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ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話  作者: 橋元 宏平


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第5話 ひと狩り行こうぜ!

 シロブチとサバトラに挟まれて、3人で仲良くおててつないで森へ入る。

 肉球の触感が嬉しくて、顔がニヤニヤしてしまう。

 肉球って、なんでこんなに気持ちが良いんだろう。

 まんまるで可愛いしずっとプニプニしていられるし、めっちゃ癒される。

 プニプニしていると、シロブチが笑ってぼくの肉球をプニプニしてくる。


「シロちゃんのおてては、ちっちゃくて可愛いニャ」


 そんなたわいのない会話をしながら、森の中を歩いて行く。

 森の中は、あちこちから野生動物の鳴き声が聞こえている。

 ギャアギャアという鳴き声は、鳥だろうか。

 風に吹かれて、草木もざわめいている。


 どこから野生生物が飛び出して来るか分からなくて、森に入ってからずっと緊張しっぱなしだ。

 近くの草むらが動く度に、ビクッと体が大きく跳ねてしまう。

 ビクビクするぼくを、サバトラが優しくなだめてくる。


「そんなに怖がらなくても、大丈夫ニャー。何があっても、お父さんとお母さんがシロちゃんを守るニャー」


 お父さんとお母さん。

 言われてみれば、そうなんだよね。

 ぼくはまだ、ふたりを「お父さん」「お母さん」と呼んだことがない。

 猫に生まれ変わったけど、気持ちは人間のままなんだ。


 ある日突然、「今日からこの2匹の猫があなたの両親ですっ!」と言われても、

「はいそうですか」とはならない。

 だから自分の両親とは思えないし、「猫可愛いなぁ」としか思えない。


 でも今は、ぼくの両親。

 こうしてふたりから愛され、守られている。

 今は実感がないけど、そのうち(じょう)()いて自分の両親と思える時が来るのだろうか。

 ギュッとふたりの手を握り締めると、両親は嬉しそうに笑って握り返してくれた。

 家族の微笑(ほほえ)ましいやりとりに、ほっこりとあったかくなる。


 家族で仲良くおさんぽ気分は、そこまでだった。

 数m先にある草むらが、ガサガサと大きな音を立てて揺れる。

 あきらかに、何かが出てきそうな気配を感じた。


 草むらから姿を現したのは、ワニとイノシシを掛け合わせたかのような見た目の大きな動物だった。

 後頭部(こうとうぶ)からしっぽにかけて、馬みたいな(たてがみ)が生えている。

 そいつを見た直後、サバトラとシロブチは揃って絶叫を上げた。


「アンドリューサルクスニャーッ!」

「早く逃げるニャッ!」


 ふたりはぼくを抱えて、大急ぎでその場から逃げ出した。

 しばらく逃げ続けて、どうにかさっきの動物を振り切ることが出来たようだ。

 周りを見回しても追手(おって)がいないことを確認して、ふたりは安心した顔で大きく息を吐く。


「ふ~……、逃げ切れたみたいニャー」

「シロちゃん、覚えておくニャ。アンドリューサルクスは、危ないから絶対に近付いちゃダメニャ」


 ふたりがこれほど恐れるということは、たぶんこちらが狩られる側。

 自分より強い相手と出会ったら、逃げることが大事。

 危険な生き物と出会ったら、すぐに逃げる。

 それが、生きていく知恵。


 きっと、アイツ以外にも狩れない生物がたくさんいるに違いない。

 他にも危険生物がいるに違いないから、しっかり覚えておかないと。 

 アンドリューサルクスから無事に逃げ()びた後は、これといって危険生物と出会うことはなかった。


 途中で木の実を食べていたガストルニス(毛深いダチョウみたいな鳥)を見つけて、サバトラが素早(すばや)仕留(しと)めた。

 無事に獲物(えもの)を狩れて、サバトラは満足げな顔をしている。


「みんな食べるニャー」

「いただきますニャ」

「いただきますミャ」


 ガストルニスを、その場で美味しく食べた。

 とれたてだから、肉が柔らかくて食べやすかった。

 残った肉は、お土産として集落(しゅうらく)へお持ち帰りした。


 集落へ戻って来ると、急に眠くなってきた。

 仔猫(こねこ)の体力は、もう限界のようだ。

 どうあがいても、眠気(ねむけ)には逆らえない。  

 ダメだ、眠い。


「ミャ~……」


 シロブチにしがみついて、抱っこをおねだりする。

 シロブチは、くすくす笑いながら抱き上げてくれた。


「あらあら、シロちゃんもうおねむニャ」

「寝顔も、とっても可愛いニャー」


 そんな会話を聞きながら、ぼくの意識は遠のいていった。


 ฅ^•ω•^ฅ


 目覚めると、昨日と同じように巣穴で親猫に(はさ)まれて眠っていた。

 ふわふわもふもふの猫毛が気持ちが良くて、とろとろと眠気に(さそ)われる。


 いけない! このまま眠気に負けたら1日が終わるっ!

 ハッとして、親猫の間から慌てて()い出す。 


 困った、1日の活動時間が短すぎる。

 生後数ヶ月の仔猫は、ちょっと動いただけで電池切れになってしまう。

 体を(きた)えようにも、体力が足りない。 

 仔猫だからしょうがないといえば、それまでなんだけど。


 さて、どうしたもんか。

 集落内に生えている手頃な木で、木登りの練習をするか。

 それとも、親猫の狩りについて行って狩りを学ぶか。


 木登りの練習は、もう少し大きくなるまでやめておこう。

 今の体力じゃ、途中(とちゅう)力尽(ちからつ)きて落ちる。

 登れたとしても、降りられなくなるかもしれない。

 どちらにしても、集落のみんなに迷惑をかける。


 狩りについて行っても、ぼくは弱すぎて見ていることしか出来ない。

 それでも森にはどんな野生生物がいて、何を狩れて何が狩れないかを知ることが出来る。

 ぼくはまだこの世界の野生生物を、数匹しか知らない。

 親猫の動きを見て、獲物(えもの)の狩り方を学ぶことも大事。

 

 まずは、狩りを学ぶことから始めようっ!

 狩りに行きたくても、ひとりでは行けない。


 かといって、親猫たちが起きるまで待っていられる余裕はない。

 とにかく、仔猫のぼくには時間も体力もない。 


 仔猫の1日の活動時間は、1~4時間。

 制限時間を過ぎると、眠くなってしまう。

 体力を使い過ぎても、電池切れで眠くなってしまう。


 気持ち良さそうに眠っているところを悪いけど、起きてもらうしかない。

 必中(ひっちゅう)! 連続猫パンチッ!

 親猫たちの顔に、何度も猫パンチをくり出した。

 仔猫のパンチだから、大したダメージはないと思う。

 猫パンチを喰らった親猫たちは目を覚まし、大きくあくびをする。


「シロちゃん、どうしたニャー? もう起きたニャー?」

「お腹が空いたから、狩りに連れて行って欲しいミャ」

「シロちゃんは、腹ぺこさんなのニャ? じゃあ、一緒に狩りに行くニャ」


 ふたりは大きく伸びをした後、ぼくを挟んで3人で仲良く手を繋いだ。

 望み通り、狩りに行けることになって嬉しい。

 今日は、どんな野生生物と出会えるかとワクワクしていた。


 ฅ^•ω•^ฅ


 森の中を歩いていると、何か大きなものを引きずるような音が聞こえてくる。


「何かいるニャー。ふたりとも、隠れて待つニャー」


 サバトラは小さな声で警告すると、近くに生えていた背の高い木を素早く登っていった。

 シロブチは黙って(うなづ)き、ぼくを抱えて草むらに身を隠す。

 ぼく達は静かに、《《それ》》が姿を(あらわ)すのを待った。   


 しばらくして、サバトラが「登ってこい」とサインを送ってきた。

 シロブチはぼくの首の後ろを(くわ)えて、器用に木を登り始めた。

 されるまで気付かなかったけど、首の後ろを咥えられると何故か安心した。

 猫が首根っこをつままれると大人しくなるのは、リラックスするからか。

   

 大人しく運ばれると、高い木の上に降ろされた。

 仔猫目線だからか、木の上は結構高くて足がすくんだ。

 何かに(つか)まっていないと怖くて、枝にしがみついた。


 しばらくしてズルリズルリと地を()って現れたのは、巨大なヘビだった。

 ズルリズルリとゆっくり進み、たまに立ち止まって頭を高く上げる。

 周囲を(うかが)うようにキョロキョロ見回しながら、細く長い舌をチロチロと出し入れしている。

 きっと、獲物(えもの)を探しているんだろう。


 あれだけデカければ、ぼくなんて丸呑(まるの)みされる。

 成猫だって、余裕で丸吞み出来るに違いない。

 さすがに、このデカさになると、恐怖を覚える。


 あんなのに襲われたら、確実に殺される。

 (おび)えるぼくに、サバトラが小さな声で教えてくれる。


「あれは、ティタノボアニャー。見つからないようにじっとして、立ち去るのを待つニャー」


 立ち去ってくれるまでの1分1秒が、とても長く感じられる。

 姿が見えなくなるまで、ぼくたちは一歩も動けなかった。

【|Andrewsarchusアンドリューサルクスとは?】

 今から3600万年くらい前に生息していたと言われている、陸上肉食獣。

 推定体長382cm

 推定体重180~450kg

 ワニのような大きな口を持ち、恐ろしい力で獲物(えもの)を食いちぎっていた、と考えられている。



Titanoboa(ティタノボア)とは?】

 今から約6000万年くらい前に生息していたと言われている、巨大ヘビ。

 推定最大全長約15m

 推定体重約1135㎏

 胴体の最も太い部分の直径は約1m

 絶対強者(ぜったいきょうしゃ)だったけど寒さに弱かった為、絶滅(ぜつめつ)したと考えられている。

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