なべ)がないと、お湯なんて出来ないよ。


『熱が伝わりやすく燃えにくい素材(そざい)であれば、代用可能(使える)


 熱が伝わりやすくて燃えにくい素材なんて、自然界にあるの?


『竹、木の皮、土器(どき)など』 


『水の沸点(ふってん)は100℃。水が入っていれば、器の温度は100℃以上にはならない』


 イチモツの森で、竹は見たことがない。

 土器(どき)粘土層(ねんどそう)を掘り出して、水でこねて焼いて作らなきゃいけない。

 作るのが大変だし、作っても重いから持ち運べない。


 一番手軽なのは、木の皮で(なべ)を作る方法だな。

 イチョウの葉が乾くまで、待っている余裕はない。

 火の熱で乾燥させれば、すぐに茶葉(ちゃば)が出来るはずだ。

 思い付いたら、やってみよう。

 なんでもやってみなくちゃ、分からないからね。

銀杏中毒(ぎんなんちゅうどく)とは?】

 銀杏には、|Ginkgotoxinギンコトキシンという微弱(びじゃく)神経毒(しんけいどく)が含まれる。 

 子供の場合は、5~7粒。

 大人の場合は40~100粒くらい食べると、銀杏中毒を起こす。

 中毒症状は、吐き気、痙攣(けいれん)、意識不明などのてんかんの発作を引き起こす。


 銀杏は殻のまま紙袋(かみぶくろ)に入れて、電子レンジで加熱(チン)すると食べられるようになるよ。

 美味しくても、たくさん食べすぎないように注意してね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ