表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/160

第70話 今からでも入れる保険が?

 Argentavis(アルゲンタヴィス)は、巨大な鳥のことだったのかっ!

 大きな鉤爪(かぎづめ)鷲掴(わしづか)みされていて、痛いんだけど!

 見上げると(わし)みたいな(するど)(くちばし)を持った鳥が、大きな翼をはためかせていた。


 見下ろすと、目も(くら)むような高さだ。

 すでに、お父さんとお母さんとグレイさんの姿は見えない。


 この鳥は、どこへ向かっているのかな?

 鳥は、地上何十mを飛ぶのかな?

 飛ぶ速度もかなり速くて、寒いくらいだ。


現在高度(げんざいこうど)87m、時速40km/h』


 そんな高いところを、そんな速さで飛んでいるのっ? 

 もし、この高さから落とされたら死ぬ。

 いや、落とされなくても死ぬ。

 もうすぐ、この鳥に食べられちゃうんだ。


 逃げようにも、鉤爪にガッチリ(つか)まれていて動けない。

 どうにかして、助かる方法はないかな?

 アルゲンタヴィスに、天敵(てんてき)はいないのかな?

 天敵の声真似(こえまね)で、ビックリさせるとか出来ないかな?


猛禽類(タカやワシ)の天敵:人間』


 この世界に来てから、人間なんて見たことないよ。

 早くなんとかしないと、食べられちゃう。


 いや、待てよ?

 天敵じゃなくても、アルゲンタヴィスと(しゃべ)ることが出来れば助かるんじゃないか?

 トマークトゥスのグレイさんとだって、友達になれたんだ。

 アルゲンタヴィスとも、話くらいは出来るはず。


 お願い! 『走査(そうさ)

 ぼくの言葉を通訳(つうやく)して、アルゲンタヴィスに伝えてっ!


「ピヤーピヤー! ピィピィピィッ!」


「食べないでください! 助けてくださいっ!」と叫んだつもりが、ぼくの口から出たのは甲高(かんだか)い鳥の鳴き声だった。


『キェェェェェェ! シャベッタァァァァァァァッ! ナニコレェェェェ、コワァァァァァァイッ!』


 ぼくの声を聞いて、アルゲンタヴィスはめちゃくちゃビックリしたらしい。

 アルゲンタヴィスはぼくを放り出して、(あわ)てふためきながら飛び去っていった。


 良かった、助かった……。

 いや、助かってないっ!

 空中で投げ出されたから、地面に向かって落ちていく。


 今、高度何m?

 落下速度(らっかそくど)は、何m/h?

 高さとか速さとか、このさいもうどうでも良い。


 猫が安全に飛び降りられる高さは、せいぜい約6~7m

 それ以上の高さだと、猫でも死ぬ。


 落ちながら見れば、下は森だった。

 上手く木にしがみ付ければ、助かるかもしれない。


 空中で必死に体をひねって、木にしがみ付く体勢(たいせい)(とと)える。

 もし木にしがみ付けなければ、地面に叩き付けられて死ぬ。

 数秒の勝負だ。


 両手足を大きく広げて、近付いて来る木の枝に向かって爪を立てる。

 (ねら)いを付けた枝にしがみ付けた、と思いきや。

 重力加速度(じゅうりょくかそくど)とぼくの体重に()え切れなかったのか、枝がボキッと音を立てて折れた。


 ギュッと強く目を閉じて、しがみ付いた太い枝をはなさなかった。

 何も持たずに落ちたら、地面に叩き付けられて死ぬ気がしたから。

 死ぬのが怖くて、なんでもいいからすがりつきたかった。

 枝に抱き付いたら、ちょっとだけ怖くなくなった気がする。


 バキバキと、何本も小枝を折りながら落ちていく。

 体のあちこちに枝や葉がぶつかって、めちゃくちゃ痛い。

 そしてついに、ドスンと抱き付いた枝ごと地面へ叩き付けられた。


「ミャッ!」


 物凄(ものすご)衝撃(しょうげき)が、全身に走った。

 強い衝撃(しょうげき)で、全身がビリビリと(しび)れた。

 そのまま、地面に倒れた。

 痛すぎて、動けない。

 逆に、痛くないところがない。

 たぶん、骨が何本か折れていると思う。

 そのくらい痛い。


 それでも、なんとか生きている。

走査(そうさ)』で、自分の体を調べるのが怖い。

 どれだけ酷い重傷を()っているのか、知りたくない。

 知ったら、もっと痛くなりそうな気がした。


 死にそうな恐怖を味わったから、心臓がバクバクいっている。

 今まで2回死んでいるけど、「死ぬ」と思ったのは今回が初めてだった。

 過去2回は、気が付いたら死んでいたから。


 さすがに3回目は、猫の神様だって怒るに決まっている。

 いや、2回目ですでに怒っていたかな?

 もしかしたら、次は生き返らせてくれないかもしれない。

 死ななくて良かった……、死ぬほど痛いけど。


 しばらくじっとしていたら、少しずつ心臓が落ち着いてきた。

 落ちた時の(しび)れも、だんだん(おさ)まってきた。

 全身の激痛(げきつう)は、変わらないけど。


 これからどうしよう?

 お父さんとお母さんとグレイさんとも、はぐれてしまった。

 みんな今頃、どうしているかな?


 きっと、食べられちゃったと思っているよね。

 悲しませてしまって、ごめんなさい。

 生きていることを伝えたいけど、伝える手段がない。


 重傷で1歩も動けないから、天敵に見つかったら逃げられない。

 誰にも気付かれないまま、ケガが原因で死んじゃうかもしれない。

 せっかく助かったのに、このままだと死んじゃう。

 ひとりぼっちだと、何も出来ない。


 近くに猫の集落(しゅうらく)があれば、助けてもらえるかもしれない。

 狩りに出た猫が近くを通りがかって、助けてくれないかな?

 近くに猫がいないか、探して、『走査(そうさ)


対象(たいしょう)食肉目(しょくにくもく)ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』


位置情報(いちじょうほう):直進20m先』


 良かった、近くに猫がいたっ!


「誰か、助けてミャ~ッ!」


 気付いてもらおうと、必死に鳴いて助けを求めた。

 しばらく鳴き続けていると、足音が近付いて来る。

 音の方向を見れば、数匹の猫たちがこちらへ向かってきていた。

 良かった! 気付いてくれたっ!


「こっちから、仔猫(こねこ)の鳴き声が聞こえるナォン」

「あ、ここニャウ。お~い、こっちニャウ」

「ボロボロじゃないにゃあっ! 大丈夫にゃあっ?」


 3匹の猫たちが、全身傷だらけのぼくを見て驚いている。

 自分じゃ分からないけど、たぶんかなり(ひど)い状態なんだと思う。

 やっぱり、『走査(そうさ)』に調べてもらっておいた方が良かったかも。

 とにかく、気付いてくれて助かった。


 ฅ^•ω•^ฅ


 ぼくは、3匹の猫たちに軽く事情(じじょう)を説明した。

 お父さんとお母さんと友達と一緒に、旅をしていたこと。

 大きな鳥に(さら)われて、ここで落とされてしまったこと。

 そのせいで、お父さんとお母さんとはぐれたこと。


 猫たちはぼくの話を聞いて「可哀想(かわいそう)にニャー」と、同情(どうじょう)してくれた。

 右半分が黒で、左半分が茶色の模様があるハチワレミケネコが、優しく声を掛けてくる。


「だったら、うちの子になるナォン?」

「お気持ちは(うれ)しいですけど、お父さんとお母さんがいますミャ。ケガが治るまでの間だけでいいので、皆さんの集落でお世話(せわ)になってもいいですミャ?」

「もちろん、良いニャウ」

「こんな可哀想な仔猫ちゃんを、放っておけないにゃあ」


 サビネコがニッコリと笑って、ぼくを抱っこしてくれた。

 触られると、体中の傷がズキズキと痛み始める。


「ミャ……ッ」

「こんなボロボロじゃ、痛いはずにゃあ。でも、ここにいたら危ないからにゃあ。集落に着くまで、我慢(がまん)してにゃあ」

「うちの集落には、お医者さんがいるから安心してニャウ」

「ミャ? お医者さんがいるんですミャ?」

「とっても腕の良いお医者さんナォン。こんなケガ、きっとすぐに治るナォン。早く、お父さんとお母さんを探しに行けると良いナォン」


 ハチワレミケネコが優しい笑顔で、ぼくをそっと()でてくれた。

 お医者さんがいる集落が、近くにあって良かった。

 今は、自分で薬を作ることも出来ないから。


 お医者さんがいると聞いて安心したら気が抜けて、急に(ねむ)くなった。

 アルゲンタヴィスに襲われてから、今までずっと緊張し続けていたから疲れちゃったんだ。


 本当に、死ぬかと思った。

 今思い出しても、ゾッとする。

 あとは、この集落のお医者さんに任せよう。

 とっても腕の良いお医者さんって、どんなお医者さんなんだろう?

 起きたら、お医者さんといっぱいお話ししてみたいな。

重力加速度(じゅうりょくかそくど)とは?】

 物を落とした時の速さのこと。

 落とす時の高さが高いければ高いほど、重力が大きくなって落ちる速さは速くなる。

 落ちる速さが速ければ速いほど、ぶつかった時の衝撃も大きくなる。



【「(ほとけ)の顔も三度まで」とは?】

「どんな優しい人でも、何度も怒らせるようなことをすればブチキレる」という意味のことわざ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ