表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/158

第92話 制限付きの旅

 今回の旅の目的は、洪水被害(こうずいひがい)を確認すること。

 寒くなる前にイチモツの森の中にある全ての集落(しゅうらく)を見て回って、イチモツの集落へ帰らなくてはならない。

 ぼくたち猫は寒くなると、動けなくなってしまう。

 だから今回は、あまりゆっくり出来ない。

 日数制限がある、急ぎの旅なんだ。

 出来る限り、集落にいる時間を短くしなければならない。


 南側にある大きな山の周りにも、猫の縄張(なわば)りがたくさんあったけど。

 さすがに、森の外にある縄張りまでは見に行けない。

 行って帰ってくるだけで、半年くらい掛かってしまう。

 たぶん、森の外へ行くことはないだろう。


 ノアザミの集落を出たら、前回の旅では行けなかった北の(はし)っこまで行ってみたい。

 北の端っこに辿(たど)り着いたら、次は西へ行ってみよう。

 ぼくがまだ(おとず)れていない集落や縄張りは、まだたくさんあるはずなんだ。


 1ヶ月くらいお世話(せわ)になったアオキ先生の集落は、ここから東方向へ5km以上先にある。

 アオキ先生は今もきっと、ハーブティーを作り続けていることだろう。

 アオキ先生の集落の先には、アグチ先生の集落がある。


 特にアグチ先生は、おばあちゃん猫だったから心配なんだよね。

 どちらの集落も、洪水の被害に()っていないと良いけど。 


 ฅ^•ω•^ฅ


「夜に集落の外を歩いたら、危ないですニャン。今夜は、ワタシたちの集落でゆっくりとお休み下さいニャン」


 ノアザミの集落で洪水の被害状況を確認したり治療をしていたら、()が沈んでしまった。

 (おさ)のバンから誘いを受けて、今夜はノアザミの集落でお世話になることにした。


 猫たちが寝静(ねしず)まった頃、こっそりとノアザミの集落から抜け出した。

走査(そうさ)』の案内に(したが)って、グレイさんに会いに行く。

 グレイさんは小高(こだか)い丘の上から、ノアザミの集落を見下ろしていた。

 月の青白い光を浴びて立っているトマークトゥスは、(りん)としてカッコイイ。

 可愛い猫はもちろん大好きだけど、オオカミみたいなカッコイイ動物に(あこが)れちゃうな。


「グレイさん、見張りお疲れ様ミャ」


 声を掛けると、グレイさんは振り返って嬉しそうに笑ってしっぽを振り出す。

 

『シロちゃんも、お疲れ様。今日も、猫たちの為に頑張(がんば)っていたな。オレは頑張(がんば)り屋さんで、優しいシロちゃんが好きだぞ』 

「えへへ、ありがとうミャ」


 ()められると、やっぱり嬉しい。

 ぼくはグレイさんに今日あったことを話したり一緒に狩りをしたりして、ふたりで楽しく夜を過ごした。


 ฅ^•ω•^ฅ


 翌朝。

 集落の猫たちに見送られて、ノアザミの集落から旅立った。

 ノアザミの集落の先には、ドクダミの群生地(ぐんせいち)(たくさん()えている場所)がある。

 ドクダミは人間にはとっても優秀(ゆうしゅう)な薬草なんだけど、犬猫の体には良くない。

 それに野生(やせい)のドクダミには、ノミやダニや寄生虫(きせいちゅう)などが付いていることが多い。

 ドクダミは強烈(きょうれつ)(にお)いがするから、そもそも猫は近付かないけどね。


 ドクダミの群生地を避けて歩いて行くと、森の外へ出る。

 夏の強い日差(ひざ)しが、ぼくの体に照り付ける。

 地平線(ちへいせん)まで続く真っ青な空に、白い入道雲(にゅうどうぐも)が天高く()き立っていた。

 入道雲を見ると、「夏だなぁ」と思う。


 空の下には、緑色の草に(おお)われた大地が広がっている。

 やっぱり、広い草原を見ると気持ちが良い。

 草原の向こうには大きな湖があり、水鳥(みずどり)たちがいっぱいいる。

 水場(みずば)で冷やされた風が、こちらまで吹いてきて涼しい。

 大きな湖の先には、また広い草原が続いている。


 前回の旅では、この草原まで来たんだよな。 

 そしてここでArgentavis(アルゲンタヴィス)(巨大な(たか))に連れ去られた。

 今もワシやタカなどの猛禽類(もうきんるい)が、鳴きながら飛んでいる。

 空から、獲物(えもの)(ねら)っているようだ。

 どうしたものかと考えていると、グレイさんに首根(くびね)っこを(くわ)えられて森の中へ戻された。


「ミャ?」

『シロちゃん、森から出たらダメだ。(すき)を見せたら、やられるぞ』

「でも、北の(はし)っこを見に行きたいミャ」

『ダメだっ!』


 グレイさんは(けわ)しい顔で、首を横に振る。

 お父さんとお母さんも、ぼくを抱き締めて離さない。


「アルゲンタヴィスが、シロちゃんを(ねら)っているニャー」

「シロちゃん、危ないから森から出ちゃダメニャ」


 う~む、困った。

 3匹ともぼくが連れ去られたことが、かなりショックだったらしい。

 ぼくも連れ去られた時は、死を覚悟(かくご)した。


 久し振りに、広い草原を()け回りたいと思っていたんだけど。

 お父さんとお母さんとグレイさんに、厳しく止められた。

 北の端っこまで行くのは、(あきら)めるしかなさそうだ。

 仕方がないので、ここから西へ方向転換(ほうこうてんかん)して次の集落を探そう。


 ฅ^•ω•^ฅ


 さて、ここからは知らない集落を(たず)ねることになる。

 次は、どんな猫たちと出会えるのか楽しみだな。

 じゃあお願い、『走査(そうさ)

 西方向で、ぼくが行ったことがない新しい集落を探して。


位置情報(いちじょうほう):直進1km、右折300m、左折400m、直進200m』


 2kmくらいなら、今日中に()けそうだ。

 いつもありがとう、『走査(そうさ)

 お礼を言った直後、再び『走査(そうさ)』が発動(はつどう)した。


対象(たいしょう)食肉目(しょくにくもく)ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』


『病名:咬傷(こうしょう)挫創(ざそう)、および、細菌感染症さいきんかんせんしょう


処置(しょち)傷口(きずぐち)挫滅組織(悪い部分)切除し(きって)洗浄(せんじょう)消毒(しょうどく)止血(しけつ)後、創傷被覆材(ばんそうこう)で傷口を保護(ほご)する。抗菌薬(こうきんやく)の投与(をのむ)


位置情報(いちじょうほう):直進1km、右折300m、左折400m、直進210m』

 

 咬傷(かみきず)挫創(かききず)って、まさかっ!

 この先に、天敵(てんてき)に襲われた猫がいるのかっ?

 もしかしたら、(ひど)いケガで死に()けているかもしれない。

 場所も、集落とほとんど同じ。

 ということは、集落が天敵に襲われたのかも!

 急いで、助けないとっ!


「みんな! この先に、ケガをしている猫がいるミャッ!」

「それは、大変ニャー!」

「早く助けてあげないとニャッ!」

『急いだ方が良さそうだな。オレが運ぶから、場所を教えてくれ』

「分かったミャ」


 グレイさんに首根っこを咥えられて、集落の近くまで運んでもらった。


『この辺で良いか? ここで待っているから、何かあったら呼んでくれ』

「グレイさん、いつもありがとうミャ」


 ぼくとお父さんとお母さんは、集落へと入って行く。

 すると、猫たちが激しく怒っている声が聞こえてくる。

 見れば、2匹の猫が(から)み合ってケンカをしていた。

 猫だって、怒ればケンカをする。

 ケガをしているのは、ケンカをしている猫たちみたいだな。


 集落の猫たちは止めることもなく、2匹を見守っている。

 ぼくは、周りの猫たちに話し掛ける。


「初めまして、こんにちはミャ。ぼくは旅をしている猫で、シロといいますミャ。ところであのふたりは、なんでケンカをしているのですミャ?」

「我が集落へようこそ、仔猫(こねこ)ちゃん。アイツらは、(むかし)から仲が悪くてなぁ~。何かあると、ケンカばかりしててなぁ~。困ったものなぁ~」


 話し掛けた猫は、やれやれと(あき)れた顔をしている。

 いつものことで()れているから、誰も止めようとしないのか。

 猫のケンカは、終わるまで見守るのが基本だからね。

 長時間続く場合は、止めた方がいいけど。

 天敵に集落が襲われた訳ではなく、猫同士のケンカだと分かってホッとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ